12月4日、第100回直木賞受賞の作家杉本章子さんが死去されました。私はかつて同じ町内だったこともあり、長年親しくさせていただいていました。五年前乳癌が見つかっても治療はせず、小説を書き続けることを選択された彼女に、書くことの覚悟を見た気がしたものです。ホスピス病棟に移られても、執筆を続けていらっしゃいましたので、見舞いはおろか、電話、メールも一切せづ、唯ひたすら作品が完成することを祈っていました。時折お手伝いさんに容態をお尋ねするだけでした。12月に入り執筆が出来なくなっていらっしゃることを知り、12月3日に再び見舞いに行きました。あまりの弱りように掛ける言葉もなく、ただ黙って手をさすったり握っていました。その翌日お亡くなりになったとことを知り茫然とするばかりでした。最後に握った手の温かさだけが今もまざまざとよみがえってきます。心よりご冥福をお祈りします。
在りし日の杉本さん プロの方が撮られた写真を載せたかったのですが、取り込めなくて私が撮った下手な写真です。彼女が「こんなの載せて」と天国で怒っていらっしゃるかもしれませんね。小雀モモちゃんと
絶筆になった「起き姫」 ずっと「オール讀物」に連載されていました。江戸情緒書かせたら当代随一と思っています。表紙に彼女の好きなスズメが描かれています。
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杉本さんがこよなく愛したスズメ このモモちゃんは病院にもお手伝いさんに連れられて時々やって来てました。生まれたばかりの時に拾われて、杉本さんが2時間おきに餌を与えて育てられました。
会えば文学の話はそっちのけでスズメや鳥の話ばかりしていました。