篆刻・上達の早道は・・・

2019-06-29 12:32:34 | 篆刻



拙宅に月参りに来宅いただくお寺様に機会あるごとに、篆刻の魅力について
読経が終わってから雑談で何度もお話してきました。
それから数年経過、あるとき
「私、篆刻をやってみたいのですが、どういう手順で学べば宜しいでしょうか?」
「わかりました。素晴らしい決断ですね。
 ここに小生の作成した小冊子がありますので、ざっと目を通してみてください。
 ただ、小生はまだ初心者レベルを少し超えた程度ですので、予め了解ください」

「まず、どのようにやればいいのでしょう?」
「そうですね。上達の早道は書道の臨書と同じで、先人の作品をそっくりマネをする
 摸刻がお勧めです。
 摸刻の良い点は文字のデザイン性とか起筆、終筆などの線質なども学べることですね」

「どんな作品を摸刻すればいいのでしょう」
「それぞれ篆刻家によって摸刻の作家の選択は異なりますが、篆刻の歴史の中で評価の
 定まっている河井荃蘆先生の作品の摸刻をまずはお勧めします。
 しかし、摸刻っていうのは大変疲れますから急がずゆっくりやってください。
 特に白文(文字の部分が白い)は一端刻してしまうと細くしようとしても不可能ですので
 慎重にやってください」

それから苦労して摸刻され、その作品を拝見してその出来栄えに驚きました。
「随分と苦労されたことでしょう! 素晴らしいですよ。
 次回は朱文(文字部分が朱色)の作品にチャレンジされたら如何ですか?」

本当に素晴らしい出来栄えでした。

印材への字入れも転写方式もありますが、鏡を見ながらやる方が勉強になりますので
その方法をお勧めしました。
摸刻される前に申し上げたことは自己表現を殺し、そっくりマネをすること。
始筆、終筆、線の太さなども細心の注意を払うこと。

摸刻がある程度できれば意臨(自分の味も多少加える)に入ることができます。

写真は河井先生の作品です。

何事もお稽古は年齢が早ければ早いほどいいのは当然です。
定年退職後から篆刻を始めてもその到達点は登山に例えれば精々千メートル級の山に終わりそうです。
そうしたことが分かるのは残念ながら始める前はゴールがどこにあるのか知る由もなしです。

マラソンなどではゴールが明瞭です。
しかし、趣味の世界で篆刻を究めるためには何を学習せねばならないのか、
カルチャースクールではその道筋の詳細について教えられることは稀です。
講師(先生)の立場に立てば、そこで弟子を育てるというよりも受講生の満足度を高める
のに気遣いされることでしょう。
例えば公募展での入選とか入賞とか。

些少ながら様々な経験を教訓にして若いお寺様と一緒に篆刻を楽しんでいければ、と
思っています。


高齢者の悩みに解決策あり

2019-06-28 15:07:35 | 日記


家庭内の、いささか、小さな、または大きな悩み・・・
聴力の低下です。

「最近、テレビの音声って聞き辛くなってきたわ」
「う~ん。自分も同じだよ」
「何か解決策って、あるんかしら?」
「今じゃあ、高齢化社会だからきっと問題解決してくれる電化製品が
 あると思うよ。
 近々、名古屋へ出かけるから駅前の大型店舗で探してくるよ」

「あの~、聴力低下を補うようなスピーカーって、ありますか?」
「ええ、勿論ありますよ。どうぞこちらへ」

テレビのイヤフォン・ジャックに接続するだけのカンタンな製品です。
無線と有線があり、価格的には有線タイプが低価格です。
今回、購入したのはオーデイオ・テクニカの製品で有線タイプ。
「サウンド アシスト」という名称です。
約4,000円。
単三乾電池4本使用。約50時間程度は使用可能となっています。

購入検討される場合は純正ACアダプター「AD-SA0520AB」使用が乾電池
交換の手間が無くてお勧めです。約1,600円前後。

早速、帰宅後テレビに接続。
音量は従来の2/3程度で十分で、音声のクリア・スイッチもあり、家内も
満足しています。

悩みと申してもこの程度であれば問題解決法はあるものです。

本来であればテレビメーカーも高齢者用にスピーカーの機能を改良すれば
きっと買い替え需要もあると思うのですが、なにしろ設計する人は若い、
恐らく聴力に問題ない30代、40代のひとでしょうから、ちょっと無理な要求?

廃材で木端仏制作

2019-06-25 07:29:19 | 円空仏



過日、拙宅の和室の建具が経年変化によりガタが来ましたので、思い切って馴染みの
建具屋さんに依頼し、更新しました。
以前から家内に更新すべきと話題にしてきましたが、
「別に更新しなくてもいいんじゃない。
 まだ充分機能しているし!
 それに今は特注の建具って結構高いわよ」
「今、更新しておけば息子たちにも余分な心配かけなくて済むよ!」

説得に1年以上掛かりましたが。

更新することに決まり、ふっとある思いがよぎりました。
(この旧い建具を焼却する前に何か役立てる方法はあるんじゃない?)

以前、名古屋市内の荒子観音で円空仏を拝観した折、木端仏が千体程度あり
言い伝えによれば名古屋城築城の廃材を利用して作ったものと。

(この建具の材を利用して木端仏を作ってみよう)

旧い建具を解体後、一部の部材を引き取ることにしました。
そして今は製造されていないレトロ調のガラス板も再利用をお願いしました。

木製建具の良い点は使用する材に節がないことです。
そして鑿や彫刻刀との相性がとても好く、気持ちよく制作できます。

荒子観音には木端仏を含めて1,141体の円空仏があります。
同寺の解説文によれば円空の荒子観音への入山は45歳のころ(1676年)頃と
54歳(1685年)頃の2回が誌されています。
誌されている以外にも入山はあったのかも知れません。

山門には巨大な仁王像の阿吽像があります。
他には観音菩薩や護法神、不動三尊、愛染明王、僧形像、大黒天なども
収蔵されています。

拝観日は毎月第2土曜日午後1時~4時までの限定です。
写真撮影は厳禁!になっています。

今後、木端仏を何体制作できるか不明ですがちょっとした楽しみです。

出雲市・青木遺跡の神像と円空仏

2019-06-22 10:39:42 | 円空仏



出雲大社で有名な出雲に以前、青木遺跡が発見され話題を呼びました。
出土品の数が数万点に上ったそうですがその遺跡から神像も発見されています。
(写真は島根県埋蔵文化財調査チームの文献から)

大きさは長さ13.5cm
8~10世紀ごろの作と推定されています。

円空仏には様々フォルムの作品がありますが、遺跡の出土品に近似した
作品があります。
円空さんは17世紀のひとで、発見されている作品数は5千体以上あり、
それも同じカタチのものはないと言われているくらい多彩です。

円空さんは奈良県以東しか行脚されていないといわれ、もし、この神像を
ご覧になったらどんな感想を持たれたことでしょう!

2つの作品をみて発想が近いように思われますが、これは素人の無知な感想です。

両方とも素朴な感じがいたします。

画家・三岸節子へ影響を与えた画家

2019-06-17 21:10:08 | 日記


郷土出身の画家・三岸節子の作品は、その生涯をも知らず漠然と眺めていただけですが
「炎の画家・三岸節子」吉武輝子著の伝記を読み、その一生は壮絶なものであることを
知りました。
この伝記は約8年ほど時間を掛けた労作です。

三岸節子は戦前のいわば暗黒の時代を幼子を抱えながら長い困窮時代を送っています。
今の時代に比べ想像もできないような女性蔑視の時代を生きた三岸節子。
逆境を乗り越えながら、その間、様々な出会いがあったようです。

最初の結婚相手の三岸好太郎は若くして亡くなり、その後、菅野圭介と縁が
あったとのことですが、画風についてどちらがどのように影響したのか、美術評論家によって
諸説あります。

三岸節子の名は非常に有名ですが、相方の三岸好太郎も北海道に美術館があり相応に著名です。

名古屋市美術館の常設コーナーには三岸節子と三岸好太郎の作品が並んで展示されています。

しかし菅野(すがの)圭介を知っている人は少ないでしょう。
写真は三岸節子20歳の自画像(1925年)と菅野圭介の作品です。
菅野圭介の作品は横須賀美術館のH.Pからです。
菅野圭介画集は平成7年に限定500部で三好企画から出版されています。

その画集に美術評論家の諸氏が菅野圭介論を述べています。

画家にとってどの時代に生まれ、どんな環境下で過ごしたのか、そうした社会環境の違いは
画風にも影響が大きいと思います。