議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

新正副議長に対する祝辞及び前議長に対する謝辞

2016-08-09 | 国会ルール
○参議院先例録548

議長、副議長の就任の際の挨拶及び祝辞並びに辞任等の際の謝辞及び答辞に関する例

第1回国会 昭和22年5月20日の会議において、議長及び副議長は就任のあいさつを述べ、次いで年長議員が議長及び副議長に対する祝辞を述べた。(以下同例多数)


平成28年8月1日に召集された第191臨時会においては、任期満了を迎えた正副議長に代わり、新たな正副議長が選任されました。

8月1日の参議院本会議では、先例により、新議長と新副議長が就任の挨拶を述べ、年長議員が新議長及び新副議長に対する祝辞を述べました。

余談ですが、今回、祝辞を述べた年長議員は、先日「参院議員半数の任期満了に伴う謝辞-その2」で紹介した議員と同じ議員でした。

常任委員・常任委員長の辞任と選任

2016-08-08 | 国会ルール
○参議院先例録76

通常選挙後初めて召集される国会においては、新たに常任委員長を選挙する

通常選挙後初めて召集される国会においては、改選期に当たらなかった議員の常任委員の辞任を許可した後、新たに当選した議員を含めて全常任委員の選任を行う例であり、これに伴い常任委員長が欠員となるため、常任委員の選任に引き続き、常任委員長の選挙を行うのを例とする。

○参議院先例録120

通常選挙後初めて召集される国会においては、改選期に当たらなかった議員は常任委員を辞任し、改めて全常任委員の選任を行うのを例とする

通常選挙後初めて召集される国会において常任委員を選任するときは、あらかじめ全常任委員を各会派に割り当てた後、議長は、まず改選期に当たらなかった議員の常任委員辞任を許可し、議院の会議において、各会派の申出に基づき全常任員の指名を行うのを例とする。ただし、第32回国会、第167回国会及び第175回国会においては、あらかじめ全常任委員を各会派に割り当てたが、改選期に当たらなかった議員が常任委員を辞任しなかったため、議院の会議において、議長は、新たに当選した議員を各会派の申出に基づき、任期満了により欠けていた常任委員に指名した。

委員会の理事会-その2」では、平成28年8月3日、議運委を除く全常任委員会で委員会開会に際し、理事会表示がなかったのは、理事が不在だったからという理由と事情について紹介しました。

では、なぜそうなったのかといえば、上記の先例が理由です。

参議院通常選挙では、定数242名の参議院議員の半数を改選します。つまり、半数は改選期ではありません。

しかしながら、先例では、通常選挙後初めて召集される国会においては、改選期に当たらなかった議員も常任委員を辞任し、改めて全常任委員を選び直す例となっています。

参院選を経れば、規模の大小は別として、院の構成は必ず変化します。

よって、参議院では、全常任委員を選び直すことにより、新たな院の構成をスタートさせてきたのではないでしょうか。だからこそ、先例として掲載され続けてきたのではないのでしょうか。

しかし、この先例は近年崩れつつありました。

平成19年の第21回参院選、平成22年の第22回参院選、平成25年の第23回参院選後の取り扱いは、上記先例に従わず、任期満了により欠員中の常任委員と常任委員長のみを選び直すという形をとったからです。

つまり、非改選議員が常任委員を辞任せず、改選(当選)議員についてのみ常任委員の指名を行い、欠員中の常任委員長の選挙を行ったということです。

ただ、平成28年の第24回参院選後は、先例通りの取り扱いとされ、改選・非改選を問わず、全常任委員が辞任し、選び直されました。そして、改めて全常任委員長が選任されたのです。

本会議で選任される常任委員長と異なり、委員会の理事は委員会を開会しない限り選任できませんので、8月1日に唯一開会された議運委以外の常任委員会では、8月3日が初めての開会となり、理事が不在で理事会表示がなかった所以です。

参議院通常選挙後の常任委員等の選任が、久々に先例通りに戻ったことの紹介でした。

委員会の理事会-その2

2016-08-05 | 国会ルール
○参議院委員会先例録24

委員長は、委員会の運営に関し協議するため理事会を開く

委員長は、委員会の運営に関し理事と協議するため必要があるときは、理事会(委員長及び理事の打合せ会)を開く。理事会の開会は、あらかじめ参議院公報をもって通知するのを例とするが、必要に応じ随時口頭により通知した例もある。(以下略)

委員会の理事会-その1」で、平成28年3月8日の参議院の常任委員会で、一委員会のみ理事会表示がなかった例について、その理由と併せて紹介しました。

今回は、参議院の議院運営委員会を除き、すべての常任委員会で理事会表示がない例を紹介します。
            
              平成28年8月3日 参議院本会議・委員会表示

上記の写真は、平成28年8月3日に筆者が撮影したものですが、8月3日は、第191臨時会の閉会日でした。

常任・特別の種別を問わず、会期末手続きのためにすべての委員会が開会されましたが、議院運営委員会と特別委員会以外は、理事会の表示がありません。議運委以外の常任委員会は、委員長及び理事の打合せ会として開かれました。

これは、「委員会の理事会-その1」と理由は同じですが、事情は少し異なります。

理由は、委員長は選任済みであっても、理事は一人も選任されていないこと、事情は、参議院通常選挙直後であったことが関係しています。

平成28年8月1日の本会議で、常任委員も常任委員長も辞任した上で、常任委員長は全員選任されましたが、その後、常任委員会で開かれたのは議運委のみであり、議運委以外は委員会を開会しない限り、理事は不在のままとなります。

他方、特別委員長は、特別委員会を開会しなければ委員長を互選できませんので、8月1日にそれぞれ特別委員会を開いています。よって、その時に理事も選任していますので、理事会表示は可能ということになるのです。