こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

20221213農政林務委員会(農政部)

2022-12-17 12:38:04 | 食・農業

○中川委員 おはようございます。よろしくお願いします。

  まず、農業試験場などで、圃場や動植物の管理を行ってきた特別業託職員が退職をして、詳細な圃場や動植物の特性の維持管理が難しくなっているようです。結果として、試験研究業務の継続性や研究水準の維持が難しくなるのではないかと思われます。圃場や家畜等の管理を行う職員は的確な管理技術と再現性が要求されるので、技術の伝承という観点からも、今のままでは非常に困難かなという意見が現場から届いていますが、農政部としての認識をお伺いします。

○塩川農業政策課長 委員の御意見といたしましては、試験場等の圃場管理等の問題でございますが、現在は試験場等の圃場管理ですとか家畜飼育の業務につきましては、会計年度任用職員ということで任用を行っております。会計年度任用職員というのは5年を1期間として任用するということもございまして、5年間では短いんではないかとか、あるいはやっぱり試験場のほうで技術だとか資格がないと、大型の機械を扱う免許が必要だったりということで、なかなか安定的に確保することが難しいだろうというような課題は十分にお聞きしておりまして、農政部のほうでも共有をしているところでございます。

  人材の安定的な確保、技術の知識の継承などの課題というのは十分に認識しているところでございますので、今後も試験場のほうの実態をよくお聞きした上で、人事課とも相談しながら最善の対応を考えていきたいと考えております。

○中川委員 この件は、会計年度任用職員の問題、一般質問でも触れましたけれども、ぜひ継続、技術がしっかり継承されるように、農政部としても努力してほしいと思います。

  次に、畜産農家への支援の強化についてお伺いします。

  最近、私の地元で、70頭ほど飼っていた酪農家です。60年以上やってきた農家が、9月でしたけれども、廃業しました。私の住む地区内でも、かつては20頭以下の小規模な畜産農家がかなりありましたけれども、これで1件もなくなりました。

  県内の畜産農家の推移と、肉用牛、乳用牛、豚、鶏の飼育家畜数の推移がどうなっているのか、それからまた輸入粗飼料の支援が今回出ていますけれども、輸入粗飼料のこの間の価格の推移や牛1頭当たりの粗飼料の平均的な使用量、年間の粗飼料の価格高騰による1頭当たりの経費の増加分、そして今回の酪農粗飼料価格高騰緊急対策事業補助金及び国の国産粗飼料利用拡大緊急酪農対策事業により、牛1頭当たり合わせて1万5,000円ということになるのかなと思いますが、一応確認の意味で教えてください。

  それから、酪農家にとっては、子牛の雄というのが生まれたときには、それを売って一定の副収入となるわけですけれども、この値段もかなり落ちてきていて、経営が厳しくなってきている面があるとお聞きしました。子牛の雄の引き取り価格の推移と、それから廃用牛の価格も値段が下がってきているというふうにお聞きしました。この取引価格の推移について教えてください。

○吉田園芸畜産課長 畜産関係の質問を幾つかいただきました。

  私のほうからは、餌関係以外のところをお答えさせていただいて、餌関係のところは対策室長に答えていただくようにします。

  まず、畜産農家数の推移でございますけれども、最新の令和4年度11月時点で、現在畜産農家は687件でございます。これは、前年対比で94%ということで、減少傾向にございます。これは農家数も減少していて、畜産に限らずというところでございます。

  それから、飼養頭数でございますけれども、乳用牛が1万4,400、肉用牛が2万900、それから豚が5万6,000、それから採卵鶏の鶏が54万5,000羽、肉用ブロイラーが67万、都合、長野県全部の家畜数は130万頭羽ということにございます。

  これらの畜種ごとの推移でございますけれども、酪農、いわゆる乳用牛と肉用牛のところは大体100から102%で横ばいで推移をしてございますが、豚とそのほかの鶏関係は減少傾向にあるということでございます。

  それから、ぬれ子、ホルスタインが子供を産んで生まれる子牛でございますけれども、大変この価格が取引上、低価格になってございます。前年対比で22%ですから、通常平均で1頭当たり10万で売られたものが、今現在2万1,000円ということで、ちょっと大変今までにない、かつてない下落ということでございます。

  もう一つ、廃用牛ということで、乳を搾って能力が低くなったものは廃用牛ということで、屠畜とかに回していくわけでございますけれども、その取引価格が、通常で言いますと大体1等当たり16万くらいのところが、今現在1頭当たり13万ぐらいで取引をされていて、18%のダウンということで、餌も高くなってございますけれども、そういった意味で酪農の収益の部分も苦しいところがかいま見られるという状況でございます。

○青沼家畜防疫対策室長 それでは、私のほうからは酪農の飼料関係についてお答えをいたします。

  国の事業でございますが、国産資料の利用の増加などを要件にいたしまして、26か月齢以上の牛について1万円を交付するといった事業になっておりまして、県の事業のほうにつきましては、その国の事業にプラス6,000円、それからそれ以外の牛についても県独自で支援を行うということで今回お願いしているところです。このため、国及び県の今回の支援につきましては、牛1頭当たり、26か月齢以上の経産牛については1万6,000円、それからそれ以外の牛につきましては8,500円といった形の助成になります。

  それから、輸入飼料の関係なんですが、輸入粗飼料につきましては令和3年1月から上昇を続けてございます。令和4年9月現在ですが、1トン当たり6万5,400円となっているところでございまして、前年の同月比ですが157%ということで、実にこの4月以来、ずっと過去最高を更新しているといった状況でございます。

  それから、粗飼料の平均の使用量でございますが、搾乳牛につきましては、これは農家の皆様によっていろいろ違うんですが、大体20キロから30キロを給与というのが通常でございます。今回の価格高騰によりまして、1頭当たりの粗飼料の増加分につきましては、経産牛で約3万2,000円ぐらい、それからそれ以外の育成牛中心ですが、1万7,000円の増加となっているところでございます。

○中川委員 まずお聞きしたいのは、子牛の引取り価格や廃用牛の引取り価格がここまで下がっている原因について、どんなふうに分析されていますか。

○吉田園芸畜産課長 まず、子牛の価格が下落している原因というのは、今のこのぬれ子を売ることによって、それを育てて肉にしていく方たち、肥育なんですけれども、その方たちが、いわゆる和牛の、より売れる方向のものに今傾注をしているところでございます。御案内のとおりインバウンドの少なくなっている中で、牛肉の消費が大変鈍っているということで、その影響がこの子牛価格に来ているということでございます。なので、インバウンドなり観光業界なり、そういったところの回復が見られなければちょっと厳しいというふうに思います。

  廃用牛も同じ原理でございまして、通常ミンチにされて肉として販売されていくものでございますけれども、その価格のところが今、低価格、下落しているということでこの価格になってきていますので、ちょっと経済循環がよくならないと回復が難しいのかなというふうに分析してございます。

○中川委員 それから、粗飼料の価格高騰についての今後についてどんなふうに考えているか。要は、この円安が止まらないとどうにもならないという状況だと思うんですよね。だから、さっきの子牛の引取り価格だとかそういうのもそうだし、この粗飼料の高値でずっと推移していくということもそうなんですが、なかなかこれは本当に厳しい状況が続くなと思うんですが、そこら辺について認識を教えてください。

○青沼家畜防疫対策室長 粗飼料の今後の見通しでございます。

  若干昨日もお答えさせてもらった部分もございますけれども、海上運賃については若干下がってはきております。ですが、やはり為替相場、それから中東諸国、それから中国の買い付けの増加などによりまして、この先も粗飼料の価格高騰が続くという認識では私どもも思っております。

  やはり、昨日サプライチェーンの話も若干いたしましたけれども、県内生産、それから一番飼料を作りやすい北海道や東北、こういったところからの購入、それから国外からの輸入については一定のセーフティーネットを持って確保していくといった、まさしく安全保障的な部分につきましては取り組んでいかなきゃいけないと考えておりますし、県内の飼料増産、これは水田を使った飼料増産が非常に増えておりますが、今現在1,000ヘクタールを超えていますんで、まだここら辺につきましても啓発いたしまして、酪農家の使う粗飼料について確保してまいりたいと考えてございます。

○中川委員 もう少し質問を続けたいと思いますが、中信地区で調べましたら、4件の酪農家が廃業、あるいは廃業を考えているというふうに聞きました。

  それで、愛知県では、もともと食品残渣などを使って牛を飼っていたものを輸入飼料に変えた、その影響が非常に、長野県のように粗飼料を作るという状況がないので、非常に厳しくなっていて、30件が廃業しているという話を聞いています。長野県全体ではどんな状況ですか。

○吉田園芸畜産課長 畜産農家の廃業といいますか、リタイヤですけれども、私どもが持っているデータというのが、家畜保健所で調べている畜産農家台帳というものがございまして、お辞めになって家畜を飼わなくなった場合に報告が来る、そんなものになってございます。

  その中で、長野県全体で1年ごとにその畜産農家数がどの程度減ったかというのを直近3年くらいで見てみますと、年間で約33件の方がリタイヤされていると。この主な要因は、大体四つございます。一番最大のものが高齢化でございます。それから、二つ目がいわゆる経営主の病気であったり、家族労働力が病気や介護で足りなくなった場合、それが二つ目です。それから、三つ目は後継者がいなくて継承できない、それから四つ目が資金繰りが難しくなってきているという、そんな理由がございます。

  そんな中で、今愛知県のお話もありましたけれども、ここのところ餌が高騰してきて、先ほど言った資金繰りが困難になってきている農家が見られるというふうに家畜保健所のほうからも相談があるという状況でございます。

○中川委員 実は、冒頭申し上げました地元の畜産農家は、辞めることができた農家なんですよね、変な言い方ですけれども。つまり、えらい借金もなくて、辞めることができた農家という側面があるんです。

  松本で大規模にやっている農家のお話をちょっと紹介しますけれども、160頭飼育している酪農家さんに聞いてきました。自分で45町歩の粗飼料を作っているんですが、これで全体の大体6割、4割は購入しているそうです。それで、購入粗飼料の価格の高騰で、実際に自分の月の手取りが二、三万まで落ち込んでいて、今までの蓄えを食い潰しているというのが現実だそうです。乳価が10円引き上げられましたけれども、実はこれも昨日お話ありましたけれども、牛乳や乳製品がだぶついているので、上がっているとはいえ、収入の回復に結びついていないという現実があるそうです。このままではさらに廃業する農家が増えるんではないかというふうに言われていて、これはさっきの現状、粗飼料の価格のところや子牛などや廃用牛の取引のことを聞いても、かなり厳しいですよね、これね、正直言って。

  廃用牛、さっき13万という話が出ましたけれども、聞くところによると、3,000円でしか引取りがなかったとか、要らないとか、取引そのものが止まっちゃっているという話も中にはあるそうです。そうなってくると、副収入もない、餌代だけは高くなっていく、そういう状況になっているという大変厳しい現実だというのは、私は話を聞いていて思ったわけです。

  そういう中で出てきているのは、国が廃用牛に15万円を出す事業を3月から考えているというふうに聞きましたけれども、これがちょっとよく分からないんで、もし御存じなら教えてください。

○吉田園芸畜産課長 国の新しい経済対策の中で出された酪農経営改善緊急対策事業というもので、予算額で50億円のものでございます。この事業の目的は、乳価を上げることによって、乳製品、牛乳ですとかヨーグルトですとかそういったものの販売量が鈍ってくるのではないかなという予測の下、生乳と使うほうのギャップを薄めるために出た事業でございます。

  それは、すなわち生乳の生産量を絞っていくと。いわゆる生産調整でございます。国のほうは、いわゆる国の三大乳業メーカーとも相談しながら、年間大体今現在ですと762万トンくらい全国で生産されているんですけれども、それを5%程度、約35万トンの生乳の生産を減少させようと。そのためには、先ほど出ている廃用牛、いわゆる能力がだんだんどうしても下がってくるので、そういったものをちょっと早期にリタイヤさせた場合について、1頭15万の奨励金を酪農家に交付するといった、そういった事業でございます。

○中川委員 この後の質問とも関連するんですが、国は畜産クラスターなどをやりながら応援をしてきた。だけれども、せっかく育ててきた牛をそうやって廃用にしなければいけないという、何とも切ない状況があるなと私は思うんですね。

  そこでお聞きしますが、畜産クラスター関連事業は、これまで長野県でどのくらいの農家が利用してきたのか教えてください。

○吉田園芸畜産課長 畜産クラスター事業は、地域を挙げて畜産農家を守る協議会をつくって、その協議会でオーケーになった計画の中で、機械であったり牛舎であったり、そのハード施設を支援するという事業でございます。

  実は、平成27年から創設をされまして、これまで昨年の令和3年度までに長野県では504件の農家が活用していただいて、事業費で約59億、補助金でいいますと約27億の事業が活用されて、この数というのは全国的に見ても、内地の中では大変高い数字かなというふうに分析してございます。

○中川委員 そこで要望です。

  一つは、畜産クラスター関連事業の返済ですね、これをぜひ猶予する制度を国に要望してほしいです。これをやってほしい。ちょっとね、本当にもたないですよ、このままいくと。それから、もう一つは、学校給食用の牛乳が全体の生乳の10%程度を占めているわけです。これは4月の契約だもんですから、乳価の改定価格が反映されていません。これまで県が学校給食費の値上がり分について補助をしている、そういう制度をやってきて補正予算を組んでいるわけですから、学校給食用の牛乳の契約価格と乳価との価格差を補助する制度を農政部からちゃんと要請をしてほしいと思いますが、いかがですか。

○吉田園芸畜産課長 私のほうから返済の関係は答えさせていただいて、学乳のところはマーケ室ということでお願いしたいと思います。

  クラスター事業のうち、いわゆる自己負担分がどのようになっているかというと、委員御指摘のとおり、政策金融公庫でスーパーL資金というものがございます。そこの融資制度をお使いになる方がもう9割ほどということでございます。そういった方たちの返済は、当然据置きがあって、機械であれば七、八年、ハードの牛舎であれば三十何年というような、そういった返済期間になってくると思いますけれども、それについて、まさに今畜産の経営が芳しくないということで、実は国のほうが、まずコロナで需給が鈍ったときに、金融機関に対してその返済期間の猶予をしてくださいという通知が発出されてございます。ここのところ、令和4年になって価格高騰ということもありまして、都合2回そういう返済の緩和をしてくださいという通知が出てございます。

  実際、スーパーL資金の管轄の政府金融公庫にお聞きしましたところ、そういう制度はもうよく知っているんですけれども、実は相談が今のところ1件しかないという状況でございます。ちょっと我々もクラスターで活用している農家にこういった制度があるということは、よりもう少し周知しなきゃいけないかなというふうに思ってございますし、国に対してもそうなんですけれども、この返済を猶予するというのは、年数を伸ばしたり、あとは据置き期間を伸ばしたりということになろうかと思いますけれども、そういった現状をもう少しちょっとお聞きしながら、場合によって、必要であれば本当に国のほうに要請をしていきたいなというふうに思います。

○村山農産物マーケティング室長 私からは、学校給食関係の御質問についてお答えしたいと思います。

  委員お話しのとおり、学校給食の牛乳につきましては、学校給食法の施行規則等で毎日提供するということとされておりまして、いわゆる牛乳の安定的な消費拡大に重要な位置づけということで認識しているところでございます。

  現在、学校給食のいわゆる契約価格、いわゆる保護者負担については、毎年国の対策要綱等に基づいて、現在、私ども県のマーケ室で入札によって決定しているというところでございます。これにつきましては、委員お話しのとおり、毎年の契約ということで、年度当初の4月1日から1年間の契約ということでございまして、今回のように期中で改定されたものへの対応については、できないということではございませんけれども、いわゆる当初の契約単価に基づいて全ての学校給食現場で年間の献立ないしを立てているということで、中途での見直しが非常に困難ということもございましたし、あと、全ての学校の合意を得なければいけないということで、今回の乳価の価格改定に合わせた期中の見直しということはできていなかったということになります。

  ただ、毎年の乳価の決定においては、現状の生産費、生産コスト等を反映したものとして設定をしていきますので、令和5年については現状の状況を把握した契約価格ということで進めていく方向でございまして、これについては学校給食現場の担当になります市町村に対しても、来年における学乳の値上げという部分については、教育委員会と連携して早くからアナウンスをして対応するようにお願いしてきたところでございます。

  そのような中、委員からお話のございました学校給食用の牛乳の契約価格と乳価の価格を補填する制度ということでございますけれども、これも委員のほうからお話ございましたけれども、現状、学乳に限らず食材全て値上がりしているというような状況もございまして、学校給食を負担する国の制度として臨時交付金がございまして、これについては今、これも委員のお話ございました県の教育委員会のほうで補正で対応してきたところでございまして、本年度についてはこの交付金が活用できるということで、これも市町村に対して教育委員会と連携してアナウンスしてきたところでございます。

  実際、今後、国への要望については、今の制度上、いろいろなそごがある部分があったりとかそういった部分、必要に応じて必要なことを、国に対しては、教育委員会とも連携を密にして、要望等も検討していければということで考えております。

○中川委員 時間ですので最後にしますが、今の話はやっぱり県として独自にやるべきですよ、これ。農政部長、いかがですか。

○小林農政部長 学校給食における牛乳の取扱いに対して、農政部としてどう取り組んでいくかということでお尋ねがございました。

  確かに学乳については、乳製品の中でも消費量という部分のところを考えれば、学校での消費というのは非常に大きなものだというふうに認識をしております。生産を振興している農政部としましては、生産者の経営がより一層安定していくということを考えれば、消費側の対応も考えていく必要があるんではないかということも考えているところでございますので、今後、教育委員会等ともお話合いをしながら、どういった対応ができるのかということについて検討させていただきたいと思います。

○中川委員 よろしくお願いします。

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