議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

臨時会の召集-その2

2015-11-30 | 国会ルール
○国会法第2条

常会は、毎年1月中に召集するのを常例とする。


このブログを始めた頃のエントリー、「通常国会の召集時期と回数」で少し触れましたが、現在、常会=通常国会の召集は1月となっています。

ただ、昭和22年の第1回国会から平成3年までは、常会=通常国会の召集は12月に行われており、年末年始にまたがって国会が開会されていました。

当時の国会法が、常会の召集を「12月中」と定めていたためですが、平成3年(1991年)の国会法改正により「1月中」とされ、第123回国会から施行されています。

余談ですが、これに伴い、予算案の提出期限も「12月中」から「1月中」に改正されました。

○財政法第27条
内閣は、毎会計年度の予算を、前年度の1月中に、国会に提出するのを常例とする。

さて、今回の本題です。

今年、行政権である内閣と与党は日本国憲法を半ば無視する形で、臨時会の開会を見送るようですが、国会の長い歴史の中で、年に1回しか国会が開会されなかったことは、実は、一度もありません。

○年間開会数=最少2回

昭和22年、昭和44年、昭和48年、昭和59年、平成9年、平成11年、平成14年、平成17年、平成18年

○年間開会数=最大5回

昭和28年、昭和35年、昭和52年、昭和54年、昭和61年、昭和62年、平成8年


国会の長い歴史の中で、過去の例にはない、年間開会数=1回という例を今年、平成27年の国会はつくってしまうのでしょうか。

臨時会の召集-その1

2015-11-27 | 憲法
○日本国憲法第53条

内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。
いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

平成27年10月21日、野党5会派等は、衆参両院に対し、日本国憲法第53条に基づき、臨時会の召集を要求しました。

しかし、どうやら臨時会は開かれない様相を呈しています。

日本国憲法第53条には、「いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」とありますが、確かに、召集時期についての言及はありません。

一方で、現在、行政権である内閣を担う政権政党の自民党は、平成24年4月27日に日本国憲法改正草案を決定しており、改正草案の第53条には、召集時期を明記しています。

○日本国憲法改正草案 第53条(自民党 平成24年4月27日)

(前略)いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があったときは、要求があった日から20日以内に臨時国会が召集されなければならない。

9月27日に閉会した第189回国会は、国会法第10条に定められた本来の会期150日間に対し、その6割超にも及ぶ95日間もの延長を、与党は数の力で決めて、安保法を強行的に通過させた後は、通常であれば開く臨時会を開かない、というのでは道理が通りません。

行政権である内閣は、安保法審議の中で、国民に対して、丁寧に説明すると繰り返し答弁していましたし、何より、第189回国会閉会後は、内閣改造やTPPの大筋合意など、国会で明らかにすべき問題や課題が山積しているからです。

また、10月上旬の内閣改造に伴い、衆議院においては、議長・副議長に次ぐ立場の議院運営委員長が欠けた状態であり、参議院においても、常任委員長も2人欠けた状態が続いています。

三権分立の観点から見ても、行政権である内閣は改造を経て体制を確立した以上、立法権である国会も、立法府として、院の構成を確定するためにも、臨時会は開かれて然るべき、と議会人のひとりとして考えています。

議会雑感(不定期)再開

2015-11-19 | ひとこと
お久しぶりです。

このブログを始めて以来、1か月も更新をしなかったのは、初めてのことでした。

記事を更新していると、更新する際に日々のアクセス数もチェックしますが、この間は、数日に一度チェックする程度でした。とても嬉しいことに、この間も、ご覧いただいている方が多くいらっしゃったのです。

本当にありがとうございます。

というわけで(?)、以前ほどは更新できないかもしれませんが、気が向いた時に少しずつ更新しようと思います。

このブログを始めた時と同様、目的とスタンスは変えません。

目的は、国会法や議院規則といったルールや国会雑学といった側面から、政治を少しでも身近に感じていただくことであり、そのために、個別の政策の是非には触れない範囲で、引き続き、書いていきます。

匿名を続けるかどうかは、少しだけ迷っていますが、今のところはやっぱり匿名です。

ただ、ひとつだけ加えるならば、私は学生時代から現在に至るまで、事象に対しては疑問を抱き、批判精神を持ち続けること、筋を通すことを大事にしてきました。もちろん、これは揚げ足を取ったり、重箱の隅を突いたり、ということでは決してありません。

議会人としての矜持を持ち、様々な事象を紹介していきたいと思います。

うーん、書きたいことはたくさんあるのですが、書きっぷりが難しいですね。