議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

決議案の取り扱い

2018-09-30 | 雑感
〇国会法第56条の2

議案が発議又は提出されたときは、議長は、これを適当の委員会に付託し、その審査を経て会議に付する。但し、特に緊急を要するものは、発議者又は提出者の要求に基き、議院の議決で委員会の審査を省略することができる。

過日、約1年ぶりに開放したコメント欄に多くのご意見・ご感想を頂戴しました。
本当にありがとうございました。

すべてが貴重なご意見ですが、なかでも筆者の心に刺さったひとつを一部加工の上、ご紹介します。

[頂戴したコメント]

ブログにていつも勉強させていただいております。

通りすがりながら、先の常会における参議院での決議案の取り扱いについては結構な問題をはらんでいるように思う次第です。

というのは、要件を満たして提出された常任委員長解任決議案を、野党第1会派が提出会派に加わっていないからとして委員会審査省略を否決した挙句、委員会に付託しないという判断がなされたことです。

院の役員の信任という院の自律性にとって非常に重要である初出の決議案を審査しないというのは、院にとって非常に厳しい判断であり、あるいは自殺行為とも思われるところです。

国会法第56条にあるとおり、議案が発議されたときは議長はこれを適当な委員会に付託しなければならないとされており、委員会審査省略要求が否決されたならば、当該決議案はただちに適当な委員会に付託されるべきところ、それがなされなかったのは、議長による不作為であると思わざるを得ません。

唯一の立法機関たる国会が、自らの定めたルールを守ることができないのは致命的であると思います。我が国議会制度は存亡の危機に立っているのではないでしょうか。

議会人たる管理人様には、何卒我が国のこれまでの先人たちの知恵と妥協との結晶たる法規先例を重んじた運営を、きっちりと指導していただきたく、陰ながら応援申し上げます。


ここまでが頂戴したコメントです。
本当にありがとうございます。

本件については、国会ルールとあわせてどのように紹介すべきか悩んでいるうちに、次の臨時会が迫ってきてしまいました。

最近の議会運営を概観すると、政略的諸配慮を優先し、法規先例をないがしろにする傾向がないとはいえません。

たとえば、先例を変更しようとするのであれば、その根拠を明確にし、議事運営をすることが、与野党問わず多くの会派が納得できる運営となるのではないでしょうか。

そんな立法府であって欲しいし、そんな立法府でなければならない。
これが議会人たる筆者の信念ですが、しばらくは程遠い運営が続くのではないでしょうか。忸怩たる思いです。