フェア・プレーの精神

「アメリカがメキシコに敗れた!」との一報が本会議直前の国対控室にもたらされ、どっと歓声が上がりました。これで、ほとんど絶望的だった王ジャパンのWBC準決勝進出が決まりました。神様はなんとフェアなお方でしょう!審判やマナーの悪い観客、そして試合日程にまで手心を加え、「本場」の強さを世界に示そうと、それこそ異様なまでにワールド・チャンピオンの座にこだわってきたアメリカでしたが、やっぱりスポーツの基本はフェア・プレーです。こうなったら、一度は諦めかけたワールド・チャンピオン目指して、王・イチロー・ジャパンには、最後の最後まで正々堂々と戦って欲しいものです。え、次もまた韓国?三度目の正直、がんばれ!

ところで、昨日の「嘉手納基地統合」案について、いくつかコメントをいただきました。とくに、2006-03-17 02:42:11付の一無党派さんのコメントについては、多少誤解があるようなので、お答えしておかねばなりません。私の提案は、15-20年のスパンで海兵隊が少なくともグアムのラインまで下がる「可能性がある」ことを指摘しているのであって、以前、沖縄県から出されていた「15年使用期限」に同調するような提案をしているわけではありません。国際情勢というのは、そう簡単に予測できるものではありませんから。ただし、今回、司令部機能を移転させたということは、いつでも戦闘部隊を撤退させることができる、ということを意味する点には注意を要します。

そもそも、アメリカの世界戦略からいえば、ユーラシア大陸(具体的には中国大陸)に近すぎる沖縄よりも、これからのホットスポットが集中する東南アジアや「不安定の弧」と呼ばれるユーラシア大陸南淵の地域を睨んだ場合、グアムの方がはるかに使い勝手がいいのです。また、尖閣や台湾をはじめ我が国の南西地域における有事展開を考えても、いまや高速輸送船を使えば、沖縄に留まらなくても即応性にほとんど影響はないのです。しかも、私の15-20年のうちに米海兵隊が撤退する可能性についての言及の大前提は、自衛隊の能力(たとえば、離島侵攻対処能力など)向上による「抑止力の維持」なのです。

また、空軍と海兵隊の訓練についての疑問も寄せられましたが、これまで私が米空軍、海兵隊関係者と議論してきた結論として、海兵隊ヘリの訓練飛行は、嘉手納基地での空軍のオペレーションとの共存は十分可能だと考えています。

それにしても、寄せられたコメントの多くが、自国の領土やEEZ(排他的経済水域)の防衛について、安易な「対米依存」の発想が染み付いていることに少々びっくりしました。自分の国は自分で守る。EEZにおける自国の主権的権利は自分で確保する。ぜひ、そういう「セルフ・ヘルプ」の大原則から安全保障問題を考えていただきたいと思います。・・・ちなみに、政府は、昨夜、名護市が提示している「修正案」で妥結を図る腹を固めたようです。私も、昨日の委員会質疑で、額賀長官に(いやな顔されながらも)しつこく修正を迫っただけに、政府の姿勢については率直に評価したいと思います。

最後に、いやな話題を一つ。
西村慎悟議員の辞職勧告決議案、衆院本会議可決についてです。彼は、まだ誰も見向きもしなかった時期から「拉致問題」に献身的に取り組んできた数少ない政治家の一人です。時々、どぎつい言動で物議をかもしたり、非難を浴びたりしてきましたが、政治信念と実行力という点において我が国屈指の政治家であると、これまでも敬意を払ってきました。

しかし、今回、法律違反を犯してしまい、議員辞職勧告決議案を与党側から突きつけられてしまいました。私は常々、議員の出処進退は議員と有権者との間で決せられるべきものであり、国会が議院として口を差し挟む筋合いのものではない、と考えてきました。しかも、辞職勧告決議が可決したところで、法的効果はなく、いわば「空砲」のごときもので、これまでも、勧告決議に従って辞職した議員は皆無です。そんな根拠薄弱な決議案の採決に臨むべきか否か、最後の瞬間まで悩みました。惻隠の情がないといえば嘘になりますし・・・。

とはいえ、今回ばかりは、明白な法律違反、しかも弁護士という社会的に極めて影響力のある地位を乱用してしまった事件です。国民の皆さんに対する「けじめ」として、自らの議会人としての投票態度を明らかにすべきであると考え、起立採決に臨みました。これは、永田議員に対し「けじめ」を促す思いも込めた行動です。
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