昨夜の地震のせいだろう
か
部屋中に堆く積み上げていた諸々の中から一通の手紙が床に落ちていた
消印は87年となっている
私が大阪に住んでいた頃に届いたものだ
送り主は新宿2丁目でバイトしていた時に友達になったゲイだった
彼とは今でも懇意にしているが
趣味が合う事で2丁目の店を辞めて大阪に移り住んでも
お互い行ったり来たりの間柄で長電話もしょっちゅう
距離を感じさせない付き合いを続けていた
昭和も終わりに近付いた頃、私は再び上京するのだが
先程の手紙は頻繁にやり取りしていた頃の一通
中身は当時、お互いに愛好していたビデオ機器に関するマニアックな情報で
SONY信者の彼はEDベータと言う機種について熱く思いを綴っていた
それ以外にも他の友達の近況やら会社の事など
ゲイの友達が居ない大阪で、独り淋しく暮らす私をおもんばかっての内容だ
私も当時バイトしていたビデオ屋のカウンターで
日々のうつろいをしたためては返信していた
お互いに便箋ではなく、その辺のチラシの裏に小さな字で
日記の様にその日の出来事を書き連ね、ある程度まとまったら送ると言うパターンだった
彼からの手紙には写真が添えられていて
新幹線の中から手を振る、まだ20代の私の笑顔があった
バイト先から夏休みを貰い上京した時のものだろう
楽しかった思い出と共に大阪へ帰る間際のホームでの一枚だ
しばらく時間がタイムスリップした様な錯覚にとらわれた
あれから何十年
お互いに当時と環境は大きく変わって歳も重ねた
当時と違い住まいも昔ほど遠くはないが
仕事に追われる毎日で中々会う機会もないのだ
最近、彼からのメールである事をきっかけに数年振りに会う事になりそうだ
その時にはまた昔話に花が咲くに違いない
時間は戻って来ないが、気持ちだけはあの頃の様になれると良いけれど…
か
部屋中に堆く積み上げていた諸々の中から一通の手紙が床に落ちていた
消印は87年となっている
私が大阪に住んでいた頃に届いたものだ
送り主は新宿2丁目でバイトしていた時に友達になったゲイだった
彼とは今でも懇意にしているが
趣味が合う事で2丁目の店を辞めて大阪に移り住んでも
お互い行ったり来たりの間柄で長電話もしょっちゅう
距離を感じさせない付き合いを続けていた
昭和も終わりに近付いた頃、私は再び上京するのだが
先程の手紙は頻繁にやり取りしていた頃の一通
中身は当時、お互いに愛好していたビデオ機器に関するマニアックな情報で
SONY信者の彼はEDベータと言う機種について熱く思いを綴っていた
それ以外にも他の友達の近況やら会社の事など
ゲイの友達が居ない大阪で、独り淋しく暮らす私をおもんばかっての内容だ
私も当時バイトしていたビデオ屋のカウンターで
日々のうつろいをしたためては返信していた
お互いに便箋ではなく、その辺のチラシの裏に小さな字で
日記の様にその日の出来事を書き連ね、ある程度まとまったら送ると言うパターンだった
彼からの手紙には写真が添えられていて
新幹線の中から手を振る、まだ20代の私の笑顔があった
バイト先から夏休みを貰い上京した時のものだろう
楽しかった思い出と共に大阪へ帰る間際のホームでの一枚だ
しばらく時間がタイムスリップした様な錯覚にとらわれた
あれから何十年
お互いに当時と環境は大きく変わって歳も重ねた
当時と違い住まいも昔ほど遠くはないが
仕事に追われる毎日で中々会う機会もないのだ
最近、彼からのメールである事をきっかけに数年振りに会う事になりそうだ
その時にはまた昔話に花が咲くに違いない
時間は戻って来ないが、気持ちだけはあの頃の様になれると良いけれど…