出版社の評価

2020-04-09 18:16:14 | 日記


昨日の夕刊紙に「こころの玉手箱」笙奏者・宮田まゆみさんのエッセイが
掲載されていて、白川静先生の字書「字統」が紹介されていました。

白川静先生の字書3部作(字統・字通・字訓)は生涯を賭けられた労作です。
たったひとりで3部作を完成されたとは驚きのひとことで、この字書で恩恵を
受けている方は図り知れません。

それと同時にこうした地味な書籍を発行された出版社の平凡社には敬服に値します。
「字統」は全1,013頁、2003年(第7刷)購入時は6,602円(税別)でした。
一般的に同じ書籍でも新書はおよそ700~900円程度です。
新書と比較すれば、その内容密度や誤植も許されない字書という信頼性からすれば、
よくぞこんな値段で販売されている、と感服です。
そして印刷会社である凸版印刷もこれで利益は出るんだろうか、と思います。
字書はまた薄くて印刷の裏通りしない特別な上質紙が使用されています。

出版社にとっては字書・辞書は利益よりも名誉的な表看板なのでしょう。
学研の漢和大字典も使用中ですが1,830頁で購入当時4,400円!

字書というのは「分からないときに調べる」だけでなく、読み物としてもパラパラと
めくりながらも楽しめますね。

白川静先生の著書はほとんど平凡社の発行ですが岩波書店や中央公論社の刊行もあります。

出版社の中で100年企業は平凡社や岩波書店など限られてます。
平凡社の百科事典はかっては看板図書でしたが、IT時代に突入しウイキペデイアなどの
台頭で出番は無くなりました。
出版不況の中でまるで慈善事業のように良書を発行し続ける企業があることを
もっと知られてもいいですね。
コメント
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