国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。
議会雑感
第210回国会内閣提出法律案の行方
第210回国会(臨時会)は、10月3日に召集されましたが、通常であれば10月11日の週に予定される予算委員会は開会されず、日程が想定より遅れている状況です。
結果として、予定より1週間遅れの衆参予算委は2日間ずつの基本的・総括質疑を終え、衆参の各常任委員会において所信的挨拶聴取を行ったり、行う日程が決まったりしています。
召集日からすでに3週間が経過しようとする中、所信的挨拶に対する質疑を終えたら、ようやく内閣提出法律案の趣旨説明・質疑に入ることとなります。
10月も最終週を迎えていますが、今臨時会における内閣提出議案の状況はどうなのか、概観してみたいと思います。
今臨時会における内閣提出議案については、召集前の9月29日の衆参議院運営委員会理事会にて、内閣官房副長官から以下のとおり説明があったとされています。
提出予定:法律案18件、条約1件
検討中:法律案4件
では、10月23日現在、どの程度の内閣提出議案(法律案/条約)が国会に提出されているのでしょうか。
第210回国会での提出案件:14件
第210回国会での提出条約:1件
次に、どの程度の閣法が閣議決定されているのか確認してみます。
第210回国会での法律案:17件
第210回国会での国会承認案件:1件
というわけで、閣議では法律案が17件決定されている一方で、国会に提出されている法律案は14件にとどまっています(10月23日現在)。
つまり、閣議決定はされながら、国会に未提出の法律案が3件存在することを意味しています。
閣議決定された閣法が国会に提出されれば、衆参両院のWebサイトに議案名等の情報が掲載されますので、召集日以降の定例閣議の案件と突合しさえすれば、どの法律案が国会に未提出なのかは一目瞭然です。
国会に未提出の3件のうち2件は、参議院先議になるかもしれないと一部で囁かれている2法律案ですが、衆議院にも参議院にも提出されておらず、閣議決定のみの状態に留め置かれています。
これら2件について、あえて議案名(法律名)は表記しませんが、憲法第53条の規定による臨時会召集要求が8月18日に出されながら召集日が10月に入ってから、かつ会期は69日間となっており、会期が短いため、法律案の成立に支障をきたしてはならないから参議院先議、というのであれば少し理解に苦しむ側面があります。
であるならば、臨時会を早期召集すれば良かったのでしょうし、会期も政府与党として十分な期間を設定すれば良かったのです。
臨時会における参議院先議案件の例はそれほど多いわけでもなく、参議院先議は常会において総予算成立後、衆議院での法案審議が本格化する期間に、参議院においてじっくり審議するためにという考え方もあるのです。
(臨時会における直近の参議院先議案件については、筆者ブログ「参議院先議案件(2016年10月19日)」を参照ください。)
十分な会期が確保されなかった臨時会において、議案(法律案)を確実に成立させるための参議院先議という考え方に筆者は立っていません。
しかも、参議院先議になるかもしれないと一部で囁かれているうちの1本は、一部野党が既に反対を表明しており、大きく賛否が分かれる閣法を参議院先議とすることもこれまでの例からしてもあまり馴染むことではありません。
当該法律案が閣議決定に至るまでの間、これに携わった方の胸中を思うと何とも言えませんが、今臨時会は召集日の設定をはじめ、国会運営全体がちぐはぐでいろいろと心配になっています。
結果として、予定より1週間遅れの衆参予算委は2日間ずつの基本的・総括質疑を終え、衆参の各常任委員会において所信的挨拶聴取を行ったり、行う日程が決まったりしています。
召集日からすでに3週間が経過しようとする中、所信的挨拶に対する質疑を終えたら、ようやく内閣提出法律案の趣旨説明・質疑に入ることとなります。
10月も最終週を迎えていますが、今臨時会における内閣提出議案の状況はどうなのか、概観してみたいと思います。
今臨時会における内閣提出議案については、召集前の9月29日の衆参議院運営委員会理事会にて、内閣官房副長官から以下のとおり説明があったとされています。
提出予定:法律案18件、条約1件
検討中:法律案4件
では、10月23日現在、どの程度の内閣提出議案(法律案/条約)が国会に提出されているのでしょうか。
第210回国会での提出案件:14件
第210回国会での提出条約:1件
次に、どの程度の閣法が閣議決定されているのか確認してみます。
第210回国会での法律案:17件
第210回国会での国会承認案件:1件
というわけで、閣議では法律案が17件決定されている一方で、国会に提出されている法律案は14件にとどまっています(10月23日現在)。
つまり、閣議決定はされながら、国会に未提出の法律案が3件存在することを意味しています。
閣議決定された閣法が国会に提出されれば、衆参両院のWebサイトに議案名等の情報が掲載されますので、召集日以降の定例閣議の案件と突合しさえすれば、どの法律案が国会に未提出なのかは一目瞭然です。
国会に未提出の3件のうち2件は、参議院先議になるかもしれないと一部で囁かれている2法律案ですが、衆議院にも参議院にも提出されておらず、閣議決定のみの状態に留め置かれています。
これら2件について、あえて議案名(法律名)は表記しませんが、憲法第53条の規定による臨時会召集要求が8月18日に出されながら召集日が10月に入ってから、かつ会期は69日間となっており、会期が短いため、法律案の成立に支障をきたしてはならないから参議院先議、というのであれば少し理解に苦しむ側面があります。
であるならば、臨時会を早期召集すれば良かったのでしょうし、会期も政府与党として十分な期間を設定すれば良かったのです。
臨時会における参議院先議案件の例はそれほど多いわけでもなく、参議院先議は常会において総予算成立後、衆議院での法案審議が本格化する期間に、参議院においてじっくり審議するためにという考え方もあるのです。
(臨時会における直近の参議院先議案件については、筆者ブログ「参議院先議案件(2016年10月19日)」を参照ください。)
十分な会期が確保されなかった臨時会において、議案(法律案)を確実に成立させるための参議院先議という考え方に筆者は立っていません。
しかも、参議院先議になるかもしれないと一部で囁かれているうちの1本は、一部野党が既に反対を表明しており、大きく賛否が分かれる閣法を参議院先議とすることもこれまでの例からしてもあまり馴染むことではありません。
当該法律案が閣議決定に至るまでの間、これに携わった方の胸中を思うと何とも言えませんが、今臨時会は召集日の設定をはじめ、国会運営全体がちぐはぐでいろいろと心配になっています。
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