夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

東京新聞の特集「原発事故最初の一週間」が素晴らしい

2011年05月20日 | 社会問題
 5月11日から始まった東京新聞の第一面トップの特集である。一日を何回にも分けて、原発の情況と、それに対する東電や監視委員、政府の対応を明らかにしている。だから、どこで誰がどのような騙しの発言をしたのかが明確になる。これは非常に有用な記事である。ずっと騙され続けて来たのだ、と言う事は最近になって分かったが、その時々にどのように騙されていたのかは、当時の新聞をきちんと保存してでもいない限りは分からない。更にはそれをきちんと付き合わせて検証しない限りは分からない。だから当然の事に、うやむやになってしまう。
 今日20日は3月15日午前6時14分から17日午前10時22分までで、そこに日本の無力さと言うか無責任な実体が浮き彫りになる事が書かれている。

 4号機の屋根や壁が壊れていたが、原子力安全委員長達は4号機は眼中になかった。しかし4号機の使用済み核燃料プールには1~4号機全体の半分の燃料棒の束があったのである。使用済みとの名前ではあるが、その内の3分の1は使用途中で熱を出し続けていた。プールの温度は普段は30度以下だが、14日午前4時には84度に上がっていた。しかし経済産業省原子力安全・保安院や東電は放置していた。
 アメリカは16日の段階で、米原子力規制委員長は4号機のプールで大部分の水が無いととらえていたと言う。アメリカは独自に情報を入手して解析し、プールが冷やせなくなって、5日目の16日には燃料棒がむき出しになると予測していた。既に温度は2000度を越え、燃料棒が溶け出すおそれがあるとして「何もしなければ米国は日本政府を信頼しない、とメッセージを出す」と通告して来たと言う。

 アメリカが独自に情報を入手して、正確に情況を判断出来ているのに、日本は無為無策だったのはなぜなのか。そしてやった事はと言えば、放射能で危険な上空からのヘリによる海水投下を、菅総理が強行にやらせた事だった。記事は次のように書いている。

 プールを冷やす効果は知れている。だが派手な投下シーンはテレビ中継され、懸命の活動をアピールした。

 今更テレビに文句を付けても始まらないが、効果のほとんど無い事を派手に報道するのは国民を騙す事になる。原発ムラからの発表が騙しだった事が発覚して、マスメディアへの非難が高まった。それに対して、フジテレビのあるワイドショーの司会者が、自分達は情報を信じて番組をやって来たのだから、と困惑の表情で語っていたが、何を馬鹿な事を言っているのか。その情報が真実かどうかを確認して報道するのがあんたらの役目じゃないか。