雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

猫爺の日記「杖をパクられた」

2016-03-06 | 日記
 まさか杖なんて盗られないだろうと高を括っていたが、ヤラれてしまった。処方箋薬局の入り口に置かれた傘立てに杖を突き刺して店内に入ったのだが、出てきたときは消えていた。
 薬局の人にその旨を伝えて、誰かが「間違えていた」と、返しにきたら連絡して貰えるように頼んでおいたが、その後音沙汰はない。
 薬局の人も、痴呆症老人の「戯言」程度としか思っていないらしく、「どこか他の場所に置き忘れたのでは?」と、上の空で聞いていた。
 薬局に来た誰かが間違えて帰ったのだろうと、さしたる心配もしていなかったのだが、ここにきて、やはり盗まれたとしか思えない。
 仕方なく諦めて、コーナンで新しいのを(3800円)買ってきた。猫爺は目が悪くて杖を持っているのであって、ひとつには「ステータス」の積りなのだが、最近は杖を持った老人が多くて、雑踏のなかでは突きとばされたり、杖を蹴られたりその役割はあまり果たせてはいないが‥。

 杖といえばその昔、強度の弱視の青年が、白杖をつかずに歩いていたら、「何だ、見えるのですかぁ」と、知らぬ人に問いかけられたと言っておられた。そのニュアンスは、「目が見えるのに白杖を持っている」と、非難しているのだ。その白杖の持ち主は「少しは見えるのですよ」と、お答えになったそうであるが、障碍者用の杖など好んで持つ人がいるものか。体の障害をdefectしているのだ。猫爺はこの記事を読んでからというもの、心に引っかかったままである。
 「同情してあげろ」とは言わないが、無神経な言葉の投げ掛けは遠慮してあげて欲しいものだ。

 猫爺もこの度、杖を盗られた経験から、「まさかこんな物を」と考えるのを止めた。白杖だって、松葉杖だって、車椅子だって油断すれば盗まれるのだということを学んだのだ。