議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

「議会雑感」開設900日

2017-07-27 | ひとこと
「議会雑感」開設900日を迎えました。
                    
ふとした思いつきで始めたブログですが、ご覧いただいている皆さまのおかげで、この間続けることができました。

本当にありがとうございます。

これまで以下の2点を大事にしつつ、このブログを通じて、政治に関心を持っていただける方が1人でもいらっしゃれば、との思いで続けてきました。

○国会法等を引用しつつ、時々の話題を交えながら国会のルールを紹介すること
○匿名で政策の是非には触れない範囲にとどめること


個別政策に関する記事は、検索すればすぐにたどり着けますが、国会にまつわるルール等については一般的でないため、なかなかまとめて目にすることができません。

よって、私自身の備忘録を兼ねて、思いつきで始めたのがこのブログでした。

本来であれば、国会法や議院規則を体系的に紹介するのが筋だとは思いますが、その時々の話題を交えたり、ちょっと気になることを絡めたりして、話題を提供する方がご覧いただきやすいのではないか、との思いで今の形になっています。

そんな中、時々開放するコメント欄に頂戴する多くの激励や質問が、私の励みになっていますし、気づきにもなっています。

最近、思うように更新がかなわない状態が続いていますが、細々とでも続けていけるよう頑張ります。

また、立法府たる国会が、その権能と機能を如何なく発揮できるよう、議会人のひとりとして矜持を持ち、これからも諦めることなく前を向いて走り続けます。
                   
[追記]
いつもご覧いただいている皆さまのご意見・ご感想を頂戴致したく、約7か月ぶりにコメント欄を開放することにします。

といっても、これまでと同じく、コメント欄に投稿いただいても私が拝読するのみで、公開しないことが前提です。ただ、コメント欄にいただくご意見が励みとなっています。

前回のコメント欄開放時には、多くのご質問も頂戴し、ブログを更新することで回答させていただきました。私自身の勉強になることも多く、新たな気づきを幾つもいただいたことに心から感謝しています。本当にありがとうございます。

衆参のちょっとした違い(特別委員会の設置-その3)

2017-07-14 | 国会雑学
平成29年6月18日に閉会した第193回国会は、天皇陛下の退位等に関して皇室典範特例法が可決・成立した歴史に残る国会でもありました。

本皇室典範特例法案は、衆議院では「議院運営委員会」、参議院では「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会」で審査されました。

今回は、皇室案件に関係する議論や審査が内閣委員会で扱われなかった場合、どこで行われたのかを概観します。

衆参それぞれに、特別委員会もしくは起草委員会、議長発議などの形態、特別委等であればその規模、設置年月日と期間について記載しています。

[皇室案件に関係する国会の主な対応等]

○昭和22年8月~9月 第1回国会

衆議院:皇室経済法施行特別委員会 (20名) 昭和22年8月14日~8月29日
参議院:皇室経済法施行特別委員会 (20名) 昭和22年8月15日~9月18日

○昭和27年5月 第10回国会

衆議院:皇太后陛下崩御につき弔詞起草委員の会 (15名) 昭和26年5月19日~5月19日
参議院:弔詞案起草に関する特別委員会 (24名) 昭和26年5月19日~5月19日

○昭和27年11月 第15回国会

衆議院:賀詞案起草は衆院議長に一任 (本会議) 昭和27年11月7日
参議院:立太子の礼及び成年式につきたてまつる賀詞案起草特別委員会 (24名) 昭和27年11月8日~11月8日

○平成元年1月 第114回国会

衆議院:大行天皇崩御につき弔詞起草委員会 (24名) 平成元年1月9日~1月9日
参議院:弔詞案起草に関する特別委員会 (23名) 平成元年1月9日~1月9日

○平成2年11月 第119回国会

衆議院:即位の礼に当たり賀詞起草委員会 (25名) 平成2年11月6日~11月6日
参議院:賀詞案起草に関する特別委員会 (25名) 平成2年11月7日~11月7日

○平成3年2月 第120回国会

衆議院:賀詞案起草は衆院議長に一任 (本会議) 平成3年2月7日
参議院:賀詞案起草に関する特別委員会 (25名) 平成3年2月13日~2月13日

○平成29年5月~6月 第193回国会

衆議院:議院運営委員会 (32名)
参議院:天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会 (25名) 平成29年5月26日~6月9日

上記を概観すると第193回国会での皇室典範特例法案が、衆議院の議運委で扱われたことは異例だったといえます。

参議院特別委員長の委員長報告は、こう締めくくられています。

「以上でございますが、この際、一言申し上げます。本法律案の立案に至るまで、衆参正副議長、各政党・各会派の皆様方の多大なる御尽力がありましたことを申し添えさせていただきます。」

[衆参のちょっとした違いシリーズ]

衆参のちょっとした違い(本会議場の議席数とその配置)」 平成27年4月4日
衆参のちょっとした違い(本会議の出欠)」 平成27年4月5日
衆参のちょっとした違い(記名投票とは-その2)」 平成27年4月15日
衆参のちょっとした違い(総理入り委員会質疑の風景)」 平成27年6月17日
衆参のちょっとした違い(本会議-その1)」 平成27年8月16日
衆参のちょっとした違い(本会議-その2)」 平成27年8月17日
衆参のちょっとした違い(本会議-その3)」 平成27年8月18日
衆参のちょっとした違い(先例冊子等の呼称)」 平成28年2月28日
衆参のちょっとした違い(常任委員会の名称)」 平成28年3月14日
衆参のちょっとした違い(常任委員会の所管)」 平成28年3月16日
衆参のちょっとした違い(議院運営委員会-その1)」 平成28年4月10日
衆参のちょっとした違い(議院運営委員会-その2)」 平成28年4月11日
衆参のちょっとした違い(傍聴規則-その1)」 平成28年4月28日
衆参のちょっとした違い(傍聴規則-その2)」 平成28年4月30日
衆参のちょっとした違い-国会事務局の定員」 平成28年6月24日
衆参のちょっとした違い(閉会中審査・継続審査-その1)」 平成28年6月26日
衆参のちょっとした違い(閉会中審査・継続審査-その2)」 平成28年6月28日
衆参のちょっとした違い(VODの公開期間)」 平成29年1月26日
衆参のちょっとした違い(特別委員会の設置-その1)」 平成29年7月12日
衆参のちょっとした違い(特別委員会の設置-その2)」 平成29年7月13日

衆参のちょっとした違い(特別委員会の設置-その2)

2017-07-13 | 国会雑学
衆参のちょっとした違い(特別委員会の設置-その1」では、参議院で特別委員会を設置したのに、衆議院で設置しなかった例を紹介しましたので、今回は、衆議院で特別委員会を設置したのに、参議院で設置しなかった例を紹介したいと思います。

前回紹介したとおり、審査のための特別委員会の設置については、法案が衆議院から送付されない場合、参議院において特別委員会を設置する必要がないため、参議院のみ設置された例は平成以降4例ですが、衆議院のみ設置された例は当然ながら参議院のみの場合より多くなります。

[審査のための特別委員会を衆議院のみ設置した例(平成以降)]

○平成6年 第131臨時会 税制改革に関する特別委員会(45名)
○平成9年 第141臨時会 財政構造改革の推進等に関する特別委員会(50名)
○平成13年 第153臨時会 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会(45名)
○平成14年 第155臨時会 特殊法人等改革に関する特別委員会(40名)
○平成15年 第156回国会 イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会(45名)
○平成19年 第166回国会 教育再生に関する特別委員会(45名)
○平成23、24年 第177回国会~第180回国会 郵政改革に関する特別委員会(45名)

次に、衆議院では特別委で審査された法案が、参議院でどの委員会に付託されたのかを見てみたいと思います。

平成6年 衆:税制改革に関する特別委、参:大蔵委員会
平成9年 衆:財政構造改革に関する特別委、参:農水委員会、行財政・税制等特別委員会
平成13年 衆:テロ防止等に関する特別委、参:外防委員会、国交委員会
平成14年 衆:特殊法人改革に関する特別委、参:内閣委、沖北特委、総務委、外防委、財金委、文教委、厚労委、農水委、経産委、国交委
平成15年 衆:イラク復興支援等に関する特別委、参:外防委員会
平成19年 衆:教育再生に関する特別委、参:文教委員会
平成23、24年 衆:郵政改革に関する特別委、参:総務委員会

[衆参のちょっとした違いシリーズ]

衆参のちょっとした違い(本会議場の議席数とその配置)」 平成27年4月4日
衆参のちょっとした違い(本会議の出欠)」 平成27年4月5日
衆参のちょっとした違い(記名投票とは-その2)」 平成27年4月15日
衆参のちょっとした違い(総理入り委員会質疑の風景)」 平成27年6月17日
衆参のちょっとした違い(本会議-その1)」 平成27年8月16日
衆参のちょっとした違い(本会議-その2)」 平成27年8月17日
衆参のちょっとした違い(本会議-その3)」 平成27年8月18日
衆参のちょっとした違い(先例冊子等の呼称)」 平成28年2月28日
衆参のちょっとした違い(常任委員会の名称)」 平成28年3月14日
衆参のちょっとした違い(常任委員会の所管)」 平成28年3月16日
衆参のちょっとした違い(議院運営委員会-その1)」 平成28年4月10日
衆参のちょっとした違い(議院運営委員会-その2)」 平成28年4月11日
衆参のちょっとした違い(傍聴規則-その1)」 平成28年4月28日
衆参のちょっとした違い(傍聴規則-その2)」 平成28年4月30日
衆参のちょっとした違い-国会事務局の定員」 平成28年6月24日
衆参のちょっとした違い(閉会中審査・継続審査-その1)」 平成28年6月26日
衆参のちょっとした違い(閉会中審査・継続審査-その2)」 平成28年6月28日
衆参のちょっとした違い(VODの公開期間)」 平成29年1月26日
衆参のちょっとした違い(特別委員会の設置-その1)」 平成29年7月12日

衆参のちょっとした違い(特別委員会の設置-その1)

2017-07-12 | 国会雑学
久々に、「衆参のちょっとした違い」シリーズです。

特別委員会の設置については、これまで「特別委員会の設置-その1」「特別委員会の設置-その2」「特別委員会の設置-その3」で紹介してきたところですが、今回は、衆参で特別委員会設置の対応が異なった例を概観していきたいと思います。

平成以降、特別委員会の設置で衆議院と参議院が異なった対応をした例は幾つかあります。

審査のための特別委員会の設置については、衆議院から法案が送付されない場合、参議院において特別委員会を設置する必要がないためです。

よって、衆議院で特別委員会を設置したのに、参議院で設置しなかったという例の方が多くなります(次回紹介します)。

他方、参議院で特別委員会を設置したのに、衆議院で設置しなかった例は、これまで4回しかありません。

[審査のための特別委員会を参議院のみ設置した例(平成以降)]

○平成8年 第136回国会 海洋法条約等に関する特別委員会(30名)
○平成9年 第140回国会 臓器の移植に関する特別委員会(35名)
○平成11年 第145回国会 国旗及び国歌に関する特別委員会(25名)
○平成29年 第193回国会 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会(25名)


次に、参議院では特別委で審査された法案が、衆議院でどの委員会に付託されたのかを見てみたいと思います。

平成8年 参:海洋法条約等に関する特別委、衆:運輸委員会・農水委員会・科学技術委員会・外務委員会
平成9年 参:臓器の移植に関する特別委、衆:厚生委員会
平成11年 参:国旗及び国歌に関する特別委、衆:内閣委員会
平成29年 参:皇室典範特例法案特別委、衆:議運委員会

[衆参のちょっとした違いシリーズ]

衆参のちょっとした違い(本会議場の議席数とその配置)」 平成27年4月4日
衆参のちょっとした違い(本会議の出欠)」 平成27年4月5日
衆参のちょっとした違い(記名投票とは-その2)」 平成27年4月15日
衆参のちょっとした違い(総理入り委員会質疑の風景)」 平成27年6月17日
衆参のちょっとした違い(本会議-その1)」 平成27年8月16日
衆参のちょっとした違い(本会議-その2)」 平成27年8月17日
衆参のちょっとした違い(本会議-その3)」 平成27年8月18日
衆参のちょっとした違い(先例冊子等の呼称)」 平成28年2月28日
衆参のちょっとした違い(常任委員会の名称)」 平成28年3月14日
衆参のちょっとした違い(常任委員会の所管)」 平成28年3月16日
衆参のちょっとした違い(議院運営委員会-その1)」 平成28年4月10日
衆参のちょっとした違い(議院運営委員会-その2)」 平成28年4月11日
衆参のちょっとした違い(傍聴規則-その1)」 平成28年4月28日
衆参のちょっとした違い(傍聴規則-その2)」 平成28年4月30日
衆参のちょっとした違い-国会事務局の定員」 平成28年6月24日
衆参のちょっとした違い(閉会中審査・継続審査-その1)」 平成28年6月26日
衆参のちょっとした違い(閉会中審査・継続審査-その2)」 平成28年6月28日
衆参のちょっとした違い(VODの公開期間)」 平成29年1月26日

連合審査会の手続き

2017-07-10 | 国会雑学
平成29年7月10日、第193回国会閉会後の閉会中審査が衆参両院で行われます。

衆議院:文部科学委員会・内閣委員会の連合審査会(9時~13時)
参議院:文教科学委員会・内閣委員会の連合審査会(14時~17時)

※衆議院が文部科学委員会で、参議院が文教科学委員会と委員会名が異なる理由は、「衆参のちょっとした違い(常任委員会の名称)」をご覧下さい。

なお、案件名と連合申入れの方法は以下のとおりです。

衆議院:文部科学行政の基本施策に関する件(国家戦略特区における学部新設について)
参議院:国家戦略特区における学部新設に関する件

それぞれ、内閣委員会から連合審査会開会申入れが、文部科学・文教科学委員会にあり、文部科学・文教科学委員会が受諾することで連合審査会が行われますので、文部科学・文教科学委員会が主たる委員会(親委員会)、申入れをした内閣委員会は従たる委員会(子の委員会)となります。

よって、会議の整理者は、親委員会の委員長である、文部科学・文教科学委員長となり、連合審査会において理事会協議となった案件については、文科委員会理事会で協議することと整理されています。

また、今回の出席大臣は以下のとおりです。なお、総理はG20終了後の外遊中のため、出席がありません。

常時出席:文部科学大臣、内閣府特命担当大臣
要求大臣:内閣官房長官
(但し、官房長官の定例記者会見のため、衆院では10時45分~11時30分、参院では15時45分~16時30分まで退出)

今回の連合審査会では、第193回国会開会中、参考人招致について与野党間で調わなかった前文部科学事務次官が、参考人として出席することとなり、大きな注目を集めています。

連合審査会(再掲)

2017-07-09 | 国会ルール
2年以上前のエントリーで「連合審査会」について紹介しましたが、衆参両院で閉会中審査として連合審査会が開会されることに鑑み、再掲します。

なお、この次のエントリーで具体的な流れを紹介したいと思います。

○衆議院規則第60条

委員会は、審査又は調査のため必要があるときは、他の委員会と協議して、連合審査会を開くことができる。

○参議院規則第36条

委員会は、審査又は調査のため必要があるときは、他の委員会又は調査会と協議して連合審査会を開くことができる。


今日は、参議院で連合審査会が開会されました。

年金情報流出事案を受け、個人情報のセキュリティが、なお一層取り沙汰されることになるであろう、個人情報保護法及びマイナンバー法一部改正案の審議において行われました。

委員会の審査又は調査は、付託を受けた委員会においてなされるのが原則ですが、関連のある他の委員会と連合して審査会を開き、他の委員会の委員に審査又は調査に参加することを、議院規則で認めています。

○参議院委員会先例録228

連合審査会は、案件を付託されている委員会が、その案件に関連のある他の委員会から開会の申入れを受け、これを受諾して開くのを例とする


個人情報保護法及びマイナンバー法一部改正案は、内閣委員会に付託されていますが、今日は、財政金融委員会との連合審査会でした。この場合、法案が付託されている内閣委員会を主たる委員会(親委員会)といい、申入れをした財金委員会を従たる委員会(子の委員会)と呼びます。

ただし、主たる委員会(親委員会)が他の委員会に申し入れ、開会されることも少なくないですし、関連する案件が付託されている複数の委員会が、相互に開会を申入れ、開会されることもあります。

一方で、申入れが拒否された例もあります。

連合審査会は、独立の審査機関として設けられたものではないため、単に案件の説明を聴き、質疑等をするだけで採決は行われず、国会法にも何らの規定もありません。

よって、連合審査会という制度は、議院規則において設けられたものですが、衆参両院において重要な機能を果たしています。