小説書いてます

小説を書くことで、自分と違う人間になれるのを楽しんでいます。

夕日のように

2009-12-07 | 日記
姉は数時間前の記憶さえとどめることができなくなった。
街中でよく似た後姿の人に会えば姉をしのび、
似た声を聞くと思わず振り返る。
思い出さない日はないのに、どうしても見舞いに行けない。
現実を直視できない弱虫の私。

子供たちや孫、施設のスタッフの人たちに温かく見守られて、
暮らしているのがせめてもの慰めだ。
姉の心には、それらのことがなんにも届かないのは残念だが……。

夕日のように美しく沈んでいくことは、難しいことのようだ。