リッスン・トゥ・ハー

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隣室の音、我慢できなかった

2009-06-25 | リッスン・トゥ・ハー
聞いているんだろうくそ野郎が、と聞こえた。耳をすましていたわけではない、寝転がってうとうとしているとふいに隣室から音が聞こえてきて、最初は気にならなかったが、それがずっと続いているのでさすがに腹が立ってきて、そういえば次第に大きくなってるような気もするし、少し注意していれば内容もわかるぐらいの大きさだったから聞いていたのだ。すると突然である。まず心臓がどくんと波打つ、僕はもともと度胸の或る人間ではない。度胸があれば今こうして、人のかわりに無理矢理、那覇にクレーム対応になんかきやしない。期待されているわけでもない、那覇は決して嫌いではないが、わざわざクレームを受けにくるほど好きでもない。どちらかといえばどうでもい。それで今日、さんざん罵られてやれやれようやく終わったとホテルに帰ってきたところだった。本当なら、コンビニエンスストアで買ったカップ酒でもあおって、つまみ片手にスポーツニュースを見ている所だった。関係ない、と僕はつぶやく、僕が聞いていることを隣室の相手が知っているわけがないのだ。知らん振りをしても無駄だくそ野郎が、とまた聞こえた。糞やろう、糞やろう、まったく下らんくそ野郎が、と聞こえた。糞やろう、糞やろう、その声は昼間に僕を罵った声に似ていた。いや、その声そのものだった。あの銀縁メガネの7:3分けが隣室までやってきて不当なクレームをほざいているのか、僕は不快になった。昼間はただひたすら頭を下げていた。たいていのクレームはそれで収まる。そうなれば占めたものだった。が今日は頭を下げれば下げるほどひどくなった。癇に障るのだろうか、僕は足蹴にされた、ひどく足蹴にされた。糞やろう、糞やろう、カップ酒がこぼれた。ばらばらとつまみはカーペットの上に落下していく。隣人がわめく。OK、さようなら人類。

精鋭の革命防衛隊投入

2009-06-25 | リッスン・トゥ・ハー
より選りのものたちだ。間違いない。まず風貌からしてひと味違う。俺は、あるいはあたしは修羅場乗り越えてここにいるんだから、という気概が感じられる、その表情、その匂い、その目、様々なところから感じられる。そして何より、サランラップを腹に巻いている。一人残らず巻いている。防御力からいえば、何のプラスにもならないほどの薄さで、おそらく銃で撃たれれば致命傷になりかねないがしかし、革命防衛隊はひとりのこらず腹にサランラップを巻いただけのスタイル。それが一体何を意味しているのかはわからない、よく強いものが見せる寡黙さで、黙ったまま、タバコをのみながら命令を待っている。あるいは革命が始まったら自動的に決められた通り動くのだろう。何か聞こうものなら、じゃあお前はサランラップの強度を知っているのか?と問われ、いや、あんまり考えたことないからわかりません、とか応えたら、それ見たことかと殴られそうな雰囲気がある。そして私は革命の勃発の合図、いつだそうかいつだそうかセブンイレブンで立ち読みしながら、考えている。