霧島家日誌

もう何が何だかわからないよろず日誌だ。

ストライクとキラはチートか

2010年07月25日 22時49分03秒 | 社会、ニュース
ごきげんよう諸君、いかがお過ごしかな。相変わらず第三次αの霧島である。一週目はマクロスのシナリオをメインにやっておるのだが、オリジナルに忠実というよりはむしろ他の作品と組み合わせて、綺麗にαの世界に取り込んで再構築してる感じを受ける。この辺は流石と言っていいな。

そう言えば、やってて厨房だなぁと思った機体がある。バトル7だ。マクロス7の先っぽのアレ

マックス艦長の能力のせいか、「当ててかわす」という恐怖の戦艦である。いやマジで。集中とかかけると普通にかわせるレベル。しかもバリア持ちで防御力も高く、3×8マスのMAP兵器に加え超電磁スピンより高威力な主砲を搭載。何考えてこの機体のステータス設計したんだというレベルの強機体である。しかも四人乗り。勿論必中から幸福まで完備である。

と言うかこれ、小隊編成できないスーパーロボットじゃないのか。尚、終盤に入るとマックスが艦を降りてVF-22に乗ってしまい、艦長がエキセドルに変わる。エキセドルの能力が残念な為戦力としては見劣りしてしまうが、改造がVF-22に引き継がれる為あんまり問題でもなかったりする。



さて、先日記事を書き込んでから、ずっとコメントを放置してきた。大体、私がコメントに即返信しない場合ってのはそのコメントを見てないか記事のネタにしようとしてるか、それか記事の中でコメ返信しようとして記事書くのをサボってるのいずれかである。今回はまぁこうやって言及しているところから判る通り、記事のネタにしようと思っているからな訳だ。

さて、何処をネタにするかと言うと


ストライクがチート?ナニヲイウ
原作のチートからすればこんなもの些末な事だ


ここである。

SEED放送開始当初より、主人公機であるストライクについてはチートであるという議論が度々起こっておった。主人公のキラも含めてな。まぁそうは言っても、キラに関してはチートである事自体が伏線であり話の本質の一つであるから一概にとやかく言えん部分もあるのだが、まぁともかく。

しかしだ、本来主人公ってのはチートであってナンボである。バトルものの主人公は強くなきゃ意味がない。故にその道具である主人公の武器であるとかも強い訳で、ロボットものの主人公機が強いのもその理屈の延長線にある。ガンダムやマクロスなんかはまだ味方機がいるからいいが、コン・バトラーVとかライディーンなんてロボットは主人公のモンだけであり、主人公(及び主人公機)が弱かったら第一話で怪獣にやられて番組終了である。

無敵のスーパーロボット~♪なんて歌詞があるのも、ある意味必然と言える。

しかしまぁ、強すぎても面白くない。たとえスーパーロボットものでも、怪獣出てくる→倒す→怪獣出てくる→倒すの繰り返しだと、視聴者は飽きてくる訳である。やっぱり山アリ谷ありだから面白いのであって、合体を阻止されたり、必殺技が効かない敵が出てきたりして苦戦して、それを新必殺技とかで打ち破るとかそういう展開も必要なのだ。

ましてや、SEEDはガンダムシリーズであり戦争モノである。あんまり主人公(及び主人公機)が強すぎても問題なのだ。主人公一人で戦局が変わってしまうと言うか、もうコイツだけ敵陣のド真ん中に放りこんどきゃ勝てるんじゃねって話になってしまうからな。まぁガンダムの主人公って大抵そんなんだけど。

では、どの程度であれば「これは駄目だろう」なチートなのかという基準の問題になってくる訳だが、これが難しい。個人差もある訳だからな。しかしまぁここは順当に、他のシリーズと比較する事で検証していくとしよう。


まず初代ガンダムである。

RX-78-2ガンダムは、地球連邦初のモビルスーツとして、ジオンのザクに対抗すべく開発された試作機である。普通試作機と言うと、欠陥だらけの残念な性能の物体だが、こいつの場合むしろ逆。つまり、採算とか全部無視して、とにかくもてる技術を全て注ぎ込み現在の技術で実現できる最高の性能を追及した最高級MSである。

ガンダリウム合金を装甲に使用した事により装甲は驚くほど堅固で、原作開始当初に相手となったザクの攻撃では傷もつかない。まぁザクバズーカは食らうとヤバそうな雰囲気だが、バズーカってのは元々人間が戦車に撃ったりするものであって、徒歩の人間ならともかく機動兵器であるMSが早々当たってたまるかという話だ。ガンガン当たってたらMSというより戦艦である。

武装も画期的であり、ビーム兵器を所持している。MSが手に持って使えるサイズまで小型化されたレベルのビーム兵器というのはガンダムに装備されたビームライフルとビームサーベルが初であり、理屈はよくわからんが戦艦でも何でもビームに貫かれると爆発する為、これは非常な強みと言える。マシンガンだと何発も撃ち込まなければいかんが、ビームは一発でいいのだ。

又、運動性も非常に高い。初代ガンダムの主人公であるアムロは基本的に素人であり、最初は取扱説明書読みながら操縦してたのだが、歴戦のシャア相手に互角の戦いを見せておる。これは、どれだけ攻撃を叩き込んでも装甲が厚くて効かないのと同時に、アムロが適当に入力したコマンドをガンダムが物凄い勢いで実行するという性能あってこそのものである。

何せ、設定上では次作「Zガンダム」に出てくる連中と性能殆ど変わらないらしいからな。Zは七年後の世界なのだが、七年後の戦場に放り込んでも大丈夫なのである。その性能も知れようというものだ。

一方、中の人もかなりキている。

後半になると、ガンダムの性能の優位もかなり崩れてくるのだ。何故ガンダムが超高性能機として振舞えるかと言えば、要するに採算度外視の超高級機だからである。量産を前提とすると、ガンダリウム合金なんて豪華なものは装甲に使えんし運動性だって自然と低くなる。だったらこちらも高級機で対抗すればいいという話になる訳だ。

又、ガンダムは登場当初新型だったというのもある。当たり前ではあるが、兵器というものは普通、新しければ新しいほど強い。ガンダムも然りで、ガンダム登場直後にガンダムの相手をしていたザクの一号機が完成したのは77年9月。初代ガンダム第一話でガンダムがザクを撃破したのは79年9月18日であるから、しゃーないっちゃあしゃあない面もある訳である。

であるから、その後開発されたジオン側兵器に対して、ガンダムの性能面での優位性は段々と崩れていく訳である。しかしながら、それと同時に今度は中の人がチートになっていく。つまり、最初は説明書読みながら操縦してたアムロがニュータイプとしての覚醒を果たし、ガンダムの性能をサポートする様になっていったのである。

最終的に、問題はこのアムロなのである。いくら性能の優位性が薄らいでいったにしても、ガンダムはやはり高品位機であり高性能機なのだ。それに馬鹿みたいに強い奴が乗ってたらどうにもならない。初代ガンダムの終盤はこれが顕著で、アムロが強すぎてどうにもならんのである。

例えば、ゲルググというジオンの最終制式量産型MSがある。こいつはカタログスペック上はガンダムと同水準という高性能機である。で、これにシャア大佐が乗ってアムロのガンダムと戦うのだが、まぁ何と言うか、やられる。まるで蚊をぺちってやるみたいな感じで。

アムロとララァ、いい感じになる→「ララァ!奴との戯言はやめろ!」→アムロ「イラッ」→バスッ(右腕斬られる)→アムロ「トドメジャー」→ララァがシャアかばう→糸冬

こんな感じ。

実際、アムロがジオンの有名人とか強力艦隊に苦戦しておったのはランバ・ラルあたりまでである。黒い三連星あたりからおかしくなり、終盤出てくる敵に至っては昔のファンHPでこの時期のアムロに瞬殺されてないだけ凄いと思いますとか書かれてたレベルであるから、その異常さが知れよう。実際、ガトー少佐とか一話で殺されそうな勢いだったからな。

最終的にガンダムはシャアのジオングと相撃ちになったのだがその性能差は圧倒的だったのであり、その差を覆したアムロの凄さが逆に際立ってしまう。そもそもジオングはジオンの切り札として用意されたモビルスーツだからな、量産試作機であるガンダムなんぞよりはよっぽど優秀でないと困るのである。


では次、Zいってみよう。

Zガンダムは、初代ガンダムの一年戦争から七年後のグリプス戦役で登場するモビルスーツである。方針としては「エゥーゴの象徴に相応しい超高性能機」であり、高品位機としての立ち位置はガンダムと同じである。Zもダウングレードして量産する計画はあったから、先行試作機という意味でも同じだな。

その最大の特徴は第一に変形、第二にムーバブルフレームである。…が、別に変形できるからと言ってそこまでチートでもないか。ただムーバブルフレームの採用は重要で、これは要するにである。ガンダムとかザクは外骨格で出来ておったのだが、ムーバブルフレームというによって、機動性が向上したのだな。

勿論これは重要なのだが、Zがチートなのはそこではない。Zが開発されたグリプス戦役から第一次ネオジオン抗争の時代は、MSが恐竜進化した時代といわれておる。即ち、MSは万能兵器であり(事実万能だが、アニメだし)、だったら何でも詰め込んでしまおうという方針である。変形できるようにして、装甲を厚くして、大火力の武装積んで、大出力のエンジンとスラスターつけて、という色々と頭の悪い思想だ。

このZガンダムはその恐竜進化の初期の傑作にあたるんだが、素晴らしいところはそのバランス感覚にある。さっき言ったが、ガンダムはグリプス戦役時、つまりZの時代の量産機と比べて遜色ない性能であるらしい。しかし、そのグリプス戦役の七年前に量産されていたゲルググとガンダムは、カタログスペックはほぼ同じなのだ。

これはどういうことか。勿論、ゲルググは量産機であるからガンダリウム合金のような高価な装甲は使えなかったろうが、それだけではあるまい。世の中、大事なのは練りこみでありバランスである。確かにゲルググの出力は高いのであろう。パワーもあるのだろう。しかし、カタログの数値に表れない部分が優れているかどうかは別問題である。

さっき言った言い方でいうと運動性だな。重い腕や脚をハイパワーの駆動系で無理矢理振り回すのと、適度な重さの四肢を適度な駆動力で動かすのでは、実際の性能に天と地ほどの差が出る。実際にゲルググがそういう機体であったという事実はないが、グリプス戦役当時のMSってのは重武装重装甲にしよう!→デカくなる上に重くて動けないッス→じゃあ大出力のエンジンとスラスターで動かそう!というどっかで見た方針で作られてる。

んで、Zガンダムは重装甲で大出力スラスター装備、しかも重武装という恐竜進化の典型的な要因をそろえておる。装甲はビームによる攻撃にも数回なら耐えられるし、必殺武器に相当するハイメガランチャーは全長が本体の1.5倍という大型火器だ。あとZは変形機体なのだが、飛行形態がどうみても飛べなさそうな形をしておる。これは実際にそうらしく、大気圏内では大出力スラスターで無理矢理"飛翔"してるだけらしい。まぁともかく、そんな事が可能なぐらい強力なスラスターを積んでるという事である。

にも関わらず、重い機体を大出力推進器で無理矢理振り回す機体ではないのである。重武装と重装甲は普通、機体を重くする。又、変形機構を搭載すると機体構造は複雑になり、各部の強度を保つために部品は大きくなり、どんどん重くなっていく。

しかし、装甲は新型素材ガンダリウムγの軽量さと剛性、後、大気圏突入能力付加をも見越した職人的な入念さによる耐熱処理により事実上の重装甲という形で軽い重装甲を実現している。当時はモビルスーツを問わず兵器と言えばビーム兵器ばっかりで、実弾兵器というのは「じつだんへいき」って入れて変換押したら実弾へ逝きって出てきたみたいな扱いを受けておったし、これで充分だったのだ。

又、変形機構については先述のガンダリウムγの特性に加え、緻密な変形システムの存在が大きかった。変形機構そのものを洗練させ、極力部品に負担をかけないような変形の仕方をする事で大型化、重量化を免れたのである。

武装については、それぞれを"ただの武器"と見なさず、様々な能力を付加したのが大きい。例えばビームライフルは、ハイメガランチャーほどではないにせよ大火力が欲しい。しかしそうすると大型化する。変形する時などの取り回しが悪くなるし、一旦捨てるかマウントしてビームサーベルに持ち替えるのも遅くなる。

そこをパワーで無理矢理何とかしようとしてしまうのが恐竜進化なのだが、Zのビームライフルは伸縮可能になっており、変形時などは縮めて取り回しが良くなる様になっている。まぁその分縮めてる間は出力が下がるがな。又、出るビームをビームサーベルにできる様に設計されており、状況によっては銃剣の様に使用する事もできる。

Zの逆を行ったZZのフルアーマーなんか、右手はランチャー、左手はビームサーベルとでも言わんばかりの機体構成になってるからな。高性能化を求めるあまり色々なものを忘れてしまったらしい。武装に柔軟性を持たせる事で、Zガンダムという機体にも柔軟性を持たせておるのが本機である。

斯様に、恐竜進化の贅沢な要求を満たしておきながら、しかし恐竜進化の悪弊であるカタログスペックに表れない部分を最大限に尊重し、バランス感覚を失わず製作されたのがZガンダムである。MSは汎用人型兵器であるという定義を忘れていないのだ。MAじゃないんだからな。


一万字までらしいから後編に続く