チェインブレーカー及び関連領域の郵便史

ユーゴスラヴィア建国当時~1922年頃までの旧オーストリア・ハンガリー帝国地域のチェインブレーカーを中心とした郵便史

191205表 小包第3期 ボスニア混貼、10v, 20v複合目打、誤って料金未徴収

2007年11月26日 21時21分43秒 | 小包第3期
191205表 小包第3期 ボスニア混貼、10v, 20v複合目打、誤って料金未徴収

第3期小包 ボスニア・ヘルツェゴビナからクロアチア宛て
小包送票:オーストリア・ハンガリー帝国占領下のボスニア・ヘルツェゴビナ、8 heller(剣)+2 heller(紋章)追加印刷 (小包送票代金の収入印紙、小包料金に含まない)、ドイツ語・セルボクロアート語、白紙

小包ラベル:M.P.A. Bos. Petrovac 1 (郵便局名はドイツ語表記)
料金手書き:右上6 K 30 h、左下(重量の左上)630

切手:スロヴェニア10 vinar(Mi.101凸版, ノコギリルレット左右上、直線ルレット下)
20 vinar(Mi.103凸版, ノコギリルレット上下、直線ルレット左右) 3枚(裏)
5Krona(Mi.111、目打ち後に糊引き)
ボスニア・ヘルツェゴビナDRŽAVA SHS(キリル文字)加刷45 heller(Mi.8)、加刷上下にずれ
合計6 Kruna 15 heller (料金手書きより15 heller 少ない)

料金計算:
重量料金5 kg---450 heller
配達料金---180 heller
合計630 heller (手書き料金と一致、貼り付け切手は15 heller 不足)

消印:BOS. PETROVAC -5 XII 19 ** (1919年12月5日)、ドイツ語のK. UND K. MILIT. POSTを削除してユーゴ化した消印。

料金未徴収の処理
中央下:黒鉛筆手書き15 fil (円で囲まれている)
ハンドスタンプ:LAŽO RASTOVARITI 誤って料金未徴収
小包料金6K30hに対して、切手は6K15vしか貼られておらず15v不足しています。
クロアチアのザグレブ2郵便局で料金徴収不足に気づいて、黒鉛筆で15 filと記載し、証示印
「LAŽO RASTOVARITI」(誤って料金未徴収)を押しています。
小包の料金計算と切手の貼り付けは郵便局員により行われる規定であり、料金不足の責任は郵便局の側にありました。このため、料金不足の場合には不足額だけが徴収され、不足額の2倍の不足料が徴収されることはありませんでした。
このため、この場合は15 filirが徴収されたと考えられます。
また、不足額は小包の受取人から徴収されますが、受取人が支払いを拒否した場合は、小包の発送者から徴収するためのOdjavaという通知書が作成されます。
この使用例では、小包送票にOdjavaの表示がありませんので、不足額は小包の受取人が支払ったと考えられます。
Odjavaの実例は、「190801 Odjava 小包料金不足を小包の発送者から徴収」を参照。
小包送票にOdjavaの表示をした例は、「191115表 小包第3期 料金不足を小包発送者から徴収Odjava」を参照。

参考文献
(1)Arge der Balkan Länder, No. 130, p.6-13, (1994)
Thomas Artel
Einführung in die Verwnedung von Klebzetteln als besonderer Kennzeichnung von Paketbegleitadressen 郵便小包送票の特別表示事項へのラベルの使用
(2)Jugopošta, Journal of The Yugoslavia Study Group, p.9-14, No.50, 1999
Withdrawal of Mail in Croatia in 1919
(3)Jugopošta, Journal of The Yugoslavia Study Group, p.1-7, No.52, 1999
Correction of my Article, Withdrawal of Mail in Croatia in 1919
上記2つの研究論文はブログ著者がJugopoštaに報告したものです。