党再生への手がかり

旧知のI女史が久しぶりに会館を訪ねてくれました。
もともと先々週の党首討論直後にアポが入っていましたが、あの混乱の中でドタキャンとなってしまい、今日まで延び延びとなってきたものです。
しかし、先々週ではなく、今日彼女と会うのには深い意味があったのです。

彼女は、Japan Return ProgrammeというNPOを創立して我が国の草の根の国際交流に20年以上も力を注いできた方。学生時代からの友人です。JRPは、日本語を学ぶ外国青少年を日本へ招聘し、同世代の日本人との交流の場を提供することを通じて、将来にわたる日本の良き理解者を育成してきました。自民党の塩崎代議士(現外務副大臣)はじめ、国際派と呼ばれる若手政治家の間にI女史ファンは多く、私も個人的にJRP招聘プログラムの学生さんたちの国会見学などお手伝いしてきました。

さて、そのI女史。いつもの笑顔なのですが、目が笑っていません。
開口一番、「今回のメール事件は、怒りを通り越して全身の力が抜けたわ」
「しかも、あなた方は危機の本質を未だに理解しているようには見えないわね」
「いったい、どうやって党を立て直すつもりなのかしら」
激しく迫る彼女に、私は面食らいつつも、これまでの悪しき「野党体質」からの脱却、具体的には、スキャンダル漁りに狂奔するのではなく、堂々たる政策(改革)競争を挑む路線(これがもともと前原民主党の路線でした)に立ち返ることだ、と答えました。

I女史「どうやって政策をつくって行こうとしてるの、民主党は?」
私「政策分野ごとに部門会議があって・・・シンクタンクも立ち上がったし・・・」
I女史「だから、まったく危機の本質がわかっていらっしゃらない」
ムッとする心を抑えて、鬼気迫る彼女の態度にはきっと何か深い意味があると思い、素直にアドヴァイスを求めようと姿勢を正しました。

I女史の話は、まさしく金槌で頭をぶっ叩かれるようなものでした。
「民主党って、「民主」でも何でもないのよね。長島さん、自民党が去年の7月に出した国際競争力強化に関する提言書はご存知かしら?」
(し、知らない・・・。)
「私たちは、NPOの立場から、この提言では不十分だと感じたので、早速、民主党にオルターナティヴがあるかと思い探したんだけど、成果なし。国際局に問い合わせても、政調に聞いても、シンクタンクでも、反応が鈍くて、これではお手上げだとみんなで顔を見合わせちゃったのよ。NPOはじめ民間の意見を吸い上げようとする姿勢も、体制もない感じだったわ」

私「いや、消費者や子ども、被害者支援など、これまで私がかかわってきた政策分野では、ちゃんと民間の意見も広く反映させる努力をしてきたんですが・・・」と必死に言い訳したが、実際に彼女たちが感じたことは、事実として謙虚に受け止めねばなりません。
I女史「民主党が自民党より民間の意見を吸い上げていないとしたら、民主党の存在意義はないことにならない?」「政策立案能力っていう点では、国民にその辺の底の浅さがバレちゃっているんじゃないのかしら。」
厳しいご指摘。

GNC(Gross National Cool)という言葉がありますが、これまでのGDPという経済指標に加えて、私自身、常々、いかに国家として国民として日本が魅力的であるかということを国際社会にアピールすることの重要性を痛感してきました。中国による「靖国批判」などは、もちろん歴史問題でもありますが、日本に対するネガティヴな対外イメージを確立することにつながってしまった(とくに、最近欧米に広がる批判は顕著)という点で、魅力や文化というソフト・パワーの競争で中国に大きく遅れをとっている我が国の現状を鋭く映し出しています。アニメなどポップ・カルチャーでアジアのみならず米欧への影響力を高めているにもかかわらず。

日本の国際的競争力や影響力を高めて行くためにどのような施策を展開すべきか、民主党としてじっくり議論すべきことはいうまでもありません。その際、I女史をはじめ、NPOやNGOとして国際社会で活躍した現場の声に耳を傾ける努力も大いにやって行かねばなりません。自民党の提言に対する「対案」という次元を超えた構想を練るためにも、早速、浅尾NC外務担当や末松国際局長などに声をかけ、NPOの皆さんとの意見交換会をセットアップしたいと思っています。

こういうこと一つ一つを党再生の手がかりにしながら、前進し続けなければなりません。また、「中国認識」についての党内意見集約に手間取っていることに心配や批判の声がありますが、わが党の現実も見据えながら丁寧に意見集約を図って行こうと思います。東シナ海ガス田における中国側からの論外な「共同開発」提案がなされ、日本側の試掘権を放棄するような二階経済産業相の暴論が飛び出している今こそ、日中関係の現実を直視した総合戦略を民主党から提案する絶好の機会だと信じます。議論を深めつつ、国民の懸念を正面から受け止めた建設的提案をめざします。
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