「携帯メール小説」佐藤正午/盛田隆二/「きらら」編集部選 2006小学館
『きらら』『webきらら』2004~2006年
佐藤正午の作品は、たぶん「正午派」(2009)にも収録されていたと思う。読んだ覚えがあるから。
携帯小説なんてくだらないというイメージがあったので、期待はしていなかったがまあ、いろいろとアイデアがありますね。
人によって好みはあるだろうけれど、私はひねりの利いたものが大好き!そういう意味では、選者の作品よりも面白いものが多かった。
「ベラボー夫人」 うん、ベラボーだ!次に似たようなものを読んだらくだらないと思うかもしれないが、今回は笑って、納得(感動)して、笑った。
「うなずく」なんて、笑いながら青ざめたよ。なんでもうなずいちゃダメだろ!
「雪国幻想」 おしい!もう、その『消火器』が落ちでいいじゃないか!そうすればドキドキしたまま終われるのに。
「台風コロッケ」 そうだよね。台風なんかでコロッケを用意するなんてばからしい。けど、『おいおい、独り占めかよ』という落ちと、それによってコロッケを食べたくなるという展開は納得です。
「スカートの中」 はははっ!下ネタ風のひっかけは悔しいけど、(自分を)笑えるね。
「星野ハイツ202」 裏切りの展開は面白いが、後半はいらないね。
「バトル」 こ・・・これは・・・『女は嘘をつくものだ』という開き直り!女性不信の反対側を行く!ある意味すごいな。
「牛乳嫌い」 人乳好き・・・浮気現場を見られた言い訳…使えるかも?
「ストレス」 カラオケは、実は≪プチ家出≫なのかも。
「このあと、女は男を突き飛ばし、トラックに撥ねさせました」 これは短編小説、長編調節にも応用できるナイスなアイデアだ。超能力か、手品とやらせか、どちらにしてもそのあとの女の行動はタイトル通りで正解だろう。間違っても、「ナイスアイデア」とか喜んで、この作品のような形で結婚を迫ってはいけない。
「雪の降る夜」 鶴の恩返し…そうなるよね。若い男のところへ間違ってきちゃったら。ってか、中国での鳥インフルエンザの始まりも、そういうことじゃないのかね?
「カマタさん」 当たり前の身構えるべき作品であるのに、迂闊にも油断していた!なるほど、そこへ向かっていたのか!
やっぱね、恋愛がらみが多くなっちゃうよね。
webで読む(買う)場合はお気に入りだけのフォルダーみたいなものを作れたりするんだろうか。あるといいな。自分選の編集本として。