チェインブレーカー及び関連領域の郵便史

ユーゴスラヴィア建国当時~1922年頃までの旧オーストリア・ハンガリー帝国地域のチェインブレーカーを中心とした郵便史

190910郵便為替証書の代金(収入印紙)としての3 vinar切手の使用例2例

2012年01月29日 09時43分30秒 | 郵便為替
190910郵便為替証書の代金(収入印紙)としての3 vinar切手の使用例2例

郵便為替証書
オーストリア・ハンガリー帝国時代のハンガリー語とフランス語表記
額面印紙は印刷されていない郵便為替証書

切手
スロヴェニア・チェインブレーカー
Mi.99, 3 vinar石版
(他の切手は切り落とされていて残っていない)
郵便為替証書の代金として3 vinar切手を使用

郵便為替料金
全国統一料金: 国内郵便為替料金
全ての料金は郵便為替の発送者から徴収する。
1. 1919年7月1日~1920年5月15日
25 Kronen以下-----25 vinar
25 Kronenを越えて50 Kronen以下-----50 vinar
50 Kronenを越えて100 Kronen以下-----60 vinar
100 Kronenを越えて100 Kronen毎に-----10 vinarを加算
支払い(払い出し)料金、全ての為替金額に対して-----10 vinar

為替料金
右側:
為替金額600 K(紫色インクの記載)---110 vinar
支払い(払い出し)料金-----10 vinar
合計120 vinar

左側:
為替金額57 K(紫色インクの記載)---60 vinar
支払い(払い出し)料金-----10 vinar
合計70 vinar


郵便為替証書の代金(収入印紙)としての3 vinar切手の使用について
出典: Nachrichtenblatt der Arbeitsgemeinschaft Jugoslawien und Nachfolgestaaten 97-98/2006, p.1931-1945 (2006)
Prof. Dr.-Ing. Klaus Wieland
SHS 1918 bis 1921: Fiskalische Zusatzfrankaturen auf Postanweisungs-Formularen
SHS 1918年-1921年: 郵便為替証書への収入印紙としての追加貼り付け

2.ザグレブ、ノヴィサド(ナギ ベチュケレク)、スプリト郵政局管内(クロアチア、スラヴォニア、ヴォイヴォディナ、ダルマチア地方)の郵便為替証書への切手の追加貼り付け(証書料金の収入印紙として使用)

1918年には、ハンガリー地域(クロアチア、スラヴォニア、ヴォイヴォディナ)では、額面印紙2 fillérが印刷された通常のハンガリーの郵便為替が使用されていた。
この他に、額面印紙の印刷されていないNachnahme-Postanweisung(着払い郵便為替)とInternationale- Postanweisung(国際郵便為替)が存在していた。

この地域の郵便為替証書の価格の値上げに関する公文書を著者は入手していない。
著者の経験では、1918年12月から1920年3月まで、額面印紙の印刷されていない郵便為替は2 fillér または3 fillér切手を追加貼り付けされて使用された、しかし、この追加貼りつけをしなかった郵便局もある。
1918年12月から1919年3月まで、額面印紙の印刷されていない郵便為替は2 fillér切手を追加貼り付けされて使用された、しかし、この追加貼りつけをしなかった郵便局もある。
1919年3月以降は、額面印紙の印刷されていない郵便為替では、2 fillér (後に3 fillér)切手を追加貼り付けしていない使用例を著者は知らないと記載している。
また、この追加貼り付けの規定が郵便局で例外なく適用されたと著者は推定している。
額面印紙2 fillérが印刷された通常のハンガリーの郵便為替は、1920年6月まで使用され、恐らく使い尽くされたか、あるいは後に10 filirの加刷をされた(後述)。
1919年中頃に、郵便為替の価格が3 filirに値上げされ、額面印紙「Pošta Kraljevstva SHS 3 fil」と印刷された新しい郵便為替が登場した。
この新郵便為替証書の早期使用は1919年7月7日(ZAGREB 6)、後期使用は1920年9月である。
1919年7月から1920年3月には、額面印紙の印刷されていない郵便為替では、3 filirの追加貼りつけを必要とした。
1920年9月の3 filir追加貼りつけの後期使用例が、ダルマチア地方のスプリト郵政局管内で少数例が知られている。


消印
右側SVETI IVAN ZABNO 919 SEP 10 N10
クロアチアのSVETI IVAN ZABNO郵便局1919年9月10日、昼間10時
左側SVETI IVAN ZABNO 919 SEP 13 N10
クロアチアのSVETI IVAN ZABNO郵便局1919年9月13日、昼間10時
D欄にイシュトヴァン・クラウンと呼ばれるハンガリー王冠の入ったハンガリー型の消印

為替記号
黒色の長方形の箱型の証示印9434
これはSVETI IVAN ZABNO郵便局を表すと考えられる

190909 POPOVACA郵便局 35 vinar料金

2012年01月22日 12時58分22秒 | 郵便為替
190909 POPOVACA郵便局 35 vinar料金

郵便為替証書
オーストリア・ハンガリー帝国時代のハンガリー語とクロアチア語表記
額面印紙 2 fillér が印刷されている郵便為替証書

切手
スロヴェニア・チェインブレーカー
Mi.101, 10 vinar凸版、ノコギリルレット目打ち
Mi.104, 25 vinar石版
合計 35 vinar


郵便為替料金
全国統一料金: 国内郵便為替料金
全ての料金は郵便為替の発送者から徴収する。
1. 1919年7月1日~1920年5月15日
25 Kronen以下-----25 vinar
25 Kronenを越えて50 Kronen以下-----50 vinar
50 Kronenを越えて100 Kronen以下-----60 vinar
100 Kronenを越えて100 Kronen毎に-----10 vinarを加算
支払い(払い出し)料金、全ての為替金額に対して-----10 vinar

料金計算
25 Kronen以下-----25 vinar
支払い(払い出し)料金、全ての為替金額に対して-----10 vinar
合計 35 vinar
この使用例では、郵便為替証書の販売価格引き上げ分を切手で追加貼り付けする措置は行われていない。
貼り付けた切手35 vinarは、右上の黒インクの記載35 fに一致している。

消印
POPOVACA 9 SEP 919 N
クロアチアのPOPOVACA 郵便局1919年9月9日、消印識別記号N
D欄にイシュトヴァン・クラウンと呼ばれるハンガリー王冠が入ったまま残されているが、年月日表示は、ハンガリー型の「年月日」の順から、ユーゴ型の「日月年」に変更されており、部分的ユーゴ化消印となっている。

190827裏 ZAGREB1郵便局, 20 vinar凸版

2012年01月15日 13時48分06秒 | 郵便為替
190827裏 ZAGREB1郵便局, 20 vinar凸版

切手
スロヴェニア・チェインブレーカー
Mi.101, 10 vinar石版
Mi.103, 20 vinar凸版
表側の3枚: 4辺がノコギリルレット目打ち
裏側の1枚: 水平がノコギリルレット目打ち、縦が直線ルレット目打ちの複合目打ち
合計 90 vinar

消印
ZAGREB 919 – AUG. 27 N4 e 1 e
クロアチアのZAGREB 1郵便局1919年8月27日、昼間4時、消印識別記号e
D欄にイシュトヴァン・クラウンと呼ばれるハンガリー王冠の入ったハンガリー型の消印

190827表 ZAGREB1郵便局, 20 vinar凸版

2012年01月15日 13時46分23秒 | 郵便為替
190827表 ZAGREB1郵便局, 20 vinar凸版

郵便為替証書
オーストリア・ハンガリー帝国時代のハンガリー語とクロアチア語表記
額面印紙 2 fillér が印刷されている郵便為替証書


切手
スロヴェニア・チェインブレーカー
Mi.101, 10 vinar石版
Mi.103, 20 vinar凸版
表側の3枚: 4辺がノコギリルレット目打ち
裏側の1枚: 水平がノコギリルレット目打ち、縦が直線ルレット目打ちの複合目打ち
合計 90 vinar

郵便為替料金
全国統一料金: 国内郵便為替料金
全ての料金は郵便為替の発送者から徴収する。
1. 1919年7月1日~1920年5月15日
25 Kronen以下-----25 vinar
25 Kronenを越えて50 Kronen以下-----50 vinar
50 Kronenを越えて100 Kronen以下-----60 vinar
100 Kronenを越えて100 Kronen毎に-----10 vinarを加算

支払い(払い出し)料金、全ての為替金額に対して-----10 vinar

料金計算
200 Kronenを越えて300 Kronen以下-----80 vinar
支払い(払い出し)料金、全ての為替金額に対して-----10 vinar
合計 90 vinar
この使用例では、郵便為替証書の販売価格引き上げ分を切手で追加貼り付けする措置は行われていない。

消印
ZAGREB 919 – AUG. 27 N4 e 1 e
クロアチアのZAGREB 1郵便局1919年8月27日、昼間4時、消印識別記号e
D欄にイシュトヴァン・クラウンと呼ばれるハンガリー王冠の入ったハンガリー型の消印


190822 シュタイヤーマルク占領地RADKERSBURG

2012年01月08日 19時18分14秒 | 郵便為替
190822 シュタイヤーマルク占領地RADKERSBURG

郵便為替証書
オーストリア・ハンガリー帝国時代、ドイツ語表記、額面印紙は印刷されていない

切手
スロヴェニア・チェインブレーカー
Mi.100, 5 vinar石版
Mi.101, 10 vinar石版
Mi.103, 20 vinar石版

消印
RADKERSBURG 22 8 19 b
ユーゴ軍占領下のオーストリア・シュタイヤーマルク州のRADKERSBURG郵便局1919年8月22日、消印識別記号b

ユーゴスラヴィア軍は、オーストリア・シュタイヤーマルク州の鉄道路線LUTTENBERG – SPIELFELDの鉄道利権を確保するために、この路線沿いの地域を1918年11月末から1920年7月まで占領しました。
この使用例の町RADKERSBURG(ドイツ語名)は、スロヴェニア語ではRADGONAと呼ばれ、1918年12月1日から1920年7月26日までユーゴ軍が占領し、後にオーストリアに返還されました。

190821裏 ユーゴスラヴィアの新形式の郵便為替証書、スロヴェニアでの使用例

2012年01月01日 19時13分14秒 | 郵便為替
190821裏 ユーゴスラヴィアの新形式の郵便為替証書、スロヴェニアでの使用例

郵便為替証書の印刷
右下に印刷場所がZagreb 1919と記載されているため、この郵便為替証書は1919年にクロアチアのザグレブで印刷されたと考えられる。

切手
スロヴェニア・チェインブレーカー
Mi.99, 3 vinar石版、裏側3枚
Mi.103, 20 vinar凸版、表側2枚、裏側1枚: 4辺がノコギリルレット目打ち
合計 69 vinar

消印
DOB 21 8 19
スロヴェニアのDOB郵便局1919年8月21日
ドイツ語表記のAICH bei LAIBACHを削除してスロヴェニア語表記のDOBだけを残してユーゴ化した消印

到着印
ZAGREB 919 - AUG - 23 N10 U 2 U
クロアチアのZAGREB 2郵便局1919年8月23日、昼間10時、消印識別記号U
D欄にイシュトヴァン・クラウンと呼ばれるハンガリー王冠の入ったハンガリー型の消印

190821表 ユーゴスラヴィアの新形式の郵便為替証書、スロヴェニアでの使用例

2012年01月01日 19時12分30秒 | 郵便為替
190821表 ユーゴスラヴィアの新形式の郵便為替証書、スロヴェニアでの使用例

郵便為替証書
ユーゴスラヴィアの新形式の郵便為替証書
1919年中頃に、郵便為替の価格が3 filirに値上げされ、額面印紙「Pošta Kraljevstva SHS 3 fil」と印刷された新しい郵便為替が登場した。この新郵便為替証書の早期使用は1919年7月7日(ZAGREB 6)、後期使用は1920年9月です。
この形式の郵便為替証書はクロアチアのザグレブで印刷されてクロアチア、ヴォイヴォディナを中心として使用されたため、スロヴェニアで使用された例は非常に少なくほとんど見かけません。このスロヴェニアでの使用例は、稀な例だと思われます。

切手
スロヴェニア・チェインブレーカー
Mi.99, 3 vinar石版、裏側3枚
Mi.103, 20 vinar凸版、表側2枚、裏側1枚: 4辺がノコギリルレット目打ち
合計 69 vinar

郵便為替料金
全国統一料金: 国内郵便為替料金
全ての料金は郵便為替の発送者から徴収する。
1. 1919年7月1日~1920年5月15日
25 Kronen以下-----25 vinar
25 Kronenを越えて50 Kronen以下-----50 vinar
50 Kronenを越えて100 Kronen以下-----60 vinar
100 Kronenを越えて100 Kronen毎に-----10 vinarを加算

支払い(払い出し)料金、全ての為替金額に対して-----10 vinar

料金計算
50 Kronenを越えて100 Kronen以下-----60 vinar
支払い(払い出し)料金、全ての為替金額に対して-----10 vinar
合計 70 vinar
備考: この当時は慢性的な切手不足であったと言われ、手元にあった切手を寄せ集めた69 vinar分の切手の貼り付けで70 vinarの料金の代用にしたと推定される。このような規定料金に1~2vinar足らない切手の貼り付けしか行われていない使用例は比較的良く見られる。

消印
DOB 21 8 19
スロヴェニアのDOB郵便局1919年8月21日
ドイツ語表記のAICH bei LAIBACHを削除してスロヴェニア語表記のDOBだけを残してユーゴ化した消印

為替記号
黒色の正方形の箱型の証示印V 310
これはDOB郵便局を表すと考えられる