「多様性」とともに、議論したいことは「食料主権」という考え方だ。TPP関連で農業改革関連法が民間会社や外国資本に農業市場を開放するものであり、日本の農業を本質的に守るものではない。また国連は2019年から家族農業10年を定め、家族農業が食料安全保障確保と貧困撲滅に大きな役割を果たしていることから、各国が家族農業に関わる施策を進めることを求めている。さらに昨年12月18日国連総会において「小農の権利宣言」を採択した。この「小農の権利宣言」の第19条には「種子の権利」が定められている。ちなみに日本はこの採択に棄権をしている。
「小農の権利宣言」では「食の主権は、社会的に公正かつ生態に 配慮した方法で生産された健康によい、文化的に適切な食に対する人びとの権利である」としているが、これは、そもそもTPPなどの貿易の自由化によるグローバル企業の食の支配に対する、対抗宣言である。
信毎の社説は「環太平洋連携協定(TPP)の発効など自由経済圏が広がり、国内農業の規模拡大や生産性向上も求められている。どう両立を図っていくか」という問題提起だが、そもそも「両立を図る」「バランスを欠いた」問題ではない。
その意味で、県の種子条例には種子を守ることが多様性を確保すると同時に、グローバル企業に食の主権を奪われてはならないというメッセージが含まれていると解するべきで、種子条例の制定の目的に食料主権を守るという趣旨を加えるべきである。
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