クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

カール・ベームのブラームス 交響曲第4番ホ短調

2006年05月30日 05時42分28秒 | 交響曲
曇天続きでありますが、サラッとした快適な空気です。
厚くもなく寒くもなく、音楽を聴くにはエエ季節でありますな。
我が家周辺の田んぼは、田植えの準備完了です。

さて、今日はブラームスの交響曲第4番ホ短調。
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルの演奏。
1975年録音のDG盤。ベーム晩年の、当時日本では大人気の全集。
特にこの年は、ベーム/VPOの来日公演が行われただけに(ブラ1の公演は白熱的な素晴らしいステージだった)、このブラームス全集も大絶賛だった。だいたい、当時ベームは神のように崇められていて、出るレコードがどれも賛辞を送られていたものだった。
(このあたりは、日本人特有の敬老精神であって、ヴァントや朝比奈の晩年も同様の現象が起こっていたような気がする・・・・・・)

だった・・・・と書くのは、ベームは今やどんどん忘れ去られていて、若い人たちは、ベームのこと、誰やら分からんのではないかと思うから。
死後の忘れられ方は急速で、今やベームのCDは再発シリーズ物以外ほとんど目につかない。いやはや・・・。

クラシック音楽を聴き始めた頃、ベームは憧れだった。貧乏学生にとって、最高のビッグネームだった。LPも沢山持ってるぞい・・・・。
1960年代のベルリン・フィルとの演奏などはまだ颯爽としていたが、晩年1970年代以降になると、確かに鈍足鈍重な演奏が増えて、今聴くとかなりモサッとしたものが多いかなとも思う・・・・。でもこのブラームス全集などは、ウィーン・フィルの美質が生きて、今なおなかなか聴けるブラームスではないかとボクは思っているのだが・・・・。

さて、その第4番であります。
第1楽章はインテンポ。かなり速く感じる。一気呵成に演奏してしまった感じ。何かから逃げてゆくような雰囲気。むせび泣く弦楽器、木管の悲痛な叫びが印象的。

第2楽章冒頭の木管のアンサンブルが抒情的。ホルン、クラリネット、オーボエがアンサンブルとしても美しいし、ソロの響きも美しい。ああ、ウィーン・フィル。実に情緒纏綿。往年の巨匠たちが演奏したブラームスと同質の響きが、ベームの演奏からも聞こえる。
第1楽章が速かったので、この遅さが(だいぶリズムが衰えている感じだが)しっくりと落ち着くような気がする。弦楽器の合奏は少し緩めなのだが、響きが美しいし、絶え間なく放射される抒情が美しいので許してしまう。ホンマに哀しくも美しい。

第3楽章はオーケストラの響きが迫力があってダイナミック。前2つの楽章に比べて、ベームは大らかにウィーン・フィルを鳴らしている。力ずくではなく、理にかなった音楽の運びはいつものベーム。テンポを落とすところでの木管アンサンブルがイイ。素敵な響きだと思う。

終楽章、始まりの決然とした響きが美しい。VPOならではの魅力に溢れている。テンポは中庸で、変奏曲の大家ブラームスの魅力を堪能できる。

聴き終わって、やはり、イイ演奏だと思いました。
ウィーン・フィルのブラームス交響曲全集、思えば沢山あります。
ジュリーニ、バーンスタイン、バルビローリにケルテス・・・(まだあったかな?)、いずれも個性的な演奏で楽しめますが、ベームのこの全集は、指揮者の存在よりもブラームスそのものを感じさせてくれる演奏でして、ボクは好きです。




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