ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

ゆふかげぐさ

2017-04-19 04:21:18 | 短歌





草枕 ゆふかげぐさを 目に吸ひて 暗き世をゆく 明日への道






*これは、わたしたちの作品ではありません。弟子の作品でもない。わたしの活動を見て、参加したくなった人間の魂が、作ってくれた歌です。

硬いが、まっすぐなのが良い。人間らしい歌です。特に最後の七は、わたしたちではこう詠めない。

「草枕」は「旅」とか「夕」にかかる枕詞です。旅をするときは、昔は草を枕に寝たのです。宿などあまりない時代でしたから。「夕(ゆふ)」は、「草枕を結ふ」から来ているらしい。どちらにしろゆかしい言葉です。日本語の響きは美しい。

「ゆふかげぐさ(夕影草)」は、夕方の薄暗がりのあちこちに見える草花のことです。

草枕は特に訳さなくてもよいが、歌全体に、旅ということの意味を投げかけています。

夕方の野辺の薄暗がりに、あちこちに咲いている花を、目に吸うように見ながら、この暗い世の中を、おれは明日に向かって歩いていくのだ。人生とは、そういう旅のようなものだ。

薄暗いところに咲いている花をなぜ見たくなるのか。たぶん、自分もそんなものだと思っているからでしょう。誠を信じて、がんばってもがんばっても、人はあまり見てくれない。人間というものは、派手で馬鹿馬鹿しいものばかり見て、影で地道にまじめに生きている人間などには、あまり目をやらないものなのだ。

だが、本当に人間の社会を支えている者は、そういう影でまじめに生きている人間なのです。馬鹿にされてもされても、自分を失わずに、時には不遇をかこちながらも、堪えて生きていく。間違いばかりがはびこる暗い世の中だ。正しいことをする人間は少ない。生き馬の目を抜くような社会の中では、ずるが簡単にできる人間の方が賢いと思われがちだ。だが、どうしてもそれができない人間は、夕影のようなところに行って、小さな花のように真面目に咲いているのだ。

そういうことをしてきた人が、これを詠んでくれたのでしょう。

真面目でまっすぐな生き方が、すんなりと出てくれば、こういうものになるという歌ですね。

あなたがたもこれに倣い、自分の生き方を歌に詠んでみてください。おもしろい作品ができたら、わたしに教えてくださるとうれしい。

今日はもう一つ、天使の作品を紹介しておきましょう。




さかしまに 吹くかはかぜに しをれむと 見せて茅野に 玉と隠れよ




冷たい川の逆風を浴びて、しおれるかと見せて、茅の生え群がる野に、玉のように隠れていなさい。いつか時代が変われば、必ずお前が出てくるだろう。







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