こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

20231218 野生鳥獣被害対策研修会

2023-12-23 08:24:59 | 食・農業

 

長野県農政部農業技術課が主催し、令和5年度野生鳥獣被害対策研修に係る現地下見及び集落住民向け研修会が開催され参加しました。自治体職員は3年に一度くらいの頻度で職場が変わるため、専門的な知見をもった人が育ちにくいきらいがあります。そこで、自治体職員向けの研修の一環として、加えて当該地域の鳥獣被害対策を進めるための研修が12月18日に行われます。その下見として、6月に現地調査を行った松本市梓川地区の上野集落と上丸田集落が研修を受け入れてくれ実現しました。

 

今回の研修は、長岡市にある鳥獣被害対策の支援をしている株式会社「うぃるこむ」の山本麻希社長と下見をし夜は研修を行いました。下見に先立ち、上野、上丸田の集落の現状と猿の被害の状況の聞き取りを行い、その後、雨が降り始め寒さの中現場の下見を行いました。上野集落は10年ほど前に県の指導で電柵を張り、集落捕獲隊を組織し、定期的に見回りをするなど先進的な取り組みが行われています。隣接する上丸田では、販売農家が少なく、やはり10年ほど前に環境整備は行いましたが、その後手がつかず、サルの群れが生息する地域となり、毎日のように猿の被害にあっています。

 

夜7時から上野・上丸田の住民の皆さん60人ほどが参加して研修会が行われました。うぃるこむの山本社長から、「サル・イノシシの生態と被害対策」として90分の講義が行われました。

 

12月18日長野県農業技術課の県内鳥獣被害対策の担当者を集めて研修会が開催された。地元の上丸田、上野集落からもそれぞれ3人が参加し、猿の被害の実情を話してもらいながら総勢40人ほどで「集落環境調査」を行いました。

 

出発地の上丸田公民館の側にある神社の柱に明らかに動物のひっかき傷がありました。地元の方によれば「ハクビシン」ではないかとのことです。続いて、猿の被害が人家に及んでいる上丸田の集落内を調査。集落のあちこちに①カキやクリがある、②猿が潜みそうな竹藪がある、③追い払いができる若い人がいない、などの課題がありました。

 

続いて上野集落の環境調査です。上野では10年ほど前に県も入って対策を行ってきた集落です。鳥獣被害対策協議会で鹿柵を張ったり罠をしかけたりしています。加えて集落捕獲隊を組織し鹿柵の点検や罠の点検を行い、かかっている場合は猟友会に連絡をしています。猿や熊の通り道となっている河川にも電気が通る鎖を張り巡らし、完璧に思える対策をしていますが、①神社・仏閣の大木をつかって侵入してくる、②一部竹藪を通じて侵入してくる箇所があり、それは廃棄された果樹をめがけてきている、③構造上、鹿柵の支柱を伝って侵入してくる箇所がある、ことなどが課題として見えてきました。

 

その後、五つの班に分かれ、地図上に猿の生息区域、往来をする場所、誘引しているカキやクリの位置、空き家などをマーキング。

次に、①集落の特徴について意見を出し合う、②何が問題か出し合う、③そのうち最も問題であることについて対策を出し合うという方法で話し合いを行いました。

ウィルコムの山本さんから「住民の方が、いかに自分事として取り組めるのかが大事。県は市を、市は住民を支援して、集落単位で対策を進めていくようにする」などのお話がありました。しかし、県は3年ごとに人事異動があり、市は担当者が一人か二人、集落は高齢化で、そう簡単にはいかない実情があります。今後、上丸田地区に、誰が支援をしながら、どんな対策を、誰が行っていくのかは、これからの課題です。

 

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中川ひろじの未来トークvol.2 持続可能な食と農の実践〜吉田太郎さん

2023-03-02 12:10:26 | 食・農業

中川ひろじの未来トークvol.2 持続可能な食と農の実践〜吉田太郎さん

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20221213農政林務委員会(農政部)

2022-12-17 12:38:04 | 食・農業

○中川委員 おはようございます。よろしくお願いします。

  まず、農業試験場などで、圃場や動植物の管理を行ってきた特別業託職員が退職をして、詳細な圃場や動植物の特性の維持管理が難しくなっているようです。結果として、試験研究業務の継続性や研究水準の維持が難しくなるのではないかと思われます。圃場や家畜等の管理を行う職員は的確な管理技術と再現性が要求されるので、技術の伝承という観点からも、今のままでは非常に困難かなという意見が現場から届いていますが、農政部としての認識をお伺いします。

○塩川農業政策課長 委員の御意見といたしましては、試験場等の圃場管理等の問題でございますが、現在は試験場等の圃場管理ですとか家畜飼育の業務につきましては、会計年度任用職員ということで任用を行っております。会計年度任用職員というのは5年を1期間として任用するということもございまして、5年間では短いんではないかとか、あるいはやっぱり試験場のほうで技術だとか資格がないと、大型の機械を扱う免許が必要だったりということで、なかなか安定的に確保することが難しいだろうというような課題は十分にお聞きしておりまして、農政部のほうでも共有をしているところでございます。

  人材の安定的な確保、技術の知識の継承などの課題というのは十分に認識しているところでございますので、今後も試験場のほうの実態をよくお聞きした上で、人事課とも相談しながら最善の対応を考えていきたいと考えております。

○中川委員 この件は、会計年度任用職員の問題、一般質問でも触れましたけれども、ぜひ継続、技術がしっかり継承されるように、農政部としても努力してほしいと思います。

  次に、畜産農家への支援の強化についてお伺いします。

  最近、私の地元で、70頭ほど飼っていた酪農家です。60年以上やってきた農家が、9月でしたけれども、廃業しました。私の住む地区内でも、かつては20頭以下の小規模な畜産農家がかなりありましたけれども、これで1件もなくなりました。

  県内の畜産農家の推移と、肉用牛、乳用牛、豚、鶏の飼育家畜数の推移がどうなっているのか、それからまた輸入粗飼料の支援が今回出ていますけれども、輸入粗飼料のこの間の価格の推移や牛1頭当たりの粗飼料の平均的な使用量、年間の粗飼料の価格高騰による1頭当たりの経費の増加分、そして今回の酪農粗飼料価格高騰緊急対策事業補助金及び国の国産粗飼料利用拡大緊急酪農対策事業により、牛1頭当たり合わせて1万5,000円ということになるのかなと思いますが、一応確認の意味で教えてください。

  それから、酪農家にとっては、子牛の雄というのが生まれたときには、それを売って一定の副収入となるわけですけれども、この値段もかなり落ちてきていて、経営が厳しくなってきている面があるとお聞きしました。子牛の雄の引き取り価格の推移と、それから廃用牛の価格も値段が下がってきているというふうにお聞きしました。この取引価格の推移について教えてください。

○吉田園芸畜産課長 畜産関係の質問を幾つかいただきました。

  私のほうからは、餌関係以外のところをお答えさせていただいて、餌関係のところは対策室長に答えていただくようにします。

  まず、畜産農家数の推移でございますけれども、最新の令和4年度11月時点で、現在畜産農家は687件でございます。これは、前年対比で94%ということで、減少傾向にございます。これは農家数も減少していて、畜産に限らずというところでございます。

  それから、飼養頭数でございますけれども、乳用牛が1万4,400、肉用牛が2万900、それから豚が5万6,000、それから採卵鶏の鶏が54万5,000羽、肉用ブロイラーが67万、都合、長野県全部の家畜数は130万頭羽ということにございます。

  これらの畜種ごとの推移でございますけれども、酪農、いわゆる乳用牛と肉用牛のところは大体100から102%で横ばいで推移をしてございますが、豚とそのほかの鶏関係は減少傾向にあるということでございます。

  それから、ぬれ子、ホルスタインが子供を産んで生まれる子牛でございますけれども、大変この価格が取引上、低価格になってございます。前年対比で22%ですから、通常平均で1頭当たり10万で売られたものが、今現在2万1,000円ということで、ちょっと大変今までにない、かつてない下落ということでございます。

  もう一つ、廃用牛ということで、乳を搾って能力が低くなったものは廃用牛ということで、屠畜とかに回していくわけでございますけれども、その取引価格が、通常で言いますと大体1等当たり16万くらいのところが、今現在1頭当たり13万ぐらいで取引をされていて、18%のダウンということで、餌も高くなってございますけれども、そういった意味で酪農の収益の部分も苦しいところがかいま見られるという状況でございます。

○青沼家畜防疫対策室長 それでは、私のほうからは酪農の飼料関係についてお答えをいたします。

  国の事業でございますが、国産資料の利用の増加などを要件にいたしまして、26か月齢以上の牛について1万円を交付するといった事業になっておりまして、県の事業のほうにつきましては、その国の事業にプラス6,000円、それからそれ以外の牛についても県独自で支援を行うということで今回お願いしているところです。このため、国及び県の今回の支援につきましては、牛1頭当たり、26か月齢以上の経産牛については1万6,000円、それからそれ以外の牛につきましては8,500円といった形の助成になります。

  それから、輸入飼料の関係なんですが、輸入粗飼料につきましては令和3年1月から上昇を続けてございます。令和4年9月現在ですが、1トン当たり6万5,400円となっているところでございまして、前年の同月比ですが157%ということで、実にこの4月以来、ずっと過去最高を更新しているといった状況でございます。

  それから、粗飼料の平均の使用量でございますが、搾乳牛につきましては、これは農家の皆様によっていろいろ違うんですが、大体20キロから30キロを給与というのが通常でございます。今回の価格高騰によりまして、1頭当たりの粗飼料の増加分につきましては、経産牛で約3万2,000円ぐらい、それからそれ以外の育成牛中心ですが、1万7,000円の増加となっているところでございます。

○中川委員 まずお聞きしたいのは、子牛の引取り価格や廃用牛の引取り価格がここまで下がっている原因について、どんなふうに分析されていますか。

○吉田園芸畜産課長 まず、子牛の価格が下落している原因というのは、今のこのぬれ子を売ることによって、それを育てて肉にしていく方たち、肥育なんですけれども、その方たちが、いわゆる和牛の、より売れる方向のものに今傾注をしているところでございます。御案内のとおりインバウンドの少なくなっている中で、牛肉の消費が大変鈍っているということで、その影響がこの子牛価格に来ているということでございます。なので、インバウンドなり観光業界なり、そういったところの回復が見られなければちょっと厳しいというふうに思います。

  廃用牛も同じ原理でございまして、通常ミンチにされて肉として販売されていくものでございますけれども、その価格のところが今、低価格、下落しているということでこの価格になってきていますので、ちょっと経済循環がよくならないと回復が難しいのかなというふうに分析してございます。

○中川委員 それから、粗飼料の価格高騰についての今後についてどんなふうに考えているか。要は、この円安が止まらないとどうにもならないという状況だと思うんですよね。だから、さっきの子牛の引取り価格だとかそういうのもそうだし、この粗飼料の高値でずっと推移していくということもそうなんですが、なかなかこれは本当に厳しい状況が続くなと思うんですが、そこら辺について認識を教えてください。

○青沼家畜防疫対策室長 粗飼料の今後の見通しでございます。

  若干昨日もお答えさせてもらった部分もございますけれども、海上運賃については若干下がってはきております。ですが、やはり為替相場、それから中東諸国、それから中国の買い付けの増加などによりまして、この先も粗飼料の価格高騰が続くという認識では私どもも思っております。

  やはり、昨日サプライチェーンの話も若干いたしましたけれども、県内生産、それから一番飼料を作りやすい北海道や東北、こういったところからの購入、それから国外からの輸入については一定のセーフティーネットを持って確保していくといった、まさしく安全保障的な部分につきましては取り組んでいかなきゃいけないと考えておりますし、県内の飼料増産、これは水田を使った飼料増産が非常に増えておりますが、今現在1,000ヘクタールを超えていますんで、まだここら辺につきましても啓発いたしまして、酪農家の使う粗飼料について確保してまいりたいと考えてございます。

○中川委員 もう少し質問を続けたいと思いますが、中信地区で調べましたら、4件の酪農家が廃業、あるいは廃業を考えているというふうに聞きました。

  それで、愛知県では、もともと食品残渣などを使って牛を飼っていたものを輸入飼料に変えた、その影響が非常に、長野県のように粗飼料を作るという状況がないので、非常に厳しくなっていて、30件が廃業しているという話を聞いています。長野県全体ではどんな状況ですか。

○吉田園芸畜産課長 畜産農家の廃業といいますか、リタイヤですけれども、私どもが持っているデータというのが、家畜保健所で調べている畜産農家台帳というものがございまして、お辞めになって家畜を飼わなくなった場合に報告が来る、そんなものになってございます。

  その中で、長野県全体で1年ごとにその畜産農家数がどの程度減ったかというのを直近3年くらいで見てみますと、年間で約33件の方がリタイヤされていると。この主な要因は、大体四つございます。一番最大のものが高齢化でございます。それから、二つ目がいわゆる経営主の病気であったり、家族労働力が病気や介護で足りなくなった場合、それが二つ目です。それから、三つ目は後継者がいなくて継承できない、それから四つ目が資金繰りが難しくなってきているという、そんな理由がございます。

  そんな中で、今愛知県のお話もありましたけれども、ここのところ餌が高騰してきて、先ほど言った資金繰りが困難になってきている農家が見られるというふうに家畜保健所のほうからも相談があるという状況でございます。

○中川委員 実は、冒頭申し上げました地元の畜産農家は、辞めることができた農家なんですよね、変な言い方ですけれども。つまり、えらい借金もなくて、辞めることができた農家という側面があるんです。

  松本で大規模にやっている農家のお話をちょっと紹介しますけれども、160頭飼育している酪農家さんに聞いてきました。自分で45町歩の粗飼料を作っているんですが、これで全体の大体6割、4割は購入しているそうです。それで、購入粗飼料の価格の高騰で、実際に自分の月の手取りが二、三万まで落ち込んでいて、今までの蓄えを食い潰しているというのが現実だそうです。乳価が10円引き上げられましたけれども、実はこれも昨日お話ありましたけれども、牛乳や乳製品がだぶついているので、上がっているとはいえ、収入の回復に結びついていないという現実があるそうです。このままではさらに廃業する農家が増えるんではないかというふうに言われていて、これはさっきの現状、粗飼料の価格のところや子牛などや廃用牛の取引のことを聞いても、かなり厳しいですよね、これね、正直言って。

  廃用牛、さっき13万という話が出ましたけれども、聞くところによると、3,000円でしか引取りがなかったとか、要らないとか、取引そのものが止まっちゃっているという話も中にはあるそうです。そうなってくると、副収入もない、餌代だけは高くなっていく、そういう状況になっているという大変厳しい現実だというのは、私は話を聞いていて思ったわけです。

  そういう中で出てきているのは、国が廃用牛に15万円を出す事業を3月から考えているというふうに聞きましたけれども、これがちょっとよく分からないんで、もし御存じなら教えてください。

○吉田園芸畜産課長 国の新しい経済対策の中で出された酪農経営改善緊急対策事業というもので、予算額で50億円のものでございます。この事業の目的は、乳価を上げることによって、乳製品、牛乳ですとかヨーグルトですとかそういったものの販売量が鈍ってくるのではないかなという予測の下、生乳と使うほうのギャップを薄めるために出た事業でございます。

  それは、すなわち生乳の生産量を絞っていくと。いわゆる生産調整でございます。国のほうは、いわゆる国の三大乳業メーカーとも相談しながら、年間大体今現在ですと762万トンくらい全国で生産されているんですけれども、それを5%程度、約35万トンの生乳の生産を減少させようと。そのためには、先ほど出ている廃用牛、いわゆる能力がだんだんどうしても下がってくるので、そういったものをちょっと早期にリタイヤさせた場合について、1頭15万の奨励金を酪農家に交付するといった、そういった事業でございます。

○中川委員 この後の質問とも関連するんですが、国は畜産クラスターなどをやりながら応援をしてきた。だけれども、せっかく育ててきた牛をそうやって廃用にしなければいけないという、何とも切ない状況があるなと私は思うんですね。

  そこでお聞きしますが、畜産クラスター関連事業は、これまで長野県でどのくらいの農家が利用してきたのか教えてください。

○吉田園芸畜産課長 畜産クラスター事業は、地域を挙げて畜産農家を守る協議会をつくって、その協議会でオーケーになった計画の中で、機械であったり牛舎であったり、そのハード施設を支援するという事業でございます。

  実は、平成27年から創設をされまして、これまで昨年の令和3年度までに長野県では504件の農家が活用していただいて、事業費で約59億、補助金でいいますと約27億の事業が活用されて、この数というのは全国的に見ても、内地の中では大変高い数字かなというふうに分析してございます。

○中川委員 そこで要望です。

  一つは、畜産クラスター関連事業の返済ですね、これをぜひ猶予する制度を国に要望してほしいです。これをやってほしい。ちょっとね、本当にもたないですよ、このままいくと。それから、もう一つは、学校給食用の牛乳が全体の生乳の10%程度を占めているわけです。これは4月の契約だもんですから、乳価の改定価格が反映されていません。これまで県が学校給食費の値上がり分について補助をしている、そういう制度をやってきて補正予算を組んでいるわけですから、学校給食用の牛乳の契約価格と乳価との価格差を補助する制度を農政部からちゃんと要請をしてほしいと思いますが、いかがですか。

○吉田園芸畜産課長 私のほうから返済の関係は答えさせていただいて、学乳のところはマーケ室ということでお願いしたいと思います。

  クラスター事業のうち、いわゆる自己負担分がどのようになっているかというと、委員御指摘のとおり、政策金融公庫でスーパーL資金というものがございます。そこの融資制度をお使いになる方がもう9割ほどということでございます。そういった方たちの返済は、当然据置きがあって、機械であれば七、八年、ハードの牛舎であれば三十何年というような、そういった返済期間になってくると思いますけれども、それについて、まさに今畜産の経営が芳しくないということで、実は国のほうが、まずコロナで需給が鈍ったときに、金融機関に対してその返済期間の猶予をしてくださいという通知が発出されてございます。ここのところ、令和4年になって価格高騰ということもありまして、都合2回そういう返済の緩和をしてくださいという通知が出てございます。

  実際、スーパーL資金の管轄の政府金融公庫にお聞きしましたところ、そういう制度はもうよく知っているんですけれども、実は相談が今のところ1件しかないという状況でございます。ちょっと我々もクラスターで活用している農家にこういった制度があるということは、よりもう少し周知しなきゃいけないかなというふうに思ってございますし、国に対してもそうなんですけれども、この返済を猶予するというのは、年数を伸ばしたり、あとは据置き期間を伸ばしたりということになろうかと思いますけれども、そういった現状をもう少しちょっとお聞きしながら、場合によって、必要であれば本当に国のほうに要請をしていきたいなというふうに思います。

○村山農産物マーケティング室長 私からは、学校給食関係の御質問についてお答えしたいと思います。

  委員お話しのとおり、学校給食の牛乳につきましては、学校給食法の施行規則等で毎日提供するということとされておりまして、いわゆる牛乳の安定的な消費拡大に重要な位置づけということで認識しているところでございます。

  現在、学校給食のいわゆる契約価格、いわゆる保護者負担については、毎年国の対策要綱等に基づいて、現在、私ども県のマーケ室で入札によって決定しているというところでございます。これにつきましては、委員お話しのとおり、毎年の契約ということで、年度当初の4月1日から1年間の契約ということでございまして、今回のように期中で改定されたものへの対応については、できないということではございませんけれども、いわゆる当初の契約単価に基づいて全ての学校給食現場で年間の献立ないしを立てているということで、中途での見直しが非常に困難ということもございましたし、あと、全ての学校の合意を得なければいけないということで、今回の乳価の価格改定に合わせた期中の見直しということはできていなかったということになります。

  ただ、毎年の乳価の決定においては、現状の生産費、生産コスト等を反映したものとして設定をしていきますので、令和5年については現状の状況を把握した契約価格ということで進めていく方向でございまして、これについては学校給食現場の担当になります市町村に対しても、来年における学乳の値上げという部分については、教育委員会と連携して早くからアナウンスをして対応するようにお願いしてきたところでございます。

  そのような中、委員からお話のございました学校給食用の牛乳の契約価格と乳価の価格を補填する制度ということでございますけれども、これも委員のほうからお話ございましたけれども、現状、学乳に限らず食材全て値上がりしているというような状況もございまして、学校給食を負担する国の制度として臨時交付金がございまして、これについては今、これも委員のお話ございました県の教育委員会のほうで補正で対応してきたところでございまして、本年度についてはこの交付金が活用できるということで、これも市町村に対して教育委員会と連携してアナウンスしてきたところでございます。

  実際、今後、国への要望については、今の制度上、いろいろなそごがある部分があったりとかそういった部分、必要に応じて必要なことを、国に対しては、教育委員会とも連携を密にして、要望等も検討していければということで考えております。

○中川委員 時間ですので最後にしますが、今の話はやっぱり県として独自にやるべきですよ、これ。農政部長、いかがですか。

○小林農政部長 学校給食における牛乳の取扱いに対して、農政部としてどう取り組んでいくかということでお尋ねがございました。

  確かに学乳については、乳製品の中でも消費量という部分のところを考えれば、学校での消費というのは非常に大きなものだというふうに認識をしております。生産を振興している農政部としましては、生産者の経営がより一層安定していくということを考えれば、消費側の対応も考えていく必要があるんではないかということも考えているところでございますので、今後、教育委員会等ともお話合いをしながら、どういった対応ができるのかということについて検討させていただきたいと思います。

○中川委員 よろしくお願いします。

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20221006農政林務委員会 肥料・資料の価格高騰対策について

2022-10-06 08:19:50 | 食・農業

(議事録から読みやすいように修正しています)

○中川委員 よろしくお願いします。

  私からも、価格高騰対策について何点かお伺いしたいと思います。

  まず一つは、価格高騰に対する現状認識についてです。私も農家の方のお話を聞いてきました。養鶏をやっている農家の方ですと配合飼料のトン当たりの価格が1万円近く高くなっているとのことです。農家と飼料メーカーが出資してつくっている基金からの拠出は、過去1年間の平均価格から上がった分への支援ということになっていますので、高値安定が続くと、この先、支援が受けられないということ、そしてまた、卵の価格に転嫁することが非常に難しいという状況があるので、私の聞いた養鶏業者は、もしそういう状況が続けば、もう続けられないという、極めて強い危機感を持っています。

  それから、野菜農家にも聞いてきました。例えば、朝日村の状況を少しだけお話をしますけれども、今年売っている肥料は昨年の価格で、それでも200円から300円、20キロ当たり上がっています。来年は1,000円上がると言われています。来年分までは何とか確保してあるので、再来年分がどうなるのか分からない。朝日村の場合だと、1反歩当たり元肥に4袋から5袋、配合肥料が1反歩当たり1袋から2袋使っているので、1反歩当たり7,000円から8,000円のコストが増える、この意味がよく分かっていない人が多いんですけれども、例えば、今年も生産調整で、畑でレタス転がしているんですよね。それで、そういう状況の中にあって、肥料価格が上がっていくということ自体が、この先、農業を続けていく気力を失っていく原因になるほどの、私は緊急事態だという認識を持っています。その認識についてお聞きします。

○小林農業技術課長 価格高騰に対する農政部の認識という形でお聞きをいただきました。全般に対しては、また別途あるかもしれませんが、現在、農業農村支援センターに相談窓口を設置して、相談を実際に受けてございます。8月、9月から急激に相談件数が増えてきてございまして、現在まで4月以降67件ほど寄せられてきておるんですが、その半分以上が8月、9月になって、実際に秋肥の準備等が始まってから、急激に心配になってきた農家の方々多くなってきておるというふうに感じてございます。

  品目別には、委員おっしゃられた野菜農家、作物の農家、畜産農家という形で相談を受けてございまして、相談の中身は、やはり燃料の高騰、肥料の高騰、飼料の高騰といった部分に対して、資金繰り、何かいい補助制度はないかという形で多くの意見が寄せられておるところでございます。そういったことを、実際に農家の声を農業農村支援センター、じかにお聞きする中で、非常に来年の作付に向けて厳しい認識というものを持ってございます。我々といたしましても、肥料だけでなく資材も高騰しておるという中で、農家経営全般に及ぼす影響は、品目、野菜に限らず大きいものがあるという形で認識してございまして、今回第2弾の対策を打たせていただいてます。よろしくお願いいたします。

○中川委員 そこで、順番にお話をもう少し詳しく、大局的なことは既にいろんな皆さんからお話出ているので、細かな話になって大変失礼かもしれないんですが、例えば、化学肥料の高騰対策の国の対策の内容を見ると、化学肥料2割削減ということを条件にしています。でも、これが、じゃ、今の長野県の野菜を作っている農家全体に対して行き渡らないと、意味がないんですよね。そういう意味でいうと、国は化学肥料の低減計画書を提出してくれと言われていて、その中には十何項目もあって、それでそのうち二つ該当すれば対象にしますよというふうになっているわけです。なので、そこをちゃんと説明する、こういう委員会の場でもきちんと説明する必要があると思うので、改めて委員の皆さんにそこを説明してください。

○小林農業技術課長 すみません、国の制度につきまして詳細な説明が欠けておりましたので、この場でちょっと簡単に説明させていただきます。

  まず、支援の対象となります肥料につきましては、令和4年、この6月から来年の5月に注文・購入した肥料、本年の秋肥と来年の春肥として購入された肥料が対象です。国は、化学肥料の低減に向けた取組を行った上で、前年度から増加した肥料費についての7割を支援します。申請に必要なものは、それぞれ春肥、秋肥、注文票や領収書、請求書等で確認しますが、化学肥料低減に向けた二つ以上の取組、これが全部で15項目ございます。例を申し上げますと、土壌診断による施肥設計、堆肥の利用、有機質肥料・緑肥の利用、そして例えば、場所を局所施肥といいまして、全面に散布するのではなく部分的に施肥をする、そういった取組について自分で自らこの2年間に行うといったものについて、自分で自主申告していただいて、それを確認した上で認めるという形です。

○中川委員 言い方悪いですけれども、国は何とか困っている農家を助けたいという気持ちがあって、言ってみれば非常に条件を緩和して肥料の価格高騰対策を行っているということをぜひ農家の皆さんに分かってもらうということが大事だし、もう一つは、申請が、個人の農家からすると事務が大変だと、こういう話もあります。ところが、一方で、輸送費用だとか保管料というのが、今まで中国からあるいはロシアから入れていた場合には、それぞれの肥料をその先に下ろす港に直接小型船でつけて、そこからトラックで輸送していました。ところが、今回は、例えばモロッコから新たに大型船で入れるとなると、大きい港が必要で、なおかつ保管庫が必要なんですよね。そのために国は、輸送経費だとか保管のための費用のために100億円補助しています。これもこの秋までです。なので、本当に秋肥も上がっているんだけれども、実は春肥以降の値上がり具合と言うのは、今のところまだ予想がつかない状況なくらい厳しさがあります。なので、国からすると、国がしっかり支援しているんだよということを農家の皆さんに分かってほしいということで、農家の皆さんに補助の申請をお願いしているんだけれども、本当にそれで農家のためになるのかなと思うと非常に心配なので、そこら辺の事務の簡素化だとかお手伝いだとか、そういったことをぜひ県としても農協などと連携を取って、しっかりやってもらいたい。これは要望しておきます。

  そして、野菜の話にしますけれども、野菜の価格安定制度があります。野菜の価格安定制度は、基本的に、売った価格の平均価格より下がった場合に補償するだとか、それから、緊急需給調整対策、さっき言った、畑で転がしちゃうというようなときの対策も、これも基本的には売った価格の平均価格に対して補塡するという仕組です。だとすると、今回のようなコストが増えた場合については、この対策、野菜の価格安定対策制度自体は機能しないということになります。先ほど来出ているように、化学肥料が高値安定で、上がった分というふうに言ったときに、一体どこを基にするのかみたいなところは、やっぱりこの先も言っていかなきゃいけないし、それから、もう1個は、野菜価格安定制度の中に、コストという考え方も含めるべきではないかということを国に対して言っていく必要があるんじゃないかと思うんですが、その点について御見解をお願いします。

○吉田園芸畜産課長 野菜の価格安定制度に関する御質問でございます。

  委員御指摘のように、価格安定制度は、市場流通の中で価格形成機能が欠如してきた場合に発動する、そういう制度でございます。委員の御指摘の中にあった価格安定制度は、主に二本立てです。市場流通の市場価格が平均的な販売価格よりも下がったときの差額について、品目によってちょっと違いますけれども、8割から9掛けを補塡するというものが一つ、もう一つは、市場流通にも乗せられないくらいな著しい価格の下落が予想された場合、その場合は市場から隔離するということで、畑で土壌還元の処理をするという、この二本立てでございます。今回のように、コストの中で価格高騰が起こったという場合のケースについての補塡を行うという制度にはなっていない状態でございます。

○中川委員 いや、だから、どうするかということですよ。だから、今の状態で肥料価格が下がる見込みがないんですよね、今のところね。需要と供給との関係もあるし、円安の影響もあるし、下がっている部分も多少あることはあるんですが、それでも、そう下がるような状況にないというのが現状なので、その際に、例えば野菜の農家が安定的な農業経営をしていくというときに、もちろんコストを削減するとか、様々な課題はあるにせよ、この事態、だから一番最初に聞いたのは、危機の認識が、何とかなるんじゃないかみたいな認識で本当乗り越えられるものかなと私は思うので、その点について、もう少し新たな対策みたいなことも、国と相談して検討する必要があるんではないか、そういうことについての見解をお聞きしているんです。

○吉田園芸畜産課長 説明不足で大変すみません。

  価格安定制度は、そういうことで市場流通の価格のことが今の現状の制度になっています。もう一方、いわゆるセーフティーネットといいますか、所得に着目した収入保険という制度を国も立ててございます。野菜の場合には、市場価格の下落に対する制度と、トータルの収入が減少したときの保険制度、この二つをセットにしてカバーしていくという考え方になっています。ただ、課題がございまして、収入保険は、青色申告ですとか、そういった実績がないとすぐに入れない、農家の方たちに若干事務的な手続をしてもらわなくてはならないということと、野菜の価格安定制度に入っている方は、実は3年前まで収入保険に入れない状態でしたが、我々要請をしたところ、同時加入が今できる状態になってございます。これも、ただ、緊急的な措置になっていますので、それを永続的にしていただけるように、国のほうにこの春も要請を続けている、そういった状況でございます。

○中川委員 重ねて、じゃ、要望しますけれども、ぜひ農家の方の状態をしっかり調査、また聞き取りなどして、今、取りあえず秋肥が上がりました、春肥がどうなるか分からない、春肥というのはもっと上がりました、そういうことを目の前にしたときに、皆さんからいろんな不安や意見が出てくるということなので、そういう声にしっかり答えるような対策を打っていくようにお願いしたいというふうに思います。

  それから、配合飼料の高騰対策についてですが、これも先ほども出ましたけれども、高値安定になったときの対策というのが、どうしてもこれ必要なので、これと、それからあわせて、先ほど来出ている国の粗飼料利用拡大緊急酪農対策の要件、これも、何かさっきお話聞いている中でいうと、ちょっとよく分からなかったので、要件について御説明をお願いします。

○青沼家畜防疫対策室長 配合飼料の高値安定になったときの対策についてでございます。

  高値安定、説明でも申し上げましたが、この制度自体、価格安定制度自体は、高値が続くと補塡金が減っていってしまうということが非常に課題でございます。後ほど答えます粗飼料の拡大緊急対策と併せまして、実は国のほうで今回2本の事業を出してございます。その一つが配合飼料の価格高騰の緊急特別対策といったことで、これから国のほうは、第2期、第3期と上がる可能性があると。なおかつ補塡も減っていく可能性があるということで、この補塡自体はどんどん減っていってしまうので、農家の負担を第2期の負担にまで抑え込もうという対策を今回数百億円の予算をもってやるということを決定しているところでございます。ただ、この対策が、第4期は来年1月から3月、これも続くかは、今後の価格動向を見て決めたいといった状況でございます。県といたしましては、先ほど申しましたが、この制度自体が、高値が続くことを非常に農家に負担を強いる制度でございますので、国に対し、繰り返し制度の変更について要請はしていきたいと考えております。

  それから、もう1点、国の粗飼料対策でございます。先ほど説明が一部になってしまって申し訳ございません。

  要件なんですが、二つございまして、一つが生産コストの削減でございます。もう一つが飼料自給率の向上、この2点になっております。今回の粗飼料に関しては、飼料自給率の向上のメニューから一つ、そのほかについては生産コストの削減でもいいといった形になってございまして、大きなもので申しますと、輸入粗飼料からの転換というのが一つの項目─項目が14個あるんですが、それから、国産の高栄養粗飼料への転換、これは青刈りトウモロコシですとか、アルファルファでもオーケーだということですので、ここら辺については、農業農村支援センターのほうで進めることができるかと思っています。

  それから、疾病・事故率の低減ですとか、牛群ドック、これを受検することと。牛群ドックというのは、乳量とか牛の状態を月に一回検査しまして、それをもって農家の乳質ですとか飼料の改善を図っていくんですが、こういったものの参加、これについても家畜保健衛生所のほうで支援ができますので、こういった要件について農家と、恐らく事業主体になるであろうJA組織と連携しながら取組をしていきたいと考えております。

○中川委員 そうなんですよね。なので、そこも畜産農家の皆さんの、今、何とか不安に応えようということで要件がそういうふうに、ある意味緩和されているというふうに思えるので、そんな点についてもぜひ農家の皆さんの負担に応えられるように、県としても指導してほしいなということを要望しておきます。

  それで、そうした状況の中にあって、これからどうしていくのかということについても、私のほうからは、有機肥料の拡大策について幾つか提案いたします。

  これは、農畜連携というような言葉もありますけれども、畜産業者の堆肥の活用をどうしていくのかということです。大町に旧八坂村が造った堆肥センターというのがございます。この堆肥センターを見に行ってきましたけれども、牛や豚のふん尿ともみ殻と、好気性の菌を11種類合わせて堆肥化しているので、私行って臭い嗅ぎましたけれども、全くというか、ほとんど臭いしないんですよね。長野県内全体的に見ると、堆肥センターの現状というのがどうなっているのかということについて、少し御紹介ください。

○小林農業技術課長 堆肥センターの現状についてのお尋ねでございます。

  委員御承知のとおり、肥料には、肥料取締法に基づく米ぬかとか堆肥とか油かす等、アム、魚かすですね。そういったものを使った特殊肥料と言われるもの、そして、それ以外のものを原料としている化学肥料やなんかの普通肥料と言われるものと、大きく二つに分かれると思います。特殊肥料は、設置した際に我々県への届出が必要という形になっておりまして、県内で届出があるのが413の施設が、届出が現在なされております。そのうち、米ぬかとかくん炭を除きました、本当に堆肥製造というふうに言われております施設は359施設ございます。これは個人のものも含んでおりますので、個人の畜産農家のものも含めての数となります。そのうち、委員おっしゃられております、一般的に堆肥センターと言われる比較的大きなもの、JAとか市町村が運営するような施設は40施設あると把握しています。これら原料としましては、牛ふんとか豚ふん、こういったものを主な原料としておりまして、一部で、市町村等で排出されます生ごみ、学校給食で出る生ごみ等を使っておる施設もございまして、それは我々の把握している範囲では14施設あるというふうに把握しておるところでございます。

○中川委員 ただ、今、名前が出たというか、紹介があったので言いますけれども、なかなか給食の残渣だとか、そういったものが入っていると、全て大丈夫かみたいな話があって、それが、じゃ、公的に有機の堆肥として使えるのかという問題あるんですけれども、ただ、業者などがきちんと土壌検査をしてやっているというところは、私はちゃんとそういうところを認めていくということが大事かなと思うんです。

  それで、現状、実は堆肥センターの運営というのは非常に運営自体苦しい。維持するのが苦しいのでやめたいと思っている市町村だとかあるんですよね。今後、みどりの食料戦略システムというような大きな流れ、それから今回の化学肥料などの高騰、畜産農家のふん尿の処理、様々考えると、堆肥センターの運営のコストということだけでやめちゃうというのは、あまりにももったいないなと。ある意味、SDGsだとか持続可能な農業などと連携した新たな価値というものが、そこには当然私はあるというふうに思うんですよね。そういう価値ということをちゃんと支援するという仕組みが、私は必要なのではないかなと思うので、今後、堆肥センターの設置については支援があるというふうにお聞きしていますけれどもその状況と、今後の運営への補助の仕組みなどについても必要なことではないかと思うので、御見解をお願いします。

○吉田園芸畜産課長 私のほうからは、堆肥センターの中でも家畜排せつ物を主に扱う堆肥センターの設置の関係をちょっとおつなぎしたいと思います。

  こちらのほうは、国庫補助事業の中で、個人の畜産農家それから共同でやる場合の組合方式みたいな感じの堆肥センターについては、国庫補助事業費に対して2分の1以内という補助がございます。直近の中では、実は共同でおやりになるという方が激減してございます。委員御指摘のように、昔はJAであったり市町村で造ったりしていましたけれども、御案内のとおり、なかなか機械の更新ですとか臭気(臭い)に対するクレームとかがございまして、ちょっと苦戦をしているということで、今は直近では個人で畜産農家が増頭したりする場合にはどうしても家畜排せつ物が出るので、それを処理するために堆肥センターではないんですけれども、堆肥舎になりますけれども、そういったものの補助事業の活用が今多くなされているという状況です。

○小林農業技術課長 私からは、運営費への助成ということの考え方についてお答えをさせていただきます。

  非常に運営に当たっては、黒字にするというわけになかなかいかない施設もあるというふうに、そういう声もお聞きしておるところでございます。実際に委員も現場を見ていただいた中で、そういった助成があればというようなお声も聞かれておるというふうに認識してございます。実際にこういった運営に当たっては、なかなか県で運営費補助というものを出すのは現段階では困難であるというのが状況でございますが、委員御指摘のとおり、ゼロカーボンとか、そういった大きな社会的基盤という位置づけの中で助成が必要だという認識になれば、そういったことも環境部やなんかと検討する必要はあろうかと思いますが、現段階では難しいというのが現状でございます。

○中川委員 ぜひ、これからの農業あるいはみどりの食料システム戦略ということの中では、極めて重要なテーマになるんではないかなと思われるので、その点、ぜひ県としても研究していただきたいということを要望します。

  それから、化学肥料の高騰対策の中で、適正な肥料ということについて県からプレスリリースがあったと思います。その中に、新たに緑肥の活用という項目が加わりました。6月定例議会の委員会の中で、私は緑肥の活用についてというのは風食被害対策としての緑肥の活用ということで触れたんですけれども、今回、新たに緑肥の活用というふうに、県として肥料の適正な、肥料を減じていく中での指導の文書の中に、緑肥の活用ってわざわざ入れてくれたのは私はうれしいんですが、現実的に緑肥の活用ということをやっていくための課題などについてお伺いします。

○小林農業技術課長 緑肥の活用と現状、課題等についての御質問だと思います。

  まず、現状ですが、緑肥については、水田におきますレンゲ栽培、野菜の畑ではライ麦とか燕麦、こういったものをまいたり、果樹では草生栽培等にいます。残念ながら、その面積等につきましては県では把握できてございません。

  その中で、緑肥の効果でございますが、有機物の供給によります土壌改良効果がまず1点挙げられます。二つ目といたしましては、マメ科の牧草では根粒菌の窒素固定による肥料効果、こういったものを挙げることができます。そして、三つ目といたしまして、根が土壌の深いところまで張ることができまして物理性が改善されるだろうという点、4点目としまして、センチュウに対するマリーゴールドなどの土壌病害虫の抑制効果、こういったものが効果として挙げられるかと思っております。

  一方、課題といたしまして、実際に緑肥の使う品目、品種、それをどのくらいの生育期間ですき込むか、そういったものによって効果が変わってしまうというところがあると思います。ですので、目的により品種や栽培方法を使い分ける必要がありますので、そういった点にも注意が必要と思っております。また、一定期間、圃場を占有してしまいますので、ある程度圃場利用率が下がってしまうという課題等も挙げられるかと思います。

  以上でございます。

○中川委員 私も塩尻の野菜花き試験場で、風食対策としての緑肥の活用というのを見てきたので、あまり意識していなかったんですけれども、そういった研究がぜひ進んで、大事なことは付加価値の高い野菜作りということにつながっていけばいいなと思うんですよ。有機だとか環境に優しい農業で作ったものだというものが市場で高く取引されるという、そういう付加価値につながっていくと、農家も、それなら自分もやるというような、そういうところへつながっていくと思うので、そんな点はぜひマーケティング室などとも連携したり、あるいは先ほど来出ているエシカル消費だとか、場所にもよるんですけれども軽井沢とか白馬とか、そういったところで外国人のお客さんがたくさん来るようなところと連携するだとか、そういった形で消費に結びついていく付加価値の高い野菜作りみたいなところで持っていかないと、なかなかこれは言われるとおり進んでいかないなと思いますので、御研究いただきたいというふうに思います。

  それで、関連してなんですが、先ほど池田委員からも、中間管理機構の構造改善事業は非常に優位にできるという話が出ていましたけれども、その中で、例えばそうした構造改善事業がこれから大規模に行われるというのも、なかなかだんだん少なくはなってきているかもしれないんですけれども、そうした中で、環境に優しい農業を大規模に展開するモデル事業というものを構築することによって、先ほど来申し上げているような付加価値の高い農作物を作り、そしてそれが売れるというような流れをつくっていくことができるのではないかと思うんです。

  一つだけ例を、できている例じゃないんですが、私の希望なんですけれども、例えば、小山委員長の地元の軽井沢町の馬取山田地区で、今、中間管理機構がやっている圃場改善事業あるんですけれども、ここ、例えば軽井沢町だと、霧下野菜という、京都とか結構高く付加価値がついて売れるんですよね。霧下野菜にオーガニックというのがついたとすると、軽井沢町という町の性質もありますけれども、もっと付加価値が高くついて売れるのではないかと思うんですよ。そういうようなことを考えると、これも同じくみどりの食料戦略システムという大きな流れの中で考えれば、そうした方向に持っていく、直ちに成功するかどうか分からない、あるいは、あそこには発地という市場もありますけれども、そういったところとも連携して、軽井沢オーガニック霧下野菜みたいなものを売り出していくというような戦略も必要なんじゃないかなと思いますが、御見解なり御感想をお願いします。

○小林農業技術課長 ただいま貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。

  やはり付加価値をつけて評価した上で売れる、これが大事だと思っております。有機野菜等は非常に手間かけて作っておりますし、その価値をきちっと評価していただいて、購入していただくことが必要だと思います。そして、それもある程度まとまった、団地化した広域的な取組、こういったものでないと広がっていかないというふうに考えております。先ほど委員おっしゃられたような、例えば構造改善をやる際に団地化の中にそういったものを取り入れるとか、大型の直売所の中でそういったコーナーを設けて積極的に消費者にアピールしていくとか、そういった取組は非常に重要だと考えてございます。ですので、今後、みどりの食料システム戦略の交付金等をうまく活用しながら、地域の中にこういったものを取り入れてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○中川委員 価格高騰対策からずっとお話をしてきましたけれども、ある意味、ピンチをどういうふうにチャンスに転換して、長野県農業そしてまたそれに従事する農業者の皆さんの幸せをどうつくっていくのかということに尽きるというふうに思いますので、そんな点、御留意いただいてお願いしたいということを申し上げて終わります。ありがとうございました。

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20220805 肥料の価格高騰についてその2

2022-08-08 00:35:59 | 食・農業

改革・創造みらい「株式会社JAアグリエール長野」視察

 

■JAアグリエール長野

(会社概況)

・平成22年「株式会社くみあい運輸」と「長野県農協肥料株式会社」が合併し、「株式会社JAアグリエール」が発足した。主に運送事業と肥料の製造販売事業を行っている。

(肥料事業部)

・BB肥料(Bulk Blending=粒状の原料を2種類以上、化学反応を伴わず、物理的に混合した肥料)を、令和3年実績で36,825t出荷している。

・アグリエールの機械=マゼッタでは、20種類の肥料を配合することができる。有機質のNPK(窒素・リン酸・カリ)、速効性NPK,肥効調節NPK,緩効性NPK,土づくり肥料、微量要素(苦土・マンガン・ホウ素など)を混合している。

・BB肥料は、①地域の土壌・作物に適した経済的な肥料、②施肥の省力化ができる、③環境にやさしい、④土づくり、⑤きめ細かなニーズ(わたしの肥料)に対応

(土壌診断事業)

・高品質な農産物を生産し、施肥コスト削減することができる。

・県下14JAより有料で分析を受託している。

 

■JA全農長野のお話

(1)主原料の調達

①輸入の規模と現状

・日本で肥料製造に使う主要原料は海外からの輸入に依存。2021年輸入量は尿素30万t、リン安50万t、塩化加里50万t。

・主要輸出国である中国やロシアが輸出量を制限、ロシアのウクライナ侵攻により世界的に肥料の需給圧迫への危機感が一層高まっている。

・全農は、尿素はマレーシア、塩化加里のカナダなどからの輸入を継続しながら、リン安は中国からモロッコへ輸入先をシフトするなどして例年並みの原料を確保する方針。

②国内生産原料 略

 

(2)主要原料の国際市況

<全般>ロシアのウクライナ侵攻により、肥料の国際市況は再び急騰しており、特に欧米における市況上昇が顕著。

・尿 素 2021年2月360ドル/t→2022年2月980ドル/t

・リン安 2021年2月500ドル/t→2022年2月900ドル/t

・塩化加里 2021年2月260ドル/t→2022年2月1000ドル/t

*ロシア・ベラルーシで世界の輸出量の4割を占めている。

 

(3)輸入先変更による掛かり増し

①輸送費:中国やロシアからの小型船輸送から、遠隔地からの大型船輸送となることで、日本到着後、港湾からメーカー工場への直送ができず、国内輸送コストが高くなっている。

<例>中国60~70ドル/t→モロッコ140ドル~150ドル/t

<国内輸送>数千円~1万円/t増加

②保管料:早めの原料確保が必要となり、国内の港湾倉庫での保管手数料が増加している。1トン当たり1500円~2000円程度増加

*国の原料調達支援事業費100億円により4~10月期の秋肥は見込んで農家の負担が増えないように価格設定している。

 

(4)国内の肥料流通

・日本国内の複合肥料(国内生産品)の出荷量は、年間180万t。全国では秋肥40%春肥60%だが、長野県内では秋肥23%春肥77%。

 

(5)秋肥の肥料化価格 全農5月31日発表

・複合肥料で、春肥比較で55%の上昇。

 

<当面の課題・要望>

 海外からの化学肥料の原料がストップするということではない。中国、ロシア、ベラルーシからの輸入が減る分、他の国へ輸入を求めている。そのため原料価格の高騰や輸送・保管コストが増加し、肥料価格が高騰している。

 問題は、肥料価格の高騰に見合った小売価格への転化ができないこと。朝日村では現在生産調整に入っており畑でレタスを潰している。野菜価格安定対策基金では再生産費が出ない。*170代以上の農家では、これ以上コストがあがれば利益が出ないことから農業をやめる人が出てくる。日本における食糧危機はそのような意味でとらえる必要がある。

 朝日村の若手農家は、高原野菜から他の付加価値の高い農産物への転換を検討している。あるいは、減化学肥料・減農薬による環境にやさしい農業や有機農業への転換を大胆にすすめ、付加価値を消費者に認めてもらい価格に反映させるなどの手立てが必要。

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20220805 肥料の価格高騰についての調査その1

2022-08-08 00:33:51 | 食・農業

1,調査日 2022年8月1日

2,調査先 JA松本ハイランド、羽田野肥料店

3,調査内容

(1)化学肥料の現状

・秋作については、これまでメーカーに予約してある分が確認が取れている。昨年の6-12月に出た量を確保した。窒素リン酸カリの配合肥料BBN552、仕入れ先は全農。

・全農の説明によると、尿素はロシア・中国からマレーシアに、リンは中国・ロシアからモロッコに、塩カリはロシア・ベラルーシからカナダへ輸入先をシフトしている。

・秋肥は、価格が上がる前に仕入れた。春肥は事前に発注してあるが1.5倍くらいに上がる。

・世界的には、ブラジル・オーストラリア・アメリカ・カナダが取引量が多く。日本は比較すれば少ない。特にブラジルのトウモロコシ生産に肥料が大量に使われる。トウモロコシは配合飼料やバイオエタノールに使用され、値段が高いので、肥料の引き合いが出てくる。

・民間肥料メーカーは、三井・三菱・住友などの商社+全農

 

(2)配合飼料の現状

・JA松本ハイランドの取引量は、3ヶ月で1500t=年間6000t

・四半期ごとに値段が決まる。昨年の7-9月期で7万円/tが今年9万円に。トウモロコシがあがっている。

・国の基金で9,800円+県の支援4200円+JA1500円~1800円支援している。

 

(3)課題・要望事項

①有機質のたい肥の使い方の研究と実践

②野菜の価格安定対策費に肥料の値上がり分を算入

③肥料高騰対策費の補助申請は現状、農家が申請している。面倒なので生産か卸に支援し農家の事務的負担を軽減してほしい。

 

(4)羽田野肥料店

・仕入先は、甲信商事・タテノコーポレーション・赤羽産業

・朝日村内で70-80軒の取引がある。

・価格は6月1日に切り替わる。5月31日までに注文する。

・今年売っている肥料は、昨年の価格で、それでも200円~300円/20キロあがっている。来年は1000円あがると言われている。来年分までは確保してあるので、再来年分がどうなるか。

・朝日村だと、元肥4-5袋/反+配合肥料1-2袋/反使っているので、反当り7000円―8000円のコスト増となる。今年も出荷調整をしているので、価格安定対策基金では再生産できない。

・ここの気候や風土にあった作物の研究など、高原野菜からの転換について支援してほしい。

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20220428 風食防止対策技術検討会

2022-04-28 21:08:40 | 食・農業
4月28日長野県野菜花き試験場において風食防止対策技術検討会が開催され続木県議と共に出席しました。
風食とは、春一番によって畑の土が噴煙のように舞い上がり、遠目にはカーテンのように映り、現場では高校生から自転車に乗っていて前が見えず風で倒れてしまうという意見をいただいていたり、外に洗濯物を干すことができないという苦情もいただいています。このまま放置すれば、農業が住民の方から敵となってしまうことから、対策についてこれまで松本農業農村支援センターが中心となって検討会を行ってきました。
今回提案された技術は二つあります。一つは、緑肥による被覆作物としての風食防止です。これまでにもムギが使われてきましたが、加えてマメ科のヘアリーベッチやハゼリソウを使った実験が野菜花き試験場で行われました。ハゼリソウは、枯死すると土を抑え込む役割をするそうです。また、緑肥として減肥することについても効果が期待されます。
二つ目は越冬マルチです。これは、北佐久郡で行われているもので、そもそもは風食対策で行われているわけではなく、春先の作業の軽減のために行われている技術です。これを松本地域でも応用できないか、試験場と山形村の個人の圃場で実験をしました。越冬マルチについては、いくつかの心配な点が指摘されていました。一つはマルチが風で飛ばされないかという点。実験した圃場では風でめくれた例がありましたが、マルチを張る際、雨による土の固まりなどの条件によることがわかりました。二つ目にマルチを張ることで土が固くなるのではないかという点については、調査の結果、レタスなどを栽培するために必要な柔らかさを保持していることが明らかになりました。三つめは、風により畝間に土が溜まってしまうのではないかという点については、条件次第のようです。
JA洗馬の担当者は、来年度緑肥や越冬マルチの実証に取り組みたいと言っていましたので、ぜひハイランドでも取り組んでほしいと思います。
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20220421 たい肥センター視察

2022-04-23 06:52:31 | 食・農業

20220421大町たい肥センター視察

4月21日池田町議の松野亮子さんの呼びかけで大町市たい肥センターと麻績村たい肥センターを視察しました。2月県議会で「国連の気候変動に関する政府間パネルIPCCは、食料の生産・消費・廃棄全体の食料システムが、温室効果ガスの21~37%が由来すると推定しています。また、世界で食料生産の3分の1が廃棄されているという報告があります。食品廃棄物を埋めればメタンガス、償却すれば二酸化炭素を発生させます。食品ロスを削減することや生ごみの堆肥化は、実はゼロカーボンの政策だということです。これは古くて新しい話ですが、2001年に「食品リサイクル法」が制定され、生ごみのリサイクルが始まりました。2019年には「食品ロス削減推進法」がつくられました。あらためて、県農政部が関係部局と連携して、生ごみの堆肥化等による循環農業を展開してはいかがでしょうか。」と一般質問を行っていた。

農政部長は「地元で生産された農産物が地域内で消費され、その残渣が堆肥となって農地に還元されて、再生産につながることは、持続可能な食料システムの構築の観点からも有効と考えております。県内においても堆肥の材料の一部に生ゴミを利用している事例はありますが、すべての材料を生ゴミとすると水分量も多く堆肥化が容易ではないこと。異物混入を防ぐために徹底した分別収集が必要となる事から課題が多いと認識しております。一方で、農地への散布は環境にやさしい農業を推進するうえでも重要であることから、農政部としましては、堆肥化施設の整備や製造された堆肥の有効活用を支援するとともに、今後、生ゴミの堆肥化をどのように実用ベースで乗せることができるのかを関係部局と連携し検討を進めてまいります。」と答弁した。

 

そこで、実際に生ごみをたい肥にしているセンターが県内各地にあるそうで、その一つが大町市たい肥センターです。合併前の八坂村がつくった施設です。令和2年度実績で家庭系生ごみ年3.1t、事業系生ごみ144.9tを収集し、たい肥として15t生産しました。

 

まず、現在の収集対象と収集方法ですが、自治会は1自治会、小中学校6校、福祉施設7,行政施設2,宿泊施設9,工場1飲食店32で協力をいただいています。収集方法は、70ℓバケツを収集用・交換用として使用し、自治会は週2回、事業所・学校は週1回~5回委託で行っています。

施設は、コンクリート製でおよそ50㎡ほどの区画が8つあり、生ごみを投入する微生物コロニー、牛糞の発酵、もみ殻置き場、などに分かれています。

たい肥化の手法ですが、HDMシステムという生ごみを微生物により発酵させてたい肥化をしていて、ここでは埼玉県熊谷市にある有限会社フォレストが維持管理を委託されています。HDMシステムとは、微生物コロニー(菌床:副資材に好気性微生物を生息させたもの)を事前に制作し、生ごみを投入・撹拌すると24時間で95%程度が発酵分解減容します。残った有機物分5%+副資材細分の10%程度がたい肥となります。HDMシステムを構成している主な微生物は11種類。

 

 

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20210701 松川町有機農業視察

2021-07-01 13:41:11 | 食・農業

 下伊那郡松川町は、遊休農地の活用のために、有機農業を奨励し、松本市波田にある自然農法センターから年間10回、実験圃場で指導を受けている。

 実験圃場は、とれた農産物を学校給食に提供をしているため、学校給食で使う食材として、米、玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモ、長ネギをつくっている。

 昨日、オーガニック議員連盟南信地区の皆さんが、研修会のための準備に訪れた。

 Iターンで新規就農された方、定年帰農された方、農業委員と農協理事が中心となって地域全体で取り組んでいる方、果樹栽培の隙間で取り組んでいる方、農福連携で取り組んでいる方などにお話を聞くことができた。

 

 

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20210622 6月定例会一般質問①有機農業の推進について

2021-06-22 13:26:33 | 食・農業

1 有機農業の推進について

(1)気候変動の影響と対応について

【中川】ここ数年有機農業に対する関心が高まってきているのは、種子法が廃止されたことから遺伝子組換えの農産物が食卓に知らないうちに乗ってくるのではないかといった心配や、発がん性が認められている除草剤が店頭で売られていることへの心配、さらにネオニコチノイド系農薬の残留基準が他の国より高く設定しなおされたことなどの影響も考えられます。

 種子法が廃止された後、県内各地で勉強会を開催しました。飯田では600人、松代で300人、松本で200人、茅野、伊那、松川村などなど、大勢の方が食と農について学びました。その流れの中で、廃止された種子法に代わる県条例を制定してほしいという声が大きくなり、2019年6月定例県議会で「長野県主要農作物及び伝統野菜等の種子に関する条例」がつくられました。子どもたちに、より安心安全な物を食べさせたいという思いは、その後も様々な学習会や要請行動に現在までつながっています。

 そこで、今回は、気候変動や消費者の側面から有機農業推進について質問します。

環境省では気候変動適応法に基づく初めての報告書として、昨年12月17日に「気候変動影響評価報告書」を公表しています。その中で、農業分野においては、気温が高い年ほどコメや、ミカン、リンゴなどの品質低下が生じること、家畜は夏季の高温による突然死や乳用牛の乳量の低下などの影響が報告されています。イネ等の害虫は、気温上昇により分布が拡大し、発生量が増加しているとのことです。

こうしたことから、農林水産省としても気候変動対策に乗り出し、今年の5月「みどりの食料システム戦略」を発表し、この中で現在2%の有機農業の耕地面積を2050年までに25%に引き上げる目標や、化学農薬の50%低減、化学肥料の30%低減を目指すとしています。

そこで、県農政部として、農業分野における気候変動への影響をどう認識されているのか、また「みどりの食料システム戦略」が国で公表されましたが、どのように対応しているのかお聞きします。

【農政部長】気候変動により、本県においても、りんごの着色不良やレタスの結球不良などの影響が出ており、その対応は喫緊の課題と認識しております。

このため、県では2014年度から温暖化による農作物への影響評価と 適応技術の試験を開始しており、高温でも色づきの良いりんご「シナノリップ」の品種育成など成果が出ているところです。さらに、農業生産活動に由来する温室効果ガスを削減するため、本年度より、牛の「げっぷ」からのメタンガスを削減する技術開発などに着手したところです。

こうした取組は、先般、国が公表した「みどりの食料システム戦略」と方向を同じくするものであり、今後も2050年ゼロカーボンの実現に 向け、革新的な技術の開発などで国との連携を強化し、有機農業をはじめ、環境にやさしい農業のさらなる拡大を推進してまいります。

 

(2)有機農業推進の取り組みの成果と課題について

【中川】農林水産省は、気候変動対策以前から、環境保全に配慮した取り組みを進めてきました。土づくりと化学肥料の使用を低減する農業生産を導入する計画のある農家に対して都道府県知事が認定する認定農業者(エコファーマー)への支援や、有機農業と地域振興を考える自治体ネットワークの構築などに取り組んでいます。

また、有機農業は普通に行われる農業より労働力もコストもかかることから、化学肥料を減らした場合、堆肥を撒くなど他の方法を用いて生産する際の掛かり増し経費についても支援してきています。

こうした取組を通して化学肥料の使用は減り、1990年時と比較すると、2016年時では、窒素約4割減、リン酸、加里では約6割減というデータが出ています。

長野県農政部としても、有機農業推進に向け、この間「有機農業推進プラットフォーム」を開設し勉強会を開催してきました。私も何度か出席させていただきましたが、直近では5月28日に新型コロナ対策としてONLINEで夜7時から9時半まで開催され当初190人から申し込みがあり、当日は最大160人が視聴したということで、有機農業への関心の高さが伺えます。さらに昨年からは「先進活動支援金」制度もできました。同じく8月には、県内各地で食と農の問題に取り組んでいる団体の皆さんと農政部との意見交換会も行われ、その中で県としての有機農業推進の取り組み方針などが説明され、農政部長も「何よりも有機農業の担い手をつくることが大切であり、補助金が無くても食べていくことのできる有機農業にしていくことが重要」と述べられていました。

そこでお聞きします。これまでの県農政部としての有機農業推進に向けた取組の成果と課題についてどのように考えておられるのでしょうか。新規就農者は有機農業を目指す方も比較的多くいるとお聞きしますが、県内の有機農業を目指す新規就農者の現状はどのような状況でしょうか。有機農業を推進していくためには、技術的な指導をはじめ支援が必要です。県農政部として自治体などへの有機農業における技術支援はどのように行われているのかお伺いします。

【農政部長】県では、技術習得のためのオーガニック・アカデミーの開催や有機農業推進プラットフォームの立ち上げなどの取組を行い、県内の有機農業の面積は、令和元年度末現在で418haと5年前から103ha増加し、有機JAS認証の取得件数は77件で全国8位となっております。

課題としましては、安定生産のための技術支援や、実需者とのマッチング機会の増加等による販路の確保、購入につながる消費者への理解の醸成などが必要と認識しております。

有機農業をめざす新規就農者は、数は少ないものの、県の里親研修制度などを活用して研修を積み、独立後は県内の有機農業者で構成される研究会のリーダーとして活動をけん引したり、地元の食や農に関する住民活動の中心となるなど、活躍されています。

さらに、市町村と連携して有機農業を推進するため、県内各地の熟練有機農業者をアドバイザーとして派遣し、普及指導員とともに技術支援を行っております。

 

(3)学校給食における有機農産物の使用の現状

【中川】つぎに、有機農業を推進するためには生産者側の課題と共に、消費者側の課題もあります。生産者が草取りなど多くの労力をかけても、それに相当する収入がなければ続けることはできません。全国的には学校給食に有機農産物を使用することで生産者を支援し、安定した生産を持続する取組が行われているところがあります。昨年2月のオーガニック議員連盟の発足総会で、30年前から食と農のまちづくり条例をつくり有機農業を推進してきた愛媛県今治市の取り組みについては、以前にもご紹介をいたしましたが、ポイントだけあらためてご紹介をいたします。今治市では、学校給食に地元の低農薬・有機の農産物を使用することで有機農業の拡大や、食育の取り組みにつなげてきています。それまではアメリカ産を使ってたパンの原料の小麦も、地元でつくってもらうことで当然にも地域経済への貢献にもなります。地産地消によって、生産者の顔がみえる関係にあることは食育を進めるうえで大事なことだと思いますし、また気候変動対策からも長距離輸送をできるだけしないという意味もあり、学校給食に地元の農産物を積極的に使用してもらい、そのなかで有機農産物を少しずつ拡大していくことを目指すことが必要と思います。

 塩尻市の学校給食は、自校給食であるため地産地消率が50%から60%であると聞いていますが、松本市では大規模学校給食センターであるため地産地消率は10%くらいではないかと聞いています。県内学校給食における地産地消の現状はどのようになっていますか。

昨年、池田町松川村の給食センターでは新たに年6回ですが有機のお米を提供することになったそうです。学校給食での有機農産物利用の状況はいかがですか。また、安曇野市においても自然栽培のお米1トンを提供することになりましたが、通常1キロ250円くらいですが、有機米や自然栽培米だと1キロ700円以上になるため、市民の皆さんにカンパを呼びかけ差額を農家に補填をしました。市町村が有機農業を進めるきっかけになる学校給食への有機農産物の導入を県として積極的に行ってほしいと思いますが、県の支援のあり方について伺います。

【農政部長】令和元年度の県による調査では、県内の学校給食で使用された県産食材の利用割合は46%となっております。

このうち、有機農産物の利用は、安曇野市や松川町、辰野町など、において取り組まれており、米やじゃがいも、にんじん等の品目が提供されております。

 県の支援のあり方としましては、有機農業推進プラットフォームの 勉強会において、引き続き、県内外の先進的な事例の紹介による理解の 促進や、プラットフォームの会員が地元給食へ有機農産物を提供する仕組みづくりを支援し、取組の拡大を図ってまいります。

 

(4)エシカル消費の観点から有機農産物の消費拡大について

【中川】長野県のホームページに「長野県版エシカル消費」のコーナーがあります。そこに「エシカル消費は、人や社会、環境に配慮したものやサービスを選んで消費すことです」と書かれていて、「信州の環境に優しい農産物認証制度」や「有機JAS」「エコファーマー」などが紹介されています。

 そこで、エシカル消費の観点から、有機農産物の消費拡大について県民文化部長に見解を伺います。

【県民文化部長】私にはエシカル消費の観点からみた有機農産物の消費拡大についてのお尋ねでございます。

有機農産物は、農薬や化学肥料に頼らず、環境に配慮して生産された農産物でありまして、その消費拡大を図ることは、長野県版エシカル消費の推進につながるものと考えております。

昨年度から、スーパーマーケットの店頭で「有機JASマーク」をはじめ、エシカル消費につながる商品を分かりやすく紹介する掲示を行っているところでございます。

引き続き、掲示に協力いただける店舗の拡大を図りながら、有機農産物の消費拡大を含めた長野県版エシカル消費の推進に取り組んでまいります。

 

(5)外国人の有機農産物への消費志向について

【中川】欧米では、有機農産物の需要が近年非常に大きくなっているようです。流通関連のホームページをのぞくと、スーパーに遺伝子組み換えではないNONGMのコーナーがあるだけではなく、オーガニック食品の売場が大きく拡大しています。日本国内でも注目されているコストコをはじめ、ウォルマートやアルディでも青果売場にオーガニックコーナーが設けられています。

 先ほど紹介した県農政部の有機農業推進プラットフォームの勉強会では、フランスの有機給食を進めている調理人や管理栄養士のグループの取り組みが紹介されました。フランスでは法律により、プラスティックの廃止とともに「食材の50%を良質な、持続可能なものにし、うち20%をオーガニック認証のついた食材にする」ことを目指しています。

 このような海外の事情から、外国人旅行客はオーガニックへの消費志向が高いと思われますが、営業局としての認識と施策展開について営業局長に伺います。

【営業局長】オーガニック食品の世界の市場規模は、農林水産省の調べによると 2008年から2018年の10年間で約500億ドルから1,000億ドルと倍増している。

 特に欧米では、オーガニック食品の年間消費量も多く、また、SDGsを背景に、食材への関心も高まっていることから、欧米の外国人旅行者を中心に、オーガニックへの志向は今後ますます強まるものと考えている。

このため、オーガニック食品の利用拡大は、ホテルやレストラン等飲食店にとりまして、集客を図る上で、強みの一つになるものと考えている。

 営業局では、産地を巡りながら、県産食材の利用促進を図るツアーを行い、県内外の一流シェフやメディアの皆様に対し、オーガニック食品の提案もこれまで行ってきた。

 また、昨年から県産品の販売促進のために開設しましたマッチングサイト、「しあわせ商談サイトNAGANO」におきましても、オーガニック食品を生産する事業者の皆様の登録を進めているところ。

 今後も、安定的に生産されるオーガニック食品につきましては、Webサイトによる情報発信や商談会への出展も更に進めながら、農政部をはじめ関係部局と一緒になって、利用拡大に向け取り組んでまいる。

 

(6)有機農業による地域づくりの推進について

【中川】下伊那郡松川町では、定年帰農者や学校保護者などが、遊休農地を利用して有機農業に取り組み、行政が定期的に技術指導を受けられるよう支援し、できた有機農産物を学校給食に提供してています。

有機農業を通じ、子どもや大人が自然や農業に接し、作物を育み、食を通じて命を考え、人と自然のつながりを考える取組や、有機農業を目指す新規農業者を受け入れて地域として支援するなど、県として有機農業を地域づくりの手法の一つとして推進してはいかがかと考えますが、知事のご所見をお伺いします。

【知事】県では、有機農業は持続可能な社会を作っていく上で重要な役割を果たすものと考えており、有機農業推進専任担当の配置、有機農業推進プラットフォームの開設、有機農業指導職員の養成、先進活動支援金等の取り組みを進めてきているところです。

私も有機農業の生産農園の現場に直接訪問し、有機農業に関する活動で環境大臣賞を受賞された「農の寺子屋」の皆様と意見交換を実施。人が生きる根幹としての「食」を通じた生産者と消費者のつながりなど、実践的なお話をいただき、大変勉強になりました。

学校給食については、有機農業を広げて、理解を深める効果的な手段であるので、もっと推進できないかというご意見をいただいたので、教育委員会とも一緒に、どうすれば進められるかを考えてまいります。

有機農業は、持続可能な社会をどう構築するかにも相通ずる取り組み。SDGsを推進する我が県として、脱炭素社会の構築、エシカル消費の推進、食育等、様々な政策分野とも関連することを常に意識し、施策を進めてまいります。

【中川】有機農家への支援情報も県として発信できたらいいのではないでしょうか。また、学校給食への有機農産物買い入れの際の差額を補填する制度を検討し、市町村の取り組みを後押ししていただくことを重ねて要請いたします。また、今年8月に全国有機農業研究者会議が飯田市で開催されるとお聞きしています。長野県としても積極的に関わっていただきますよう合わせて要請いたします。

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