1型糖尿病でインスリン産生細胞を生成する新しい方法
サンフォード・バーナム医学研究所(サンフォード-バーナム)は、セルレイン(caerulein)というペプチドが膵臓の既存の細胞を1型糖尿病で破壊されるインスリン産生ベータ細胞へと変換できることを発見した。
「我々は、1型糖尿病患者がインスリンを産生する能力を回復するための有望な技術を見つけた。我々は膵臓にセルレインを導入することによって、新しいベータ細胞を生成することが可能だった。それは患者の毎日のインスリン投与から解放するかもしれない。」
サンフォード-バーナムのフレッド・レヴァイン医学博士は言う。
セルレインは元々オーストラリアのヤマアマガエル(Blue Mountains tree frog)の皮膚で発見されたペプチドである。それは胃、胆汁、膵臓の分泌を促進し、膵臓病の診断用ツールとしてヒトで使われてきた。
研究ではまず最初に、ほとんどすべてのベータ細胞が破壊されたマウスが、セルレインの注入に対してどのように反応を示すかについて調べた。
そのマウスでは、膵臓の既存のアルファ細胞は、インスリンを産生するベータ細胞へと分化した。
アルファ細胞は、通常、ベータ細胞にならない。
研究チームは次に1型糖尿病患者の膵臓組織を調べて、セルレインによってマウスで誘導されるのと同じプロセスが、彼ら患者の膵臓でも生じたという強力な証拠を発見した。
アルファ細胞がベータ細胞に変わるプロセスには、年齢の限界があるようにも見えなかった。それは老人でも若い人でも生じていて、中には何十年も1型糖尿病だった人もいた。
「セルレインをヒトに投与すると、膵炎を引き起こす可能性がある。我々の次のステップは、セルレインがアルファ細胞のどの分子を標的にしてベータ細胞への形質転換を引き起こしているのかを知ることである」、レヴァインは言う。
記事供給源:
上記の記事は、サンフォード・バーナム医学研究所により提供される材料に基づく。
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/07/140731094441.htm
<コメント>
記事の元になった論文は、α細胞からβ細胞へ、そしてδ細胞へのtransdifferentiation(分化転換)についてです。
http://www.nature.com/cddis/journal/v5/n7/full/cddis2014311a.html
>Pharmacological induction of pancreatic islet cell transdifferentiation: relevance to type I diabetes
EurekaAlertの方にはフレッド・レヴァイン博士のインタビュー動画もありました。