先日のこと
仕事を終えて地元駅に着いた私は
始発バスを待つべくホームの待合室に入った
既に先客が数名
バスの始発まではあと20分以上ある
ガラス張りの待合室からは向かいの新宿行きホームが見える
郊外の駅なのでこの時間から既に乗客が列を作り始めている
ラッシュ前なのでロマンスカーも運行
都心へ向かうビジネスマンが日経を広げている
そんないつもと同じ朝の風景をぼんやり眺めていると
突然目の前に大柄の茶髪ロン毛ミュージシャン風味の性別不明物体が現れた
かなり酔っ払っているのか席に着いた途端
爆睡し始めたのだ
その大きな身体は向かいのホームの景色を遮ってしまうほどだ
よく見ると彫りの深いエキゾチックな顔立ち
それにしてもこの人は男?それとも女?
待合室は数分毎に人が入れ替わる
目的の電車が到着すると乗客は席を立つ
そして新たな乗客が入室して来るのだ
私の目の前の大柄な性別不明の酔客は
それらの乗客たちの目を奪っている
不幸な事にその隣の席しか選択肢のなかったご婦人は
今にも自分の方に身体を倒されそうな危機感で顔を強張らせている
それにしても大きな身体だ
その時、その大きな身体が大きく揺れて
先程から身の危険を感じているご婦人の膝に頭を乗せたのだ
ご婦人は逃げ遅れてその大きな漬物石の様な頭部の犠牲に…
本当にお気の毒な状態だが
ご婦人は何とかその物体をどけようとするが微動だにせず
仕方ないので声をかける
「もしもし、すみません、もしもし…」
待合室には既に私とそのご婦人、そして物体だけになっている
「あ、あ~ん、あっつゴメンナサイ!!!」
やっと深い眠りから醒めたその物体の正体が明らかになった
老婆の膝に頭を乗せて眠りこけていたのは
何と私と同業のオカマちゃんだったのだ
顔を上げた時に目が合って一瞬にして全てが理解できた
店でしこたま飲んだか飲まされたかで泥酔のまま電車に乗った彼女は
きっと途中で気持ちが悪くなったか
はたまたこの駅の周辺に住んでいるのか
取り敢えず下車した
そしてそのまま救いを求めるように待合室に駆け込んだ
しかし席に着いた途端激しい睡魔に襲われ
隣の老婆の膝を借りる事になったのだ
店でメイクを落とし着替えもして来たが
付け爪だけはそのままだった
しかもよく見るとインナーのタンクトップからは
ブラと思われる肩紐がはみ出ている
胸はそれほど目立たないのに女ごころなのね
ジーンズとスニーカーはメンズだが
大きなショルダーとトートバッグは無名ブランドだが女物だ
きっとドレスやミュール、それにメイク道具なども
その中にぎっしり入っているのだろう
勝手な想像だが彼女はきっとドリンク要員で
ボトルが空きそうなテーブルには必ず呼ばれてがぶ飲みさせられるのだろう
さっき老婆に揺り起こされた時の声は
寝起きと言う事を差っ引いたとしても、かなり酒やけしていた
そろそろバスの時間だ
老婆はさっさと立ち去りその席にはイケメンが腰掛けている
オカマちゃんはまたまた眠りこけている
しかも今度はイビキをかいている
待合室には相変わらず乗客が入れ替わりたち代わり入って来るが
彼女に一瞬目を留めるのだが
見てはいけないモノとして黙殺する
エアコンの効いたこの心地良い待合室で
彼女が次に目を覚ますのはいつ?
仕事を終えて地元駅に着いた私は
始発バスを待つべくホームの待合室に入った
既に先客が数名
バスの始発まではあと20分以上ある
ガラス張りの待合室からは向かいの新宿行きホームが見える
郊外の駅なのでこの時間から既に乗客が列を作り始めている
ラッシュ前なのでロマンスカーも運行
都心へ向かうビジネスマンが日経を広げている
そんないつもと同じ朝の風景をぼんやり眺めていると
突然目の前に大柄の茶髪ロン毛ミュージシャン風味の性別不明物体が現れた
かなり酔っ払っているのか席に着いた途端
爆睡し始めたのだ
その大きな身体は向かいのホームの景色を遮ってしまうほどだ
よく見ると彫りの深いエキゾチックな顔立ち
それにしてもこの人は男?それとも女?
待合室は数分毎に人が入れ替わる
目的の電車が到着すると乗客は席を立つ
そして新たな乗客が入室して来るのだ
私の目の前の大柄な性別不明の酔客は
それらの乗客たちの目を奪っている
不幸な事にその隣の席しか選択肢のなかったご婦人は
今にも自分の方に身体を倒されそうな危機感で顔を強張らせている
それにしても大きな身体だ
その時、その大きな身体が大きく揺れて
先程から身の危険を感じているご婦人の膝に頭を乗せたのだ
ご婦人は逃げ遅れてその大きな漬物石の様な頭部の犠牲に…
本当にお気の毒な状態だが
ご婦人は何とかその物体をどけようとするが微動だにせず
仕方ないので声をかける
「もしもし、すみません、もしもし…」
待合室には既に私とそのご婦人、そして物体だけになっている
「あ、あ~ん、あっつゴメンナサイ!!!」
やっと深い眠りから醒めたその物体の正体が明らかになった
老婆の膝に頭を乗せて眠りこけていたのは
何と私と同業のオカマちゃんだったのだ
顔を上げた時に目が合って一瞬にして全てが理解できた
店でしこたま飲んだか飲まされたかで泥酔のまま電車に乗った彼女は
きっと途中で気持ちが悪くなったか
はたまたこの駅の周辺に住んでいるのか
取り敢えず下車した
そしてそのまま救いを求めるように待合室に駆け込んだ
しかし席に着いた途端激しい睡魔に襲われ
隣の老婆の膝を借りる事になったのだ
店でメイクを落とし着替えもして来たが
付け爪だけはそのままだった
しかもよく見るとインナーのタンクトップからは
ブラと思われる肩紐がはみ出ている
胸はそれほど目立たないのに女ごころなのね
ジーンズとスニーカーはメンズだが
大きなショルダーとトートバッグは無名ブランドだが女物だ
きっとドレスやミュール、それにメイク道具なども
その中にぎっしり入っているのだろう
勝手な想像だが彼女はきっとドリンク要員で
ボトルが空きそうなテーブルには必ず呼ばれてがぶ飲みさせられるのだろう
さっき老婆に揺り起こされた時の声は
寝起きと言う事を差っ引いたとしても、かなり酒やけしていた
そろそろバスの時間だ
老婆はさっさと立ち去りその席にはイケメンが腰掛けている
オカマちゃんはまたまた眠りこけている
しかも今度はイビキをかいている
待合室には相変わらず乗客が入れ替わりたち代わり入って来るが
彼女に一瞬目を留めるのだが
見てはいけないモノとして黙殺する
エアコンの効いたこの心地良い待合室で
彼女が次に目を覚ますのはいつ?