機械翻訳2

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2014年9月10日

2014-09-11 21:24:58 | 免疫

単一の受容体の阻害が、関節リウマチを止める
Blocking single receptor could halt rheumatoid arthritis



関節リウマチは、関節に対する進行性の炎症性自己免疫疾患である。

進行する骨の喪失に加えて腫脹と痛みが疾患の特質であり、それらは関節に殺到するある種の細胞に起因する。

このプロセスは白血球にあるTLR5という単一の受容体を引き金として始まることをイリノイ大学シカゴ校(UIC)の研究者は示した。



「TLR5は、その全てをする」、UICのリウマチ学准教授のシバShahraraは言う。

TLR5(toll-like receptor 5; Toll様受容体5)は、血液から関節に遊走する「骨髄性細胞(myeloid cell)」という骨髄に由来する細胞の表面に存在する。

Shahraraと彼女の同僚は、TLR5受容体が関節リウマチ患者の関節の液体(joint fluid)、つまり滑液(synovial fluid)で発見される骨髄性細胞の表面上に非常に豊富であることを発見した。



先行研究においてShahraraたちは、TLR5受容体の活性化が関節リウマチ患者の関節に異常な血管形成を生じることを発見していた。

今回の新しい研究において、TLR5受容体はTNF-αという強力な炎症性分子を上方制御することが発見された。

TNF-αは、さらにより多くの骨髄性細胞を関節にリクルートして、そこで骨髄性細胞は破骨細胞(osteoclast)という骨を分解する細胞に変わる。



一連の実験により、研究者はTLR5受容体の活性化によって引き起こされる複数の病的プロセスを発見した。

研究者が関節リウマチ患者の滑液の近くにTLR5を発現する骨髄性細胞を配置すると、細胞は液体の中へと遊走した。

しかし、TLR5受容体を抗体によって阻害すると滑液への細胞の移動は著しく低下したため、滑液の何かがTLR5を持つ細胞を引きつけるのだろうと推測された。

その何かはおそらくTLR5に結合するタンパク質であり、それは関節リウマチに冒された関節に存在する。



さらに、関節リウマチ患者の滑液中のTNF-αのレベルは、TLR5が活性化した骨髄性細胞が存在するときに増加した。

抗TNF-α薬を服用する関節リウマチ患者は骨髄性細胞上のTLR5のレベルが低いが、それはTLR5とTNF-αの間に正のフィードバックループが存在することを示唆する。

「TLR5とTNF-αはお互いを調節するだけでなく、それらは関節にさらに多くの骨髄性細胞を引きつけるために相乗作用する」、Shahraraは言う。



関節リウマチのマウス・モデルにおいて、TLR5受容体を阻害する抗体を与えられた実験的マウスは、コントロールと比較して関節の腫脹と骨浸食を著しく低下させた。

TLR5抗体による治療は破骨細胞になるために関節に遊走する骨髄性細胞の数を低下させることによって腫脹を低下させる可能性がある。

学術誌参照:
1.関節リウマチと実験的関節炎において、TLR5の結合は、骨髄性細胞の浸潤ならびに成熟した破骨細胞への分化を促進する。

The Journal of Immunology、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140910102826.htm

<コメント>
TLR5とTNF-αが相乗作用して骨を破壊する細胞を呼び寄せるという記事ですが、滑液中のTLR5を活性化する「何か」の正体はわからないままですね。

関連記事は今回と同じイリノイ大学シカゴ校によるもので、関節リウマチでのCCL28/CCR10による異常な血管形成についてです。


http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140516111003.htm

>When the researchers added CCL28 to cells carrying the receptor CCR10, the cells organized into blood vessels.

>But if they chemically blocked the receptor and added CCL28, formation of blood vessels was reduced.


2014年9月9日

2014-09-11 06:14:17 | 腸内細菌

母乳は、悲惨な腸障害に対して保護的かもしれない
Breast milk may be protective against devastating intestinal disorder



母乳に含まれるニューレグリン-4(Neuregulin-4; NRG4)というタンパク質は、壊死性腸炎(necrotizing enterocolitis; NEC)によって引き起こされる腸破壊に対して保護的かもしれない。

NECのベイビーの30パーセントは疾患により死亡する。生き残っても、生涯にわたる結果(腸の除去や経静脈栄養への依存)に直面する場合がある。

NRG4は粉ミルクには存在しない。粉ミルクのような人工栄養はこの疾患の既知の危険因子である。そして早産児はNECのリスクが高い。



実験では、粉ミルクで育てられたラットはNECに似た状態を発症した。しかし、粉ミルクにNRG4を加えて与えられたラットは腸損傷から保護された。また、ヒトでNECを誘発する菌株に関連した細菌に曝された培養腸細胞もNRG4で保護された。

これらの実験は、NRG4が腸で見られるErbB4受容体と特に結合して炎症性の腸破損を防ぐことを示唆する。NRG4は粉ミルクには存在せず、ヒトの母乳サンプルには存在した。



ヒトのNECでは特殊な腸の細胞(パネート細胞)が喪失しているという特徴がある。パネート細胞は小腸の全体に存在し、臓器を微生物による損傷から保護する。

さらに、パネート細胞は腸内層の継続的な更新のために必要とされる腸幹細胞を維持している。

研究者はNECのマウス・モデルにおいて、NRG4がパネート細胞の喪失を阻止することを証明した。

学術誌参照:
1.ErbB4リガンドのニューレグリン-4は、実験的な壊死性腸炎から保護する。

米国病理学会誌、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140909092129.htm

<コメント>
母乳中のニューレグリン-4(NRG4)がパネート細胞を保護し、NECの予防に有益だろうという記事です。

関連記事には、母乳中のオリゴ糖(Oligosaccharides)が腸内細菌の正常化に重要だろうというものや、

http://www.sciencedaily.com/releases/2012/02/120229155540.htm

母乳の硝酸ナトリウム(sodium nitrate)が腸内細菌によって亜硝酸塩(nitrite)に変化して血流を改善し、血管上皮でのTLR4/MyD88の活性化が引き起こす一酸化窒素(NO)の減少による血流悪化を打ち消して、NECの発症を防ぐという記事があります。

http://www.sciencedaily.com/releases/2013/05/130506181616.htm

興味深いのは、後者の記事ではシルデナフィル(sildenafil; バイアグラ)もNECを防いだということです。