リッスン・トゥ・ハー

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コンクリートの塊から1万円札300枚

2009-06-08 | リッスン・トゥ・ハー
一枚、一枚、また一枚と掘り出していく。歓声はやがて悲鳴にかわる。なぜなら、301枚になってしまうと没収されてしまう。法律でそう決められている。なんの躊躇もなく301枚以上の一万円札は、国のものである、と役人がやってきて、というかもう呼んでてきてるんだけど、そうしないと怒られるから、すっごい怒られるから仕方ない、誰も呼びたくなかったけれど、まさか301枚に達すると思ってないし、役人も、もうええって、と言う感じの表情で、仕方なくそこにいる感じだったけど、次第に頬を赤らめて、もしかすると俺の出番ありそうやんか、と身を乗り出す。そもそもコンクリートを割っていたのは、その後ろに死体を隠すためで、なぜ死体を処理しなければならないかはまた別の話だから今回は触れないけれど、死体が隣の部屋に置いてあるのが役人に知れたらまたそれはそれで非常にまずいわけ。頑張りましたよ、で、300枚目、固唾をのんで見守る数人の影、静かにかすかに動く、動く、動く。刹那。