雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

心掛かり

2012-10-30 | 日記
 あるブログで、若い弱視の方が書いていらした。 白杖を使わずにステータスとして腕に下げて歩いていたら、見知らぬ人が寄ってきて「見えるんですかァ?」と。訝しげに声を掛けた来たそうである。 明らかに「見えるくせに白杖をなんか持って…」と、その弱視の方には声をかけてきた人の言葉の裏が感じられたようだ。 

 私も弱視なのだが、障害者手帳を交付されていないので白杖は持てない。 街の中やスーパーの狭い通路を歩いていて「白杖を持っていれば、こんなめに逢っていないのでは?」と思うことが多々ある。 ドンと押されて倒れそうになったり、うっかりこちらからぶぶっかってしまった時など、冷ややかな視線が感じ取れる。 「全盲者よりも、弱視者は冷遇される」なんて、不謹慎なことは言わないが、「少しは見える」状態は、ステータスの白杖を下げていても、なかなか健常者には理解されないようだ。 2進数の「0」と「1」の間に、「0.5」が存在しないように…。

 昨日、ホームセンターの入り口付近で、久しぶりに眩暈に襲われた。足元にあったカラーコーンにしがみついてぶっ倒れるのは逃れたが、暫くは立ち上がれなかった。 すぐ傍に立って黙って暫く様子を見ていた中年の男性が、文字通り上から目線で、「大丈夫か?」と声をかけてくれた。 以前にぶっ倒れたときは、大勢の通行人に完全に無視されたので、この度のその一言が泣きそうになるくらい嬉しく思えた。 その割には、ちゃんとお礼を言った記憶がないので心掛かりだ。

 

 

  

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