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200116表バラーニャ占領地域でのスロヴェニア・チェインブレーカーの使用例
解説: セルビア軍占領下のバラーニャ地方
第一次世界大戦後、セルビア軍は、鉄鉱石鉱山の支配を目的として、ハンガリー南部のバラーニャBaranya地方を占領しました。
その中心都市PÉCSペーチは文化都市であり、ハンガリー最古の大学であるペーチ大学があります。
バラーニャ地方では、セルビア軍の占領下で当初はハンガリー切手がそのまま使用され、後にハンガリー切手にBaranyaと加刷した一連の切手と葉書、レターカード、書留封筒が発行されました。
ユーゴスラヴィアの切手(スロヴェニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア)の切手は、バラーニャ地方の郵便局の窓口で発売されることはなく、これらは公式にはバラーニャ地方では無効でした。また、バラーニャ加刷切手がユーゴスラヴィアの郵便局で発売されることも無く、もちろんそれらはユーゴスラヴィアでは無効でした。
しかし現実には、セルビア軍占領下のバラーニャ地方で、スロヴェニアのチェインブレーカーの使用例が非常に少数ですが報告されています。
私の知っている範囲内では3例の使用例が文献で報告されており、私はその内の2例(葉書と封書)を持っています。
私のコレクションの2つの使用例は、イギリスのYugoslavia Study Groupの機関誌Jugopošta No. 42, p.32-34, September, 1995に投稿してあります。
もう1例は封書で、Jugopošta No. 41, p.24, June, 1995に掲載されています。
ご参考までにBaranya加刷切手がユーゴスラヴィアのクロアチアのNOVA GRADIŠKA(ノヴァ グラディシュカ)で使用された郵便為替(料金計算と切手の貼り付けは郵便局員が行なう)の使用例は、
EXPONENT
SLOVENIAN ISSUES FROM 1919 TO 1920 IN MIXED FRANKING
http://www.japhila.cz/hof/0146/index0146_076.htm
に公開されています。
この他に、ユーゴスラヴィアの葉書やレターカードがセルビア軍占領下のバラーニャ地方で使用された例も報告されており、下記の文献があります。
イギリスのYugoslavia Study Groupの機関誌Jugopošta
①No. 52, December, 1995
②No. 51, Sepetember, 1995 ---これは私のコレクションの報告であり、クロアチアで発行された軍事葉書へ加刷した葉書がバラーニャのPÉCSペーチからスイス宛てに使用された例です。ただし、これはフィラテリック・メールと考えられます。
このようにバラーニャ地方の国境近辺では、ユーゴスラヴィアとバラーニャ占領地の切手が非常にまれに併用されたと考えられます。
それらは、公式に郵便局で発売されたものではなく、旅行者や軍人などが持ち込んで使用したと考えられます。
画像の使用例の解説
切手:
スロヴェニア・チェインブレーカー
Mi. 103 20 vinar 凸版、平滑白紙、2枚、左からタイプ5とタイプ1
Mi. 107 50 vinar、平滑白紙、ノコギリルレット目打ち、2枚
ハンガリー・バラーニャ地方のセルビア軍の占領加刷切手
Mi. 35 10 fillér
合計 150 vinar
備考: この使用例では、スロヴェニア切手の部分を赤鉛筆で囲い、封筒の左側に赤インクで書込みがあります。
宛先: ユーゴスラヴィア軍(実際はセルビア軍)により占領されていたハンガリー南部のバラーニャBaranya地方の中心都市であるペーチPécs
現在のこの町は、Google地図で「Pécs」と入力して検索すれば表示されます。
ペーチ (出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%81
も参照してください。
書留ラベル: ハンガリー型ラベルBátászek 876
郵便料金
バラーニャ占領地域の料金
国内封書 50 fillér
国内書留 100 fillér
合計 150 fillér
参考文献:セルビア軍占領下のバラーニャ地方の郵便料金の出典
イギリスのYugoslavia Study Groupの機関誌Jugopošta No. 66, p.66/5-66/10, June, 2003
著者: Bernard Sharp
The Baranya Republic – The Serbian Occupation of 1918 to 1921 – Postal Tariffs バラーニャ共和国- 1918年から1921年のセルビア占領- 郵便料金
消印: BÁTÁSZEK 920 - JAN. 16 - N8 A
セルビア軍占領下のハンガリーのバラーニャ地方のBÁTÁSZEK郵便局 1920年1月16日、消印識別記号A
ハンガリー型消印。
現在のこの町は、Google地図で「BÁTÁSZEK」と入力して検索すれば表示されます。