非常に重要な結核薬はどのように標的を攻撃するか
Clues uncovered about how most important tuberculosis drug attacks its target
ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部の研究者は、結核(tuberculosis; TB)にとって非常に重要な薬物が、どのように休止中のTB細菌を攻撃するかについての新しい手掛かりを発見した。
抗生物質のピラジナミド(Pyrazinamide; PZA)は1950年代からTBの治療に使われてきたが、そのメカニズムはあらゆるTB薬の中で最も理解されていない。
「PZAは我々が持つ抗生物質の中でおそらく最も独特だろう。PZAは活発に複製しているTBを捜し求めるだけではなく、代わりに休止中のTBを捜し出して破壊する。休止中のTBは他の抗生物質ではコントロールすることはできない。」
ブルームバーグ校の分子微生物学と免疫学部の教授で、研究リーダーのYingチャン医学博士は言う。
「それはまるで草刈りのようだ。現在のほとんどの薬はただ単に葉を切りはなすだけで根元は残る。PZAは、根元に手が届く。」
上海のFudan大学と連携して実行された新しい研究によれば、PZAはヒト型結核菌のエネルギー産生を切り離して細菌を殺すが、それはPanD(aspartate decarboxylase)を阻害することによる。PanDは特に補酵素A(CoA)の合成にとって重要である。
PanDがTB細胞で正しく作用していると、長い治療にもかかわらずTB細胞は生き残ることが可能になる。
唯一このプロセスを停止させるPZAの独特な能力だけが、潜伏中の細菌を消去することを可能にする。
近年、PZAの別の標的であるRpsA(ribosomal protein S1)を発見した研究者は、PanDの突然変異はPZAに抵抗性のTB細菌サブセットだけで見られると言う。
2012年、世界で約860万人がTBを発症し、130万人が死亡した。
新規に診断される率は低下する一方で、薬剤耐性の症例は増加している。
PZAはTBの治療の最前線である。PZAは薬に感受性がありかつ薬剤耐性のTBを有する患者に与えられる。そして開発中のあらゆる新薬がPZAと同時に使われる。
学術誌参照:
1.ヒト型結核菌のピラジナミドの新しい標的としてのアスパラギン酸脱炭酸酵素(Aspartate decarboxylase; PanD)。
新興微生物及び感染症(2014);
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/08/140813103938.htm
<コメント>
結核の短期多剤併用で使用されるピラジナミド(pyrazinamide)の標的として、PanDが新たに明らかになったという記事です。