俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

終身刑

2009-12-01 15:27:01 | Weblog
 無期懲役は「無期限」懲役ではない。「不定期限」懲役と言ったほうが日本語として正確だろう。無期懲役は仮釈放を前提とした刑罰だ。
 この仮釈放という制度に不満を持つ人は終身刑の新設を主張する。しかし終身刑はそんな合理的な刑罰だろうか。
 将来に「希望」を持てる若き犯罪者にとっては二度と娑婆に出られない終身刑は恐ろしい刑罰だが、職も家も家族も無い高齢の犯罪者にとっては快適な公営・無料老人ホームではないだろうか。
 終身刑になれば住居も寝床も食事も提供され医療設備も整っているし自分の葬儀の心配をする必要も無い。これはホームレスでいるよりずっと快適な生活環境ではないだろうか。これでは終身刑になりたいために犯罪を犯す人さえ現れかねない。
 人は自分が嫌なことは他人も嫌がるだろうと勝手に思い込む。幸せな人々はそんな嫌なことでさえも快適と感じるような最下層の人がいることを想定しない。
 終身刑が行き場の無い老人の最後の安住の地として利用されるならば、これは凶悪犯罪を奨励するようなものだ。

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