議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

独立機関の委員会出席-その2

2021-02-17 | 国会ルール
〇国会法第72条

委員会は、議長を経由して会計検査院長及び検査官の出席説明を求めることができる。最高裁判所長官又はその指定する代理者は、その要求により、委員会の承認を得て委員会に出席説明することができる。

〇国会法第105条

各議院又は各議院の委員会は、審査又は調査のため必要があるときは、会計検査院に対し、特定の事項について会計検査を行い、その結果を報告するよう求めることができる。

前回は、司法権たる裁判所が委員会に出席する場合の国会法の書きぶりが、国務大臣や会計検査院のそれとは大きく異なることを紹介しました。

〇国71(抜粋)委員会は、国務大臣の出席を求めることができる。
〇国72前段(抜粋)委員会は、会計検査院長の出席を求めることができる。
〇国72後段(抜粋)最高裁長官又は代理者は、その要求により、委員会の承認を得て委員会に出席説明することができる


そこで、今回は会計検査院の項目が独立しているのはなぜか、に着目してその理由を紹介したいと思います。

まず、会計検査院の位置付けについて確認します。

〇会計検査院法第1条:会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。

会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する一方、会計検査院法第30条において、検査官が国会に出席して説明できることも定めています。

国務大臣等と異なる条文で会計検査院長等の委員会への出席説明を置いた理由は、ひとえに会計検査院が内閣から独立する地位に置かれているためです。

国の財政を処理する権限は行政権たる内閣に属しますが、これを国民の代表機関である国会の統制の下に置かなければならない、という原則は財政民主主義を反映したもので、その財政民主主義の一つとして会計検査院の存在があるのです。     
なお、平成9年の国会法改正により、国会から会計検査院に対して特定事項の検査を要請することが可能となっており、これについては約3年半前のエントリー「会計検査院に対する検査要請」をご覧いただければと思います。

さらに、もう一点。会計検査院検査官については、国会同意人事の所信聴取対象者となっています。

内閣から国会に提示される人事案の中でも、日本銀行総裁や公取委員長など、特に重要な幾つかの人事案についてのみ衆参両院の議院運営委員会で所信を聴取し、質疑することとなっており、会計検査院検査官はこの対象なのです。詳細は、約5年前のエントリー「国会同意人事-その2」をご覧いただければと思います。

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