はす向かいのママさん

出勤電車内にて更新している

昨夜は暇な時間に

今週いっぱいで店を閉める向かいのママが

顔を出した

向かいのビルの地下で店舗を変えながら

通算１７年も営業していたのだ

ここ最近は客足も離れ苦戦を強いられていた

何処か小さな店舗で手頃な場所があれば

移転も検討していたが

なかなか思う様な空きがなくて

取り敢えず今の場所での営業は

終了と言う事らしい

色んな思いの詰まったお店を閉めるのは

かなりの決断が行った事だろう

年齢的なものも大きいと思われる

この通りは裏通りに位置していて

私が勤め始めた１５年くらい前は

しょんべん横丁と呼ばれる小さな集合店舗もあった

見るからに古びた佇まいで

小さな小料理屋が向かい合わせに数軒並び

その奥には共同トイレがあった

当時はまだ５軒ほどお店が営業していた

高齢のママさんにはそれぞれ個性があって

お客さんも行ったり来たりしていた様だ

しょんべん横丁以外にも

赤ちょうちんを掲げた古い飲み屋もあった

それらのお店があった場所は

既にマンションが建ち

再開発地区らしい変貌を遂げている

向かいのママさんの店が入ったビルも

他に２店舗スナックが営業しており

裏通りとは言え遅くまで

千鳥足の酔っ払いを見かけたものだったが

ここ数年はすっかりその姿もなくなった


町は１０年も経てばかなり変わってしまう

その当時の思い出は心の中に刻まれていても

変わり果てた街並みに思い入れはない

飲み屋も同じだろう

馴染みの店が無くなったら

常連たちの喪失感は大きい

ママさんの店はこの後どうなるのだろう

誰かが新たな店を始めるのだろうか

彼女の雄姿を拝めるのもあと数日だ