議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

衆議院の優越(条約)

2019-03-31 | 憲法
○日本国憲法第60条

予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。

2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

○日本国憲法第61条

条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。


予算案や条約は衆議院の優越が認められていますので、参議院先議で審議を行うことは避けてきました。

ただ、平成以降の条約の先議率を見てみますと、40%を超えている年があります。

平成7年(第132回国会)44.4%
平成12年(第147回国会)45.5%
平成15年(第156回国会)44.4%
平成17年(第162回国会)44.4%
平成18年(第164回国会)42.9%

実に5回もありました。

個人的には、平成29年(第193回国会)では、条約が20本(新規19本、継続1本)あったため、参議院先議の条約もあるかとも思ったのですが、衆議院の優越を尊重して、参議院先議となった条約はありませんでした。

参議院で条約を先に採決しても、衆議院では30日を経過しても自然成立はしないためです。

ただし、臨時会では、最近の例でいえば平成28年(第192臨時会)に参議院先議の条約があります。

いつか参議院本会議の議事日程の編成ルールについて紹介したいと思っていますが、普通の議案(法律案)であれば、委員会での採決順に議事日程が編成されますが、予算案や条約に関しては、参議院として30日自然成立ルールの宿命を背負っていますので、採決順は普通の議案(法律案)を飛び越して先になります。

少しでも先に採決し、参議院としての早めに意思を示すことで自然成立のおそれを減らすためとも言えるでしょう。

何かあって、議事が中断しないとも限りませんので、このような議事日程の編成ルールになっていることは、理に叶っていると思います。

最新の画像もっと見る