議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

衆参のちょっとした違い(起草)

2019-02-23 | 国会雑学
衆議院公報に「〇〇法律案起草の件」と記載される「起草」は、委員会提出法律案のことを指しています。

一方、参議院の場合、委員会提出法律案の起草について公報には「〇〇法律案に関する件」と記載されています。

国会法規上、「起草」についての条文は、3か所にしか存在しません。

参議院規則では第241条に懲罰での戒告または陳謝を起草、衆議院規則でも同条で懲罰での陳謝の文案を起草、国立国会図書館法の第15条に議案起草の奉仕を提供、の3か所です。

よって、委員会提出法律案における「起草」という用語は国会関連法規にはなく、厳密な定義もありませんが、衆議院では第1回特別会から使用されています。

参議院で「起草」が公報に掲載されたのは、下記3例(2委員会)しかありません。

昭和48年7月13日 第71特別会 災害対策特別委員会
「災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律案の起草に関する件」
昭和55年4月8日 第91回国会 社会労働委員会
「建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案の起草に関する件」
昭和56年5月12日 第94回国会 社会労働委員会
「社会保険労務士法の一部を改正する法律案の起草に関する件」

参議院では上記の3例だけ「起草」という用語が参議院公報に掲載されましたが、その理由は謎です・・。
委員会提出法律案の場合、上記3例を除き、参議院公報は「〇〇法律案に関する件」ですしね。

委員会が法律案を提出することについて、参議院では昭和30年の第21回国会までは規定されていなかったことがひとつの要因なのかもしれません。

[衆参のちょっとした違いシリーズ]

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