面接希望

風が強い

さっきお洗濯をしたのだがベランダに干せなくて

仕方なく部屋干しにしている

こんなに良い天気なのに悔しい


先週の金曜日

慌しくカウンターの準備を整えていると

電話が鳴った

さっきカラオケ屋に機械の調子が悪いと連絡を入れたので

その返事かと思い、出てみると

「もしもし○○ですがエドナさんはいらっしゃいますか？」

聞きなれない名前である

何かの営業かと思ったら面接希望のアポだった

当店のホームページを見ての応募らしい

３８歳で歌舞伎町の人気店やガールズバーで働いた経験アリとの事

オカマバーだけでなく女性の店でも働いていたなんて…

失礼ながら声の感じは普通の男性だ

裏声を使って女っぽく話す様子もないし

じゃあ見た目がかなり女っぽいのだろうか

週３日くらい店に入りたいとの事

ちょうどマヤがこの日卒業してしまい

綺麗どころが居なくなるので

取りあえず次週の金曜日に体験入店してもらう事に


源氏名はミラーだと言う

ちょっと変わったネーミングだが面白そう

自宅でメイクしてくるそうなので

女装に関しては自信があるのか

はたまた人の目なんて知っちゃ居ないのかどちらかだろう

電車賃往復１０００円かかる処からの通勤だ


そして昨日の夕方

私のケータイが鳴った

ミラーからだ

何だろうか？キャンセルかしら？

「すいません、履歴書は必要ですか？」

「簡単なので良いから用意して来てね」

「お忙しい処申し訳ありませんでした」

寝てたから別に忙しくはないけれど

礼儀正しい子なのだと思った


そう言えばこの店は

昨日のジンクスの件も不思議だが

誰かが辞めると何処から聞いてきたのか偶然か

次の要員がすぐに決まる事が多いのだ

それまで面接希望の電話などまるでかかって来ないのに

誰かが辞めた数日後には応募があるのだ

ちょっと前に来た霊能力者のルーシーの顔が目に浮かぶ

「この場所に住む自縛霊が

　新しい生贄を求めて迷える子羊を呼び寄せたのよ」

ゴマメさんもマヤも半年の在籍だった

ミラーも…