リッスン・トゥ・ハー

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ザ・首相

2009-06-04 | リッスン・トゥ・ハー
まだ立ち上がりやがった。
つばを飲み込む、のどはからからに乾いていた。ひどく右手が痛かった。ほのかに赤くなっている。
立ち上がった首相の頬はその倍ほど赤くなっていた。いや、すでに青くなっている。長期間にわたって殴り続けているにもかかわらず、首相は立ち上がってきた。さらに、立ち上がるたびに薄ら笑いをし、非常に気味が悪かった。お前の力はそんなものか、外務大臣の左フックの一発にも満たないではないか、そんなつぶやきが聞こえてくる気がした。最初は、はじめのうちはまだ苦しんでいた。やめてくれぇ、と叫び、全身で逃げ惑い、見苦しくうめいていた、許しを請うていた。それが次第に冷静になり、機械的に立ち上がるだけになっていった。いたみどころかいっさいの感情が感じられなかった。恐怖が腹の底から沸々とわいてくる。向こうから攻撃を加えてくるわけでもなく、こちらの攻撃をそのまま受けて、立ち上がった。風が吹いた。予算審議会は続く。