俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

脳の健康

2009-11-17 15:53:41 | Weblog
 脳の健康にもっと配慮すべきだろう。
 健康診断では目や耳や心臓や肺などを含めて様々な検査をするが脳の検査は全く無い。脳の状態は簡単には数値化できないからだろう。
 その結果、人は体の健康にばかり気を使い、脳の健康については放ったらかしの状態だ。脳は人間として存在するための最も重要な器官ではないのだろうか。体が健康になれば脳も健康になるという思い込みは健康になればハゲも治ると考えるぐらいの的外れだろう。
 諺には「健全な精神は健全な体に宿る」とあるがこれは事実ではない。不健全な体なのに健全な精神を持つ人は沢山いるし、健全な体を持ちながら不健全な精神の人も少なくない。
 そもそもこの諺は誤訳だ。古代ローマのユウェナリスの言葉は「健全な肉体の中の健全な精神」であり「心身共に健全(でありたい)」という意味だ。
 脳は非常に特殊な臓器だ。体重の僅か2%に過ぎない脳が摂取カロリーの20%を使っている。しかも脳がエネルギーとして使えるのはブドウ糖だけだ。こんな特殊性だらけの脳を体の一部としてしか捕らえないことは間違いだ。体の健康のための行動は必ずしも脳の健康のために役立たず、稀には相反する。
 体の健康ではなく脳の健康のために人は何ができるだろうか。脳に良い栄養を採り、脳に良い生活習慣を守り、脳が喜ぶこと(音楽や美や美食や芳香など)をすべきだろう。少なくとも肌の手入れの10倍ぐらいは気を使っても惜しくはないだろう。
 体のことしか考えない健康法は総て間違っている。体だけを健康にしても脳は健康にならない。健康法は脳と体の二元論に基づいて組み立て直すべきだろう。
 

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