「安部公房全集007 1957.01-1957.11」 1998新潮社
「東欧を行く」という長いエッセーで、結局は理想とした社会主義や民主主義は見つからないわけだな。社会主義(共産主義)への失望はもうすでに始まっていたのだね。
マヤコフスキー・・・「ガラスの仮面」のマヤを連想したが、関係ないか。
「人間修業(小説)」は幽霊を使って存在しないものが存在するかのごとく振る舞う愚かさを見せられた。まあ、政治の世界とか経済界とかではよくありそうな態度だよね。
まあ、幽霊が登場して意思疎通ができ、壁が通り抜けられるのだとしたら、ほとんどの人間は情報を取り出すことに利用するだろうけどね。手っ取り早くは泥棒か。探偵なんてのもありだね。
「道」エッセイ なるほど日本の発展に鉄道は貢献したわけだが、道の整備を阻害して発展の妨害もしていたのか。まあ、そうだね、この20年後でもまだ舗装されていない道路がたくさんあったんだから。(でも70~80年代ってすごい勢いで道路が整備されたよね。そうか、道路の整備が進んでいれば、それだけ早く国鉄もなくなっていたのかもね)
「家(小説)」 う~ん、ずっといる「あれ」ご先祖様 ラストの「一服盛るべき」は・・・弟か?家を継ぐ、つなげる立場からすれば。
ってか、これは年金苦時代に突入している日本の姿からすれば、楢山節考的な匂いがしてしまいますな。
まあ、時代的にそれは無いだろうけど。
よくわからないものをそのまま引き継いでいる愚かさと、老人の知恵や老害も含めた話だろうか。
いやあ、別に面白くもない。
なんか、安部公房のエッセイや対談などで椎名麟三の方が面白いのではないかと思い始めた。まあ、安部公房の説明が上手いからなのだろうけど。
・・・椎名麟三全集・・・23巻か・・・