俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

頭の皮を剥ぐ

2007-11-14 19:20:26 | Weblog
 テレビの黎明期にはアメリカ製の西部劇がよく放映された。テレビ局からすれば安くて質の良いソフトだったし、アメリカとしては廃物の再利用であり、日本人を洗脳するためにも国益に適っていた。
 西部開拓史(「侵略史」と書きたいがここは我慢)の主な登場人物は、善良な開拓者の一家、黒人の奴隷、インディアン、騎兵隊、保安官、無法者(アウトロー)、あとは流れ者といったところだろうか。
 幌馬車で開拓地へ向かう一家は「インディアンに捕まったら頭の皮を剥いで殺される。」と言って恐れていたが、この頭の皮を剥ぐという行為の発明者が白人だということを知っている人は余りにも少ない。白人にとって都合の悪い歴史だからインディアンの野蛮な習慣ということにしているのだろうか。
 インディアン1人当たり何ドルという報奨金を付けて、白人はインディアン狩りをやった。中国や日本なら首を持って行くところだが、首は重いし嵩張るし腐敗する。そこで白人は合理精神を発揮する。首まるごとではなく頭の皮だけでインディアンかどうかが分かる。モヒカン刈りだからだ。賞金稼ぎは殺したインディアンの頭の皮を剥いで持参して報奨金を得た。殺されたインディアンの一族は激怒した。殺すだけでは飽き足らず、遺体の頭の皮を剥ぎ取るという野蛮な陵辱行為に至っては見逃せない。そこでインディアンは報復行為として白人の頭の皮を剥いだ。
 北アメリカでのインディアン虐殺と並行して、中南米でも白人の侵略行為は続いた。マヤ・アズテック文明に続いてインカ文明を滅ぼし金銀財宝を略奪した。
 アジアがここまでひどいことにはならなかったのは幸運としか言いようが無い。もしサムライ狩りや中国人狩りが行われていたら、間違い無く彼らは頭の皮を剥いだだろう。なぜならチョンマゲや辮髪という奇妙な髪型なので簡単に他の種族と区別できたから。(辮髪狩りは実際に行われたような気がするが自信が無い。調べてから書くことにする。)

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