昨夜は10時過ぎにユリ子ちゃんカップルが一番乗り
「今日は私のダーリンを連れて来たわ~」
いつもはお友達のマキちゃんとお見えになるのだが
珍しくこの夜は殿方同伴だった
秋の夜長をオカマバーで盛り上がろうって
彼氏の手を引いてやって来てくれた
ダーリンはその昔アマチュアバンドを組んでいて
ドラムを担当していたそうだ
そのせいか歌がとっても上手で
いきなり「また逢う日まで」を熱唱
他に誰も居ない店内に
ダーリンのダイナミックなボーカルが響き渡った
声を張り上げても耳障りにならない
とても聞きやすい声質なのだ
私もヒデミもうっとりと聞き惚れていた
気を良くしたダーリンは次々と曲をチョイス
懐かしの洋楽からフォークやニューミュージックまで
気が付けば彼のリサイタルになっていた
「いつもこうなのよ
行きつけのスナックでも乗ると延々歌い続けて
止まらないわけ」
会話をしたのは最初の15分くらいで
あとはずっとダーリンの歌声を皆で聴いていた
私の場合、カラオケは話が途切れた時の端休めくらいに思っているので
2時間も3時間も同じお客さんのカラオケを聴いていると
眠くなってしまうのだ
しかもダーリンの歌声は耳に心地良くて子守唄には最適だ
てか他にお客さんが来ないのも寂しいけど…
「ごめん、もうちょっとマイクのボリューム上げてくれる」
店内は彼のオンステージだ
階上の住人たちになるべく配慮しながら
ほんのちょっとだけボリュームとエコーを上げた
ビリー・ジョエル、エルトン・ジョンと続いた所で
ドアが開いた
近所の店のママさんだ
このママさんは人の店が賑やかだと覗く癖がある
入りもしないのにドアだけ開けるのだ
カラオケで盛り上がっているので
さぞかし忙しいのかと思ったら
店内は閑散としている
「あら大した事ないじゃない」
そのまま帰って行った
何て常識のない人なのかしらとユリ子ちゃん達も呆れている
「ダーリンの歌声に吸い寄せられたんじゃないの?」
数十分後、ほんとに彼のボーカルに吸い寄せられてやって来たのが
アニメーターのYちゃんだった
相変わらず酔っ払っていて
ワケのわからない事を口走っているが
ダーリンの歌に合わせて一緒にガナっている
余計な事を言わない様にヒデミがフォローしている
Yちゃんの後には飲ませ屋のアッ君登場
最近病んでいる義妹のアイカを連れている
立川のキャバで苛めに遭っているそうだ
人一倍飲んで売り上げを伸ばしているのに
同僚のキャストたちは彼女に冷たく当たるらしく
ボーイたちも味方にはなってくれず
ストレスは溜まる一方らしい
店長はあまり店に現れないので
彼女を理解する人は誰も居ない
孤独なナンバー1なのだ
でもお客さんは解っている
よく見ていると思う
「だからめげずにファイトよ」と励ました
ユリ子とダーリンたちのカラオケがやっとストップした
時計を見ると4時だ
アニメーターのYちゃんは一足先に帰っていた
飲ませ屋アッ君も「そろそろ終わりだろ」と言って
会計を済ませた
アイカは酔っ払っているが
「世の中不景気で大変だけど
お互い何とか生き残って行きましょ」と
私は自分にも言い聞かせながら彼女の後姿に手を振った
それにしてもこの日のカラオケ代
結構良い数字を上げている
ダーリン、また暇な時に素敵な喉を披露しに来て~!
「今日は私のダーリンを連れて来たわ~」
いつもはお友達のマキちゃんとお見えになるのだが
珍しくこの夜は殿方同伴だった
秋の夜長をオカマバーで盛り上がろうって
彼氏の手を引いてやって来てくれた
ダーリンはその昔アマチュアバンドを組んでいて
ドラムを担当していたそうだ
そのせいか歌がとっても上手で
いきなり「また逢う日まで」を熱唱
他に誰も居ない店内に
ダーリンのダイナミックなボーカルが響き渡った
声を張り上げても耳障りにならない
とても聞きやすい声質なのだ
私もヒデミもうっとりと聞き惚れていた
気を良くしたダーリンは次々と曲をチョイス
懐かしの洋楽からフォークやニューミュージックまで
気が付けば彼のリサイタルになっていた
「いつもこうなのよ
行きつけのスナックでも乗ると延々歌い続けて
止まらないわけ」
会話をしたのは最初の15分くらいで
あとはずっとダーリンの歌声を皆で聴いていた
私の場合、カラオケは話が途切れた時の端休めくらいに思っているので
2時間も3時間も同じお客さんのカラオケを聴いていると
眠くなってしまうのだ
しかもダーリンの歌声は耳に心地良くて子守唄には最適だ
てか他にお客さんが来ないのも寂しいけど…
「ごめん、もうちょっとマイクのボリューム上げてくれる」
店内は彼のオンステージだ
階上の住人たちになるべく配慮しながら
ほんのちょっとだけボリュームとエコーを上げた
ビリー・ジョエル、エルトン・ジョンと続いた所で
ドアが開いた
近所の店のママさんだ
このママさんは人の店が賑やかだと覗く癖がある
入りもしないのにドアだけ開けるのだ
カラオケで盛り上がっているので
さぞかし忙しいのかと思ったら
店内は閑散としている
「あら大した事ないじゃない」
そのまま帰って行った
何て常識のない人なのかしらとユリ子ちゃん達も呆れている
「ダーリンの歌声に吸い寄せられたんじゃないの?」
数十分後、ほんとに彼のボーカルに吸い寄せられてやって来たのが
アニメーターのYちゃんだった
相変わらず酔っ払っていて
ワケのわからない事を口走っているが
ダーリンの歌に合わせて一緒にガナっている
余計な事を言わない様にヒデミがフォローしている
Yちゃんの後には飲ませ屋のアッ君登場
最近病んでいる義妹のアイカを連れている
立川のキャバで苛めに遭っているそうだ
人一倍飲んで売り上げを伸ばしているのに
同僚のキャストたちは彼女に冷たく当たるらしく
ボーイたちも味方にはなってくれず
ストレスは溜まる一方らしい
店長はあまり店に現れないので
彼女を理解する人は誰も居ない
孤独なナンバー1なのだ
でもお客さんは解っている
よく見ていると思う
「だからめげずにファイトよ」と励ました
ユリ子とダーリンたちのカラオケがやっとストップした
時計を見ると4時だ
アニメーターのYちゃんは一足先に帰っていた
飲ませ屋アッ君も「そろそろ終わりだろ」と言って
会計を済ませた
アイカは酔っ払っているが
「世の中不景気で大変だけど
お互い何とか生き残って行きましょ」と
私は自分にも言い聞かせながら彼女の後姿に手を振った
それにしてもこの日のカラオケ代
結構良い数字を上げている
ダーリン、また暇な時に素敵な喉を披露しに来て~!