千艸の小部屋

四季折々の自然、生活の思いを、時には詩や創作を織り交ぜながら綴りたい。

猫のことなど

2011年07月14日 | 日記
 猫たちは、モンプチの缶詰つきで家に来た。
 離乳期に入った頃のこと。
 手のひらに乗せたら怯えている。
 白と黒。
 生後まもない猫たちに、娘たちと会いに行った。
 目がやっと開いたばかりの六匹の子猫。
 私に近寄って甘えた声をだす二匹に決めた。
 二匹も、大丈夫なのと娘たち。
 その家のおばあちゃんは、白い方は行く先が決まっていると言う。
 この子、かわいいんです。
 何とかなりませんか。
 おばあちゃんが奥に引っ込んで電話をする。
 戻って来たときの表情がにこにこしていた。
 孫の友だちのお母さんなら、他の子と取り替えてもいいと言っています。
 それで決まった。
 猫嫌いだった私は、小学生の娘たちが、こっそり物置に隠していた猫の姿を見て、いた場所に返してきなさい、と怒った。娘たちは、何度母を恨んだことだろう。
 ところが、またしても家の中におかしな気配が漂いはじめた。中一、二となった娘たちが何かかくしごとをしている。それも自分たちの部屋で。三日目に気がついた。季節は秋だっただろうか。
 カーテンを隔てた窓辺で、子猫がかすかに鳴いた。
 器量の悪い雄猫だった。水とミルクがそこに用意されていたが、私をみて怯えきっていた。
 あらあら、かわいそうに。黒と白のまだらな猫を抱き上げた。

 このときから、猫を家族とする暮らしが始まった。
 娘たちは、名前を私に任せた。
 鼻のあたりが黒く目立ったので、ハナと名づける。
 そのハナも、妹の家族がポメラニアンを連れてくるので、ある年の夏、花火の怖さもあって、家出をしてそれっきりである。
 私の落胆はただごとではなかった。
 半年が過ぎ、また半年が過ぎ、娘たちは高校生。
 娘の友人の家に子猫が生まれた。
 その話に飛びついたのは私である。

 一匹もらえる約束だった。
 それが二匹。
 こうして、手のひらに乗るほどの愛しき子らは私たちの家族となった。
 名前はシド&ナンシーに決まった。
 もう、一匹ではなく、二人は家族の一員となったのだ。
 猫の話はまた。





 薬が切れたので診療所へ。
 血管を拡げたり、血圧を下げたり、血液の流れをよくする薬を、朝一回分だけ二種類をもらってくる。
 血圧異常なし、他に変化なく、さしあたっての問題はない。以前はもっと服用を必要とした。

 参加したデッサン会で、さる教室の師が昼食時に薬のケースを持参。服用薬の多いのに驚いた。
 先輩たちが、その方に問いただしていた。パリに行かれたのはいつですか。去年は結婚式に招かれただけ。絵を描くための滞在はどのくらいですか。最低二週間かな。その細さでエネルギーがあるな。年齢は60代後半か。見た目もいい。 モテそうなタイプ。私は新人なので、黙って聞いていた。こんなに薬、大丈夫なのかなと思った。
 会の違うベテラン女性が、わあ~っ、先生はお会いしてみたかった方なんです、お会いできて嬉しいです、天井に届くかと思うくらいのはずんだ声。
 去年もお会いしているはずなのにな。おおげさな人って、どこにもいるものだ。

 酷暑の日がつづく。
 川もけだるそう。


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