仕事始め

仕事始めの昨夜はサナエさんが正月に

風邪をこじらしたとかで急遽休み

代わりにバンビに出てもらった


店の前の通りは閑散としていて人通りもまばら

「今日から仕事始めの人も多いだろうに

　みんな、さっさと帰っちゃったのかしら？」

などとバンビとヒマを嘆いていた


近所の居酒屋で飲んでいたマユミから電話

「だ～れだ？！解ったら飲みに行っってあげる」

ヒデミさんが最初に出たのだが全くマユミと気付かずに

私に救いを求める

あの微妙に甘えたような声は間違いなくマユミだ

「いま、友達と飲んでて３人で行くわ」

テーブルをセッティングしてメイクも直した

しかし中々現れない

彼女たちが飲んでる居酒屋はウチの店から１００メートル先だ

通りに出て、それらしき３人が歩いて来ないか眺めるも

相変わらず人通りはない

もう来ないのかしらと諦めたところへドアが開いた

「ごめ～ん！アイツら根性なしだから帰っちゃった」

ヘベレケのマユミが登場だ


席に着くなり携帯をいじりだした

「あっリカちゃ～ん、今化け物屋敷に居るんだけど来ない？」

リカも近所で飲んでたようで

電話を切ってから１０分でやって来た

マユミとリカは娘が同じ小学校なのでＰＴＡ仲間だ

マユミは２年前に新たに子供が出来たので

以前のように飲み歩けなくてストレスが溜まっている

飲み始めるとズルズルと長ッ尻になる彼女を

リカは嗜める

小一時間でマユミはタクシーを呼んで帰った

リカはもう少し飲みたいと隣の居酒屋へ私を誘った

他にお客さんも居なかったので少しだけ付き合う


雑炊を食べていたら隣町のＡのママから電話

「Ｔ社長と一緒なの、Ｍに迎えに来れる？」

リカとは今度またゆっくり飲む事を約束して

タクシーに手を上げる

そう言えば、明日はガス器具の検査があったんだ

Ｔ社長のアフターは長いので上手く抜けよう

その代わりバンビも連れて行って彼女を残そう

アフターの算段をしている内にＭに到着

社長をキレイどころが取り囲んで盛り上がっている

ドンペリが抜かれている

“お正月だから社長も機嫌が良いんだわ

　ウチの店でも冷蔵庫に冷えたのを用意してある

　久々に抜いてもらえるかしら…”

いやらしい皮算用をしていたらＡのママが見抜いたのか

「大丈夫よ、アンタのところでも抜いてくれるよ」

良かった、正月早々縁起が良い

時計を見ると３時４０分だ

そろそろ店に戻らなくては…

続きは又明日…