雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

猫爺の日記「猫爺の昼餌」 股旅演歌2

2016-03-26 | 日記
 「木曽ぶし三度笠」の巻

 1961年封切の大映の作品「木曽ぶし三度笠(小林勝彦・主演)」の主題歌で、橋幸夫が歌ったものだ。。

 最近、股旅演歌の人気があがり、この歌も、動画サイトの人気演歌である。いろんな方々がカバーしておられ、中でも歌の上手さ抜群のアマチュアの milkye326さん がカバーしておいでになるのが猫爺の好みである。

 ところで、動画サイトのカラオケや、画面に歌詞が挿入されているものに、誤字が多いので猫爺なりに推理してみた。これは、台湾で造られたカラオケがその原因ではないかと思う。

 この「木曽ぶし三度笠」も、気になるところがある。

   ◇やくざ渡世の 白無垢鉄火‥ で始まり

   ◇いつか水棹を長脇差に‥ 

 今は修正されているが、以前はこの「水棹」が「三棹」になっているものがあった。水棹とは、船頭が舟や筏の舵をとるために使った竹竿などで、川底を突いて舵取りや推進のために使ったものだ。

   ◇木曽のナー仲乗りさん‥ 

 この歌に挿入されている「木曽節」であるが、「仲」の字は、「仲が良い」「夫婦仲」「仲間」というときに使う複数のものの間柄を示すために使う文字である。「なか乗りさん」とは、職業であるため「中乗り」とするのが正しいと思うが、動画サイトでは「仲乗り」が蔓延しているようだ。

 二番の歌詞では、 
 
   ◇木曽の架橋 太田の渡津(わたし) ≪津とは、船着き場のこと≫
    越えて鵜沼(うぬま)が 発ち憎い

 以前、この「憎い」だけを引っ張り出して、「何が憎いのですか?」なんて的外れの質問をしている人が居た。

 これも、台湾で造られたカラオケの影響のようで、「にくい」に漢字を当てはめるなら「難い」とするところを、音のまま「憎い」としてしまったものだろう。この「憎い」が、動画サイトでは蔓延してしまい、日本の方が作られたと思われるカラオケの歌詞も、猫爺が知る限りでは殆ど「憎い」になっている。歌詞には何かを憎んでいる部分は無い。

 例え「憎い」であっても、もう少し歌詞をズームアウトしてみれば、「にくたらしい」のではなくて、「発ち難い」のだということが分かる。「旅に出なければならないが、後ろ髪を引かれる思いだ」という意味。「それは何故?」、次の詞を読めばわかることだ。


   ◇娘ごころが しん底不憫
    などと手めえも、惚れたくせ

 この主人公は「中乗り新三」と呼ばれているヤクザ者であるが、故郷の伊那には新三に惚れた娘が泣いて新三が旅に出るのを止めたのであった。
 自分に惚れた娘の心が不憫だと思う新三であったが、新三は自分に話しかけている。
   
   「そんなに恰好をつけているが、お前もあの娘に惚れているではないか」
 
 立ちにくいのは、その所為なのである。

 milkye326さんが作られた動画の歌詞は、ちゃんと「中乗りさん」と、「立ちにくい」と、元の詞どうりのカタカナ表示にしておられる。