クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

シューベルト交響曲第8番ロ短調「未完成」 カール・ベーム/ベルリン・フィル

2007年02月26日 05時15分28秒 | 交響曲
シューベルトの「未完成」は、このごろは「第7番」だそうです。
でも、ボクにとっては、未完成は8番で、グレートは9番。
当分、これで行きます。

シューベルト交響曲第8番ロ短調「未完成」。
カール・ベーム指揮ベルリン・フィルの演奏。
1966年2月、西ベルリンのイエス・キリスト教会での録音。DG盤。

第1楽章は大変ゆったりと進む。遅い、非常に遅い。じっくりと歩みを進める未完成交響曲。いやはや、鈍足ベームの面目躍如だなぁ。
今の耳で聴くととてもロマンティックな解釈だが、フレージングやアーティキュレーションは自然で、実に格調高い。弦楽セクションを前面に押し出して、バランスよく管楽器が配される響き。構成がガッチリしていて堅牢なのは、いかにもベームの指揮という感じがする。きちんと小さなフレーズを積み上げていって、全体像を作り上げてゆく職人芸の味わいもある。素晴らしいのは、その積み上げの作業の際に、ベームには作品の完成像が見えていて、ひたすらその理想を目指してオケに演奏させてゆく真剣さ・謹厳さだろう。
その点では押しも押されもせぬ堂々とした演奏といえると思う。

第2楽章も腰がすわったシューベルト。
重厚そのもの。軽さなどは微塵もない。
スケールも大きいが、小さなフレーズを積み上げる姿勢は第1楽章と全く変わらない。もっと歌っても良いかなと思うのだが、ベームはそういうところでも構成・形態を重んじている感じ。

そんな気持ちで聴いていると、この演奏はどんどん内省的な姿になる。
スケールは大きく、まさに名曲の威容を誇るのだが、どんどん心の中に沈潜してゆくような趣きもある。
終わってみれば、心にしみじみとした感動が残っている。

ベルリン・フィルの合奏力は極上のもの。弦も管も巧い。
特にこの交響曲では、ベルリン・フィルの木管プレーヤーの妙技が楽しめる。決してアクロバティックではないのだが、木管群は巧い。確実性が高いと云うか、打席に立てば常に安打を放つというか・・・・・ホンマに巧い。
これで、もう少し音色の変化、鮮やかさがあればエエのに(例えばVPOのように)・・・と思うのは欲張りですか。

録音はさすがに古びてきました。この時期のDGらしい、マルチ・モノだと思うのだが、ややペタッとした感じの音。奥行き・残響が少々不足しているかな。
演奏が素晴らしいだけに、ちょいと惜しい感じであります。





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