機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

2014年8月6日

2014-08-10 22:38:43 | 生命

分子の競合は成体幹細胞の専門化を促進する



ショウジョウバエからヒトまで、成体の有機体には『成体幹細胞』が存在する。それは古くなったか損害を受けた細胞を置き換えるために必要な特殊な細胞に分化する一方で、一部は細胞分裂を通して自分自身を新しくする。

成体の幹細胞で自己複製と分化の釣合いを制御する分子のメカニズムを理解することは、組織を再生する治療法を作り出すための重要な基礎である。



ストワーズ医学研究所の科学者は、2つのタンパク質(BamとCOP9)の競合が、ショウジョウバエの卵巣で生殖細胞系幹細胞(germline stem cell; GSC)の自己複製と分化機能のバランスをとることを報告する。

「BamはメスのショウジョウバエのGSCシステムのマスター分化因子である」、ストアーズ研究者のティン・シェ博士は言う。

「自己複製から分化への転換を行うために、Bamは分化因子の機能を活性化すると同時に、自己複製因子の機能を不活性化しなければならない。」



Bamはショウジョウバエの分化している細胞で発現が高く、GSCでは発現が非常に低い。

そしてCOP9シグナロソーム(CSN)は、Bamによって目標とされる自己複製因子の一つである。COP9は進化的に保存されてきた多機能複合体であり、8つのタンパク質サブユニット(CSN1からCSN8まで)が含まれる。



シェたちは、BamがCOP9のサブユニットの一つであるCSN4を隔離して拮抗することによって、COP9の機能を『自己複製』から『分化』へと変更できることを発見した。

「BamはCSN4と直接結合する。そして競合により他の7つのCOP9成分との会合を妨害する」、シェは言う。

CSN4は、Bamと相互作用することができる唯一のCOP9サブユニットである。



シェの研究室は以前、BamがE-カドヘリンの発現を抑制するために必要であることを発見している。

E-カドヘリンは成体幹細胞を組織ニッチにつなぎ留めてGSCの自己複製を促進する(Bamは自己複製を抑制する)。



さらに、Bamは別のGSCの自己複製(真核生物翻訳開始因子-4A; eukaryotic initiation factor-4A; eIF4A)のプロモーター機能も不活性化する。



他の研究室も、BamがNanosの発現を抑制することを明らかにしている。Nanosはメスのショウジョウバエで自己複製するGSCを確立して維持するために必須であると考えられている。

学術誌参照:
1.タンパク質競合は、COP9の機能を自己複製から分化へと変える。

Nature、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/08/140806134420.htm


<コメント>
ショウジョウバエの生殖細胞系幹細胞では、Bamが自己複製を抑制して分化を促進するという記事です。

Bam─┤COP9/CSN4、eIF4A、Nanos


Bamが変異したショウジョウバエの卵巣は、下図のように赤色の成体幹細胞様細胞(adult stem cell-like cells)がほとんどを占めるようになります。
緑色は球状スペクトロゾーム(spherical spectrosome)というショウジョウバエ幹細胞の細胞小器官です。



2014年8月6日

2014-08-10 09:47:23 | 

脳腫瘍はステルス・ジェットのように肉体のレーダーの下で飛行する



脳腫瘍は、自分自身を余分な特殊なタンパク質でコーティングすることによって、肉体の防御部隊のレーダーの下でも飛行する。

ステルス・ジェット戦闘機と同じように、このコーティングは癌細胞を検出して殺すはずの早期警戒・免疫システムによる検出を回避させる。

今回のマウスとラットでの発見は、高グレードの悪性神経膠腫という最も危険な脳腫瘍の一部におけるガレクチン-1タンパク質の重要な役割を示す。



ミシガン大学医科大学の研究チームは、実際は腫瘍細胞によるガレクチン-1の余分な産生が、脳で発達して拡散する癌の能力にどのように影響を及ぼすかを研究しようとしていた。

代わりに彼らは、癌細胞のガレクチン-1を妨害すると、腫瘍が根絶されたことを発見した。腫瘍は全く成長しなかった。

その理由は、肉体の免疫システムの「最初の応答者」のナチュラルキラー細胞がほとんどすぐに腫瘍細胞を見つけ、殺したからである。

しかし、腫瘍細胞がガレクチン-1のそれらの通常の量を作ったとき、免疫細胞は癌細胞を認識できない。



研究チームのリーダー、ペドロウ・ローウェンスタイン医学博士は言う。

「ガレクチン-1の過剰発現は自然免疫システムを阻害することが判明した。これは腫瘍が考えうるあらゆる効果的なT細胞応答を避けるのに十分である。」

研究によれば、脳の独特の環境では、ガレクチン-1が腫瘍の周辺で免疫抑制の効果をすぐに発揮することをが示唆される。

学術誌参照:
1.ナチュラルキラー細胞は、適応免疫がない状態で、ガレクチン-1を欠乏する神経膠腫を根絶する。

Cancer Research、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/08/140806153927.htm



<コメント>
レクチンの一種、ガレクチン-1によって癌細胞がNK細胞を回避するという記事です。

※ガレクチン: βガラクトシド(ガラクトースを含む糖鎖構造)と結合するレクチン。S型レクチンとも呼ばれ、糖との結合にSH基を必要とする。カルシウムイオンを必要とするのはC型レクチン。

上の画像の緑色がガレクチン-1を作れない癌細胞で、オレンジ色は攻撃されて死んだ癌細胞です。

関連記事には別の回避方法が載っています。


http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/2bc93707cac01dfbfdd290362228299b

>リゾホスファチジン酸(LPA)がキラーT細胞と結合すると、それは「見えないマント」のように作用して、T細胞が発生期の腫瘍を認識して攻撃することを防止する。

>CD-8「キラー」T細胞として知られる免疫細胞は、いくつかのLPAの受容体を持つ。
>研究者は免疫応答を阻害する原因となる受容体として、LPA5受容体を特定した。