○参議院先例録76
通常選挙後初めて召集される国会においては、新たに常任委員長を選挙する
通常選挙後初めて召集される国会においては、改選期に当たらなかった議員の常任委員の辞任を許可した後、新たに当選した議員を含めて全常任委員の選任を行う例であり、これに伴い常任委員長が欠員となるため、常任委員の選任に引き続き、常任委員長の選挙を行うのを例とする。
○参議院先例録120
通常選挙後初めて召集される国会においては、改選期に当たらなかった議員は常任委員を辞任し、改めて全常任委員の選任を行うのを例とする
通常選挙後初めて召集される国会において常任委員を選任するときは、あらかじめ全常任委員を各会派に割り当てた後、議長は、まず改選期に当たらなかった議員の常任委員辞任を許可し、議院の会議において、各会派の申出に基づき全常任員の指名を行うのを例とする。ただし、第32回国会、第167回国会及び第175回国会においては、あらかじめ全常任委員を各会派に割り当てたが、改選期に当たらなかった議員が常任委員を辞任しなかったため、議院の会議において、議長は、新たに当選した議員を各会派の申出に基づき、任期満了により欠けていた常任委員に指名した。
「
委員会の理事会-その2」では、平成28年8月3日、議運委を除く全常任委員会で委員会開会に際し、理事会表示がなかったのは、理事が不在だったからという理由と事情について紹介しました。
では、なぜそうなったのかといえば、上記の先例が理由です。
参議院通常選挙では、定数242名の参議院議員の半数を改選します。つまり、半数は改選期ではありません。
しかしながら、先例では、通常選挙後初めて召集される国会においては、改選期に当たらなかった議員も常任委員を辞任し、改めて全常任委員を選び直す例となっています。
参院選を経れば、規模の大小は別として、院の構成は必ず変化します。
よって、参議院では、全常任委員を選び直すことにより、新たな院の構成をスタートさせてきたのではないでしょうか。だからこそ、先例として掲載され続けてきたのではないのでしょうか。
しかし、この先例は近年崩れつつありました。
平成19年の第21回参院選、平成22年の第22回参院選、平成25年の第23回参院選後の取り扱いは、上記先例に従わず、任期満了により欠員中の常任委員と常任委員長のみを選び直すという形をとったからです。
つまり、非改選議員が常任委員を辞任せず、改選(当選)議員についてのみ常任委員の指名を行い、欠員中の常任委員長の選挙を行ったということです。
ただ、平成28年の第24回参院選後は、先例通りの取り扱いとされ、改選・非改選を問わず、全常任委員が辞任し、選び直されました。そして、改めて全常任委員長が選任されたのです。
本会議で選任される常任委員長と異なり、委員会の理事は委員会を開会しない限り選任できませんので、8月1日に唯一開会された議運委以外の常任委員会では、8月3日が初めての開会となり、理事が不在で理事会表示がなかった所以です。
参議院通常選挙後の常任委員等の選任が、久々に先例通りに戻ったことの紹介でした。