雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

猫爺のエッセイ「股旅演歌」 最近感動したこと

2016-06-23 | エッセイ
 あまりにも過激な「お涙頂戴」の再現ドラマや出来事には感動が薄くなっている爺には、どこにでもありそうな日常的な感動物語に参ってしまうことがある。

 つい最近、surprise番組で子供たちがまだ幼い頃に離婚して、男手一つで三人の子供を育て上げた50代の父親に、感謝の気持ちを伝えたいという高校生の長女の依頼を取り上げたTVprogramを見て感動した。
 自分だって若い頃から病身の家内に代わって、朝早く起きて子供たちの弁当を作り、家内が自宅療養の時期には食事の用意をして勤めに出ていた。勤めが終わると、スーパーで夕食の材料を買って電車に揺られて帰っていたが、そんなことは一向苦にはならない。
 このお嬢さん、初めて父親のために弁当を作って仕事場を訪ねる。此処で建築の外壁を担当する父親のバリバリと仕事をしている姿と、一息入れているところを垣間見るのだが、一服終えた父親がまた仕事に戻るときに足を引きずっているのを見る。
   「足が痛いのだなァ」と、意外そうにお嬢さんが呟く。

 猫時は勝手に想像した。この父親、子供たちの前では、「痛い」と言ったことが無いのだろうと。
 自分もそうであった。父親たるもの、子供に弱いところや、悩んでいる姿を見せてはならないと思っていたのだ。まして、「養ってやっている」とか、「誰の所為で大きくなった」とか、「親の恩」みたいな恩着せがましい言葉は一度も吐かなかったはずだ。

   「恩は着るもの、着せてはならぬ」

 これは、橋幸夫がドドンパのリズムに乗せて歌う「花の仁義」のサビの一節である。



     こじつけ ごめん

 写真は、処方箋薬局にて

 




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