議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

議事堂中央玄関からの登院

2016-07-31 | 国会ルール
○参議院先例録96

議員は、参議院議員の通常選挙又は衆議院議員の総選挙後初めて召集される国会の召集日には、議事堂中央玄関から登院する

議員は、通常、各議院の玄関から登院するが、参議院議員の通常選挙又は衆議院議員の総選挙後初めて召集される国会の召集日には、議事堂中央玄関から登院する。

(注)第36回国会閉会後昭和35年12月3日の議院運営委員会理事会において、第37回国会(特別)以後、参議院議員の通常選挙又は衆議院議員の総選挙後初めて召集される国会の召集日における議員の登院は、議事堂中央玄関を使用することを決定した。


平成28年8月1日、参議院通常選挙後初めてとなる臨時会が召集されます。

よって、8月1日は議事堂中央玄関が開くことになるのですが、このようなことも先例で決まっているのです。

なお、先日「登院表示盤」で紹介した登院表示盤も、議事堂中央玄関が開くことに伴い、1台を議事堂中央玄関に移動させることになります。

さて、どこの登院表示盤を動かしているのかといえば、参議院の場合は分館玄関の表示盤です。移動させるのもそうですが、配線し直すのも大変ですね。
           


登院表示盤

2016-07-29 | 国会雑学
平成28年7月10日執行の第24回参議院通常選挙で選出された参議院議員の任期開始日は、平成28年7月26日です。

よって、平成28年7月25日までの議員登院表示盤に記された議員名と、平成28年7月26日からの議員登院表示盤に記された議員名は異なります。

                       
                     平成28年7月25日 通りすがりに筆者撮影
                       
                     平成28年7月26日 通りすがりに筆者撮影

登院表示盤は議員会館には設置されておらず、国会本館内と分館玄関のみに設置されています。

そして、その設置場所は1か所ではなく、正玄関、陸橋下、陸橋上、分館玄関、新陸橋の5か所にあり、1か所で登院ボタンを押すと、すべてが連動する仕組みとなっているとともに、その記録は5年間保存されることとなっています。

また、登院ボタンを押して反応する時間帯は、開会中は7時50分から19時、閉会中は8時50分から18時30分です。

ただ、議員会館の事務所に入ったとしても、国会本館に立ち寄らない議員も意外と多く、登院表示盤が点灯していないからといって、その議員が国会周辺にいないとは限らないのがおもしろいところです。

議長・副議長の任期満了-番外編

2016-07-28 | 国会雑学
○国会法第16条

各議院の役員は、左の通りとする。

一 議長 二 副議長 三 仮議長 四 常任委員長 五 事務総長


国会役員については、1年以上前のエントリー「国会役員とは」で紹介していますが、国会法第16条に基づき、議長・副議長・仮議長・常任委員長・事務総長とされています。

しかしながら、平成28年7月26日以降、平成28年8月1日に第191臨時会が召集されるまで、参議院は、議長・副議長のみならず、任期満了を迎えた議員が務めていた常任委員長も不在の状態が続きます。

参議院においては、院の構成が喫緊の課題といえます。
             
          平成28年7月25日(平成22年選出議員任期満了日)参議院Webページよりキャプチャ
             
          平成28年7月26日(平成28年選出議員任期開始日)参議院Webページよりキャプチャ
○参考
議長・副議長の任期満了-その1
議長・副議長の任期満了-その2

議長・副議長の任期満了-その2

2016-07-26 | 国会ルール
○国会法第6条

各議院において、召集の当日に議長若しくは副議長がないとき、又は議長及び副議長が共にいないときは、その選挙を行わなければならない。

○国会法第7条

議長及び副議長が選挙されるまでは、事務総長が、議長の職務を行う。


平成28年7月26日、衆参同時刻に議院運営委員会理事会が開会され、それぞれに官房長官が出席し、平成28年8月1日に第191臨時会を召集する方針が伝えられました。

よって、7月26日現在、議長・副議長が不在の参議院においては、8月1日の臨時会召集日の本会議冒頭、議長・副議長の選挙が行われる議事日程となります。

なぜ議長・副議長の選挙が本会議冒頭の議事になるのか、という理由については、「議事日程の編成その1~その2」くらいのボリュームで、別途紹介したいと思います。

一言で表現すれば、議長・副議長の存在有無は、院の構成そのものに関わる事項だからです。

というわけで、8月1日の本会議冒頭は、国会法第7条に基づき、議長・副議長が選挙されるまでの間、事務総長が議長席に着き、議長の職務を行うこととなりますが、色んな意味で緊張が続く時間となりそうです。

議長・副議長の選挙に関わる規則や先例についても、機会を見て、幾つか紹介したいと考えています。

議長・副議長の任期満了-その1

2016-07-25 | 国会ルール
○国会法第18条

各議院の議長及び副議長の任期は、各々議員としての任期による。

平成28年7月25日は、平成22年執行の第22回参院選で選出された121名の参議院議員の任期満了日です。

平成28年7月25日現在の参議院議長、参議院副議長ともに、平成22年執行の通常選挙で選出された議員がその任にありましたので、再選如何に関わらず、平成28年7月25日をもって、参議院議長、参議院副議長も任期満了となりました。

よって、参議院においては、次期臨時会が召集され、議長・副議長の選挙が本会議で行われるまでの1週間弱の間、議長・副議長ともに不在となります。

当選証書の対照

2016-07-20 | 国会ルール
○参議院規則第2条

当選後始めて登院する議員は、当選証書を事務局に提示し、これと当選人名簿との対照を受けなければならない。

○参議院先例録97

通常選挙、補欠選挙又は再選挙に当選した議員は、初めて登院したときに当選証書の対照を受ける

通常選挙、補欠選挙又は再選挙に当選した議員は、初めて登院したときに事務局において当選人名簿(公職選挙法第108条の規定による内閣からの報告書を用いる)と当選証書との対照を受ける。繰上補充又は更生決定により当選人となった議員についても、同様とする。


平成28年7月10日に執行された第24回参議院通常選挙の結果を受け、7月15日より当選証書の対照が、参議院において行われています。

当選議員は、臨時会召集日に初めて登院するのかと思いきや、事務的な手続き等のため、その前にも登院しています。

その時に必要となるのが、当選証書です。

当選証書はたった1枚の紙ですが、大勢の人の思いや願い、そして期待が込められた重い紙なのです。

臨時会の召集理由

2016-07-19 | 憲法
○日本国憲法第53条

内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

○国会法第2条の3(抜粋)

衆議院議員の任期満了による総選挙が行われたときは、その任期が始まる日から30日以内に臨時会を召集しなければならない。(中略)参議院議員の通常選挙が行われたときは、その任期が始まる日から30日以内に臨時会を召集しなければならない。(以下略)

臨時会は、その名称が示すとおり、臨時の必要に応じて召集される国会です。臨時会は、以下の3つの場合に召集されます。

1.内閣が召集の必要性を認めたとき
2.衆議院議員の任期満了による総選挙、参議院議員の通常選挙が行われたとき
3.いずれかの議院の総議員の4分の1以上から召集の要求があったとき


これまで、このブログでは、上記の3.いずれかの議院の総議員の4分の1以上から召集の要求があったときのことを「臨時会の召集-その1」「臨時会の召集-その2」等で紹介しています。

今回は、平成28年7月10日に執行された第24回参議院通常選挙の結果を受けた形で、近々召集される臨時会について触れたいと思います。

近々召集される見込みの臨時会の召集理由は、上記の2.に該当します。参議院議員の半数が任期満了を迎えるため通常選挙が執行され、これに基づき召集されるものです。

なお、衆議院議員の任期途中に衆議院が解散された場合、つまり解散総選挙後に召集される国会は、憲法第54条1項の規定により、臨時会ではなく特別会となります。

では、今度召集される臨時会の時期は、いつ頃になるのでしょうか。

平成28年7月19日現在、確実にお伝えできることは、7月26日以降であるということです。

理由は簡単です。今回、任期満了を迎える参議院議員半数の任期が、平成28年7月25日までであり、今回改選された議員や新人当選者の任期開始が、平成28年7月26日だからです。

四囲の状況に鑑みて、臨時会の召集時期は、7月26日に決定されることになるでしょう。

二重の虹

2016-07-18 | ひとこと
一つの空に、二つの虹が同時に現れる二重の虹(ダブルレインボー)は、幸運のサインであると言われています。

先日、久々の気分転換に出かけた旅先で、偶然目にしました。それは、雨上がり後の素敵な光景でした。

生まれて初めてこの目で見た、二重の虹(ダブルレインボー)。
                           
二重の虹には、「自分の信じる道を進んでいくことで、道は開けてくる」という意味もあるそうで、今のこの時期に、目の前に現れたということは、そういうことなのかな、と思う今日この頃です。
            

職業選択の自由

2016-07-12 | 憲法
○日本国憲法第22条第1項

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。


日本国憲法第22条第1項は、職業選択の自由を保障しています。

この「職業選択の自由」は、自己の従事する職業を決定する自由を意味しており、これには、自己の選択した職業を遂行する自由、すなわち「営業の自由」も含まれるものと考えられています。

他方、「公共の福祉」との関係で職業選択の自由について見てみると、職業選択の自由は、経済的自由権のひとつであり、精神的自由権(思想・良心の自由等)と比べて規制を受けるものと解されています。

具体的には、「公共の福祉に反しない限り」とあるとおり、

○主として国民の生命及び健康に対する危険を防止もしくは除去ないし緩和する目的(消極目的) 又は
○福祉国家の理念に基づいて、経済の調和のとれた発展を確保し、特に社会的・経済的弱者を保護する目的(積極目的)

から、規制を受ける人権と考えられています。

ただ、いずれにせよ、我が国では職業選択の自由が憲法によって保障されていますので、何人も合憲性があれば、どの職業を選択することもできます。

よって、これを否定するものでは決してありませんが、平成28年7月10日執行の第24回参院選において、定数242名の参議院議員のうち、結果として、親子で参議院議員が2組、計4名誕生することになりました。

私は世襲や二世を否定するわけではありません。ただ、同時期に親子で国会議員であることに関しては否定的です。

理由は、国会で仕事をしてみて分かったことなのですが、ただでさえ閉鎖された空間であり、コミュニティである永田町界隈です。

もっと多くの人が、国会事務局や国会議員を目指せる環境をつくるためには、少なくとも開かれた国会にしなければならないと思うからであり、限られた議席を親子で同時期に占めることは、少なくともこれに逆行すると考えるからです。

憲法改正の発議要件(3分の2の議席)

2016-07-09 | 憲法
○日本国憲法第96条

この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

○日本国憲法第46条

参議院議員の任期は、6年とし、3年ごとに議員の半数を改選する。


平成28年7月9日現在の衆議院・参議院の院の構成を概観すると、衆議院では3分の2の議席を与党が有し、参議院においても過半数の議席を与党が有しています。

仮に、日本国憲法の改正発議を行おうとするならば、参議院では3分の2の議席に与党等の改憲勢力が届きませんので、平成28年7月9日現在の議席での発議は不可能です。

参議院で改正発議に必要な議席は、242議席の3分の2、つまり162議席です。

参議院は、日本国憲法第46条の規定により、3年ごとの半数改選です。今回の第24回参院選では、選挙区73、比例代表48の計121議席を決めることになります。

今回の参院選に該当しない非改選121議席のうち、与党等の改憲勢力の議席数は、84議席です。

改憲勢力の非改選議席の内訳としては、自民65・公明11・お維5・こころ3ですが、無所属で憲法改正に対して前向きな議員が4名いますので、計88議席が非改選の改憲勢力の議席数といえます。

よって、3分の2に必要な残り議席は、162-88=74となります。

参院選は政権選択選挙ではありませんが、今回は、様々な側面において、今後の我が国の在り方と議会の在り方を決める参院選になるような気がしてなりません。

一事不再議の原則

2016-07-04 | 国会ルール
○国会法第56条の4

各議院は、他の議院から送付又は提出された議案と同一の議案を審議することができない。

ひとたび議院が意思決定した案件について、当該議決の背景となった事情が根本的に変化したとき等の特別の事由がない限り、同一会期中、議院は同一の案件を再び審議し又は議決することはできません。

この原則を一事不再議の原則といいます。

これは、同一会期中における議院の意思はひとつであるという概念に基づくものです。したがって、会期の独立性、あるいは会期不継続の原則と密接に結びついています。

仮に再議を許せば、同じ問題を蒸し返して際限がなくなり、議院の審議活動を不効率に陥らせるほか、前の議院の議決は、後に覆されかねない暫定的性格となってしまい、議院の最終的意思が会期終了まで確定せず不安定な状態におかれ、議院の議決機関としての機能が損なわれてしまうからです。

よって、一事不再議は、会議体としての議院が行う案件審議に通じる一般原則なのです。

かつて、一事不再議に引っかかりそうになった以下の例がありました。

第2回国会のことですから、致し方なかったのかもしれませんが、何とかうまく乗り切ったことがうかがえる会議録が存在しますので、紹介したいと思います。

[第2回国会昭和23年2月4日 衆議院議院運営委員会]

○衆院議運委員長

それで本案の取扱いは、本日図書館運営委員長の名において運営委員会に提案になるわけでありますが、昨日からの論議の中に、衆参両院同時提案という話も出ております。

これも関係筋から希望されたようでありますが、しかし案の同時提案といつても、どういうぐあいにしてこの効力を発する段階になるか、むずかしい議論もありまして、本日は定刻1時に開いて、参議院は2時だそうでありますから、衆議院を先にして参議院に送付して、事故が起こらないようにしたいという事務当局の希望もありますから、取扱方としては、さよう決定して御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

これは、関係筋から衆議院と参議院の両方が同時に同じ案を可決することによって成立させるようにと指示があったことを示すものですが、仮に同時に同じ案を可決し、相互に送ってしまうと、一事不再議の原則に引っかかってしまい、可決することはできません。

苦肉の策として、衆参に同じものを提出したものの、その後は衆議院で先に可決し参議院に送付し、参議院は衆議院送付案を可決して成立させることにより、事なきを得た例です。

最近、ややもすると一事不再議に引っかかりそうな例を見つけてしまい、それがとても気になる今日この頃です。個人的に、とても悔しいです。

情報公開の在り方

2016-07-03 | ひとこと
○独立行政法人通則法第38条

独立行政法人は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他主務省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後3月以内に主務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。


昨今、何かと話題のGPIFと年金運用。
GPIFの正式名称は、年金積立金管理運用独立行政法人。

よって、当該事業年度終了後、3か月以内に財務諸表を厚生労働大臣に提出し、承認を受けています。実際、6月30日には、運用委員会も開会されています。過去5年、国民への情報公開時期は7月上旬でした。今年は、7月29日だそうです。