クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

ベルリオーズの幻想交響曲 マイケル・ティルソン・トーマス/サンフランシスコ響

2008年01月19日 05時28分25秒 | 交響曲
昨日はフランスのオーケストラを聴き、今日はフランス生まれの交響曲を。
いや、いつ聴いても破天荒な交響曲。
僕はベルリオーズについて詳しくないんですが、この人、若書きのこの一発だけでも音楽史に永遠に名を残したですね。

ベルリオーズの幻想交響曲。
マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団の演奏。
1997年7月、サンフランシスコのルイス・エム・デービス・シンフォニー・ホールでの録音。RCA輸入盤。
廉価盤で購入できるようであります。

サンフランシスコ響の弦楽セクションが腰の据わった、芯のある、いい音を響かせている。ドイツ風の重厚さではなく、やはりアメリカ的なのだろう、鋼(はがね)のような強さと筋肉質のしなやかさを併せ持った感じの音。いい音だと思うし、素晴らしい弦楽セクションと思う。
第1楽章では、この音を基調に、MTTは新鮮で瑞々しいベルリオーズを展開してゆく。リズムがよく弾み、旋律線がとても生き生きとしている。それが颯爽と流れてゆくさまは、実にカッコイイ。クールでかつシャープ。
恋に悩む青年のドロドロした感情の表現ではなく、恋と未来とを夢見る若者の(そして、彼は恐らくハンサムなのだ)、心意気、気持ちの昂揚を表現してゆく演奏だと思う。MTTのつくる音楽は、そういう音楽なのだろう。
聴いていて、実に新鮮、響きも鮮やかで色彩的、引きこまれてしまう。

第2楽章のワルツも好演。心に不安を抱えたまま踊っている感じで、明と暗の微妙な交錯をMTTは実に巧く描き出してゆく。
ハープの音は細身でシャープな美しさ、絶品と思う。金管群も、とても綺麗な音を響かせる。

第3楽章はコーラングレ。緊張感のある締まった響きが印象的。弦楽も同様で、芯のある音が実にイイ。
録音のせいか、響きがブヨブヨしない。引き締まった響きで、音が拡散しないのが良い。「野の風景」がどこまでも広がってしまっては困る。凝集力の強い演奏と云うべきかな。
やがて来るだろう破滅への不安、現実への焦燥といった雰囲気がよく出ている演奏思う。

第4楽章と終楽章では、ダイナミック・レンジが一気に拡大して、もの凄い音量になってゆく。フォルティシモの爆発がスゴイ。
(再生には要注意であります。第3楽章まで大音量で聴いていると、第4楽章以降、腰が抜けまっせ・・・・)
ティンパニの音が良い。グランカッサも強烈。部屋が震える。金管も満を持しての大音量。チューバと鐘は、不気味さをよく表出している。
サンフランシスコ響が、実は今まで力を抑えていて、ここに来て一気にそれを解放している感じ。
いやはや、巧い、スゴイ、デカイ。サンフランシスコ響の実力、端倪すべからざるものなり。

録音は万全であります。
細身の弦と金管の締まった響きが印象的で、ステージの奥まで見えてきそうな録音。
MTTの鮮烈なベルリオーズ再現を、瑞々しく捉えた好録音と思います。
ダイナミック・レンジ広大、第4楽章以降リスニングルームが激震。たまげました。
家人から、うるさいとの苦情。これ久しぶりでした。

<幻想交響曲の自己リンクです>
■ミュンシュ/パリ管
■デイヴィス/アムステルダム・コンセルトヘボウ管
■ハイティンク/ウィーン・フィル
■チョン・ミュンフン/パリ・バスティーユ管
■カラヤン/ベルリン・フィル(1964年盤)
■アバド/シカゴ響
■ブーレーズ/クリーヴランド管
■デュトワ/モントリオール響






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